「お疲れさまでした」
 「ああ、送ってくれてありがとう」
 「沢口さん、無理はしないでください」
 「もちろんさ」
 そういって玄関から雅彦を送る沢口。玄関の扉を閉じると、すぐに寝室にあるベッドまでいき、その上に倒れこんだ。そのまましばらくじっとしていた。しばらくすると起き上がる沢口。まだ少し顔が青い。そして、ふらふらと歩きながらキッチンにある冷蔵庫を開け、飲み物を出して飲んだ。
 (…やはり、色々と無理はできなくなっているな)
 そう考える沢口。雅彦との間では出会って以来、どんな事柄でも話せる間柄なのだが、最近の自分の体調については一切話さなかった。最近体にガタが来たと思うようになった。年齢的にも80を超えている以上、仕方はないのだが、それを口にして、雅彦をあまり心配させたくなかった。もしそんなことを話せば、雅彦の性格を考えると、大学に休職願を出してでも自分の世話をしそうだからだ。当然ボーカロイド一家にもである。KAITOやMEIKOやルカは大丈夫だと思うが、沢口を慕ってくれているミクとリンとレンに心配の種を増やしたくなかったのだ。とはいうものの、どこまでごまかせるだろうか。実をいえば、沢口は最近、雅彦たちに会う時は少々無理をしていた。以前、雅彦とボーカロイド一家が誕生日を祝ってくれたが、作ってもらった食事は少々無理をして食べた。献立はMEIKOがかなり気を使ってくれていたのは分かったが、沢口としては、豪華な料理より、お粥等のもう少し胃に優しい食べ物の方が良かったが、皆が祝ってくれている手前、食べない訳にはいかなかったからだ。冷蔵庫前から自分が執筆活動をしている机まで歩き、椅子に座る。
 (これから、どうするかな)
 自分の身の振り方を考える沢口。自身のこれからが決して長くないことは沢口も自覚していた。そのため、とれる手段も多くない。少しで生き永らえるためにどうすべきだろうか?体の調子を見てもらった方が良いのではないだろうか?色々と考えながら、打開策を考えるため、しばらく考える沢口だった。

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初音ミクとパラダイムシフト4 3章7節

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投稿日:2017/03/09 21:44:33

文字数:861文字

カテゴリ:小説

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