賑やかな空気に少し疲れて2階のテラスに上がろうとした、するとカーテンに隠れる様にカシスの姿が見えた。
「何やってんだ?」
「しーっ!しーっ!」
「んぁ?」
指差す方向を見るとテラスにも人影があった。
「鈴夢…と、緋織か。何?覗き?」
「私はテラスを見に来ただけです…でも流石に出辛くって。」
そりゃあれだけ目の前でイチャつかれてたら出られないだろう。ともあれ目を輝かせて覗きってのも感心しないのでカシスに軽く目隠しをした。
「あんまり覗いてやるな、鈴夢も結構根に持つし。」
「う…まぁ、そうね…下降ります。」
廊下に出た時、カシスは思い出した様に言った。
「前から思ってたんですけど…。」
「んー?」
「凰さん真壁さんの事が好きなんですか?」
階段を踏み外しそうになった。
「…それは何?友情として?それとも恋愛的な意味で?」
「後者。」
「殴るよ?」
「えー?じゃあ緋織ちゃん?」
「無いから。」
溜息と共にドッと疲れが出た。緋織は兎も角寄りによって鈴夢って…そりゃ友達だし人材としても優秀だから好きか嫌いかなら好きだが誓って恋愛感情なんて持ち合わせては居ない訳で。
「そっか…良かった。」
「大体何で鈴夢まで勘定に入ってんだよ、そもそもそこがおかし…ん?今何て?」
「えっ?」
「気のせいで無かったら今『良かった』って言った?」
沈黙のままカシスの目が泳いだ。
「き…気のせいです!」
「言った。」
「気のせいですってば!」
「なら言って。」
「んなっ?!ど、どう言う返しですか?!もうふざけないで下さい!」
後ろからでも判る程耳まで真っ赤になったカシスが無性に可愛く見えて、ついうずうずと弄りたくなった。性分なのか悪い癖。目隠しして、抱き寄せて、固まったまま耳元で言ってやった。
「好きだよ。」
「ひゃっ?!」
実は心臓バクバクなんだけどね。
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