待って…
ちょっと待とうか。
俺らまだ14歳。
夏休み前。
遊び盛り。
なのに、大学!?
しかもこれ、T大!?
リンの向かいに座る途端に硬直。そして脱力。
「…勝てねぇ…。」
そんな様子を不思議そうに眺め、微笑む。
「やっぱり面白いなぁっ!」
「はい?」
「初めて会った時から思ってたんだぁ。ほら、公園でさ。」
私の態度を見て、キョドるとことか…
と、可愛らしく話してくれる。
覚えていたんだ……。と感慨に浸りながら口を動かしていたら、いつの間にか難無く会話ができていた。
「天才少女。」
「ん?あなたも凄いじゃない。」
「…嫌味?」
「違うって!」
クスクスと笑いながら話している。そんな仕種にもトキめいてしまう。
「勝てねぇよなぁ…。」
「誰に?」
「…あんたに。
勝てたら言おうと思ってんだよ?」
「何を?」
「…秘密。」
むぅ…と不服そうな顔をしながら、じゃあと言う。
「何?」
「勝負しよう。」
「今勝てないって言ったじゃんか。」
「そんなに点差ないじゃない。」
大学入試やってる奴が何を言う。そもそも
「勝負なんてしてどーすんの。」
リンは質問には答えず、朝見せたような不敵な笑みを見せる。すると、立ち上がり窓の近くまで歩み寄った。カーテンはまだ風にあそばれている。
そのカーテンを掴んだと思ったら、強く引き開けた。
俺は眩しくて目を細める。
逆光でリンがよく見えないが、
―――笑っていた。
「あなたが勝ったら何でもすりよ。何度でも。
でも、私が勝ったら―――…」
付き合って。
昼休みが始まると示すチャイムが鳴る。外は騒がしく、図書室はぽつりぽつりと人が来ていた。
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