初恋メロディー 未来音符 そのいち



キーンコーンカーンコーン……


授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く


一斉に生徒達が立ち上がり、それぞれ部活や下校をしようと

教室から出て行く


「じゃーねーミクー」

「うん、バイバーイまた明日ね~」

友達と別れて私も教室を出て行く


さてどうしよっかな…


いつもなら合唱部に行っているのだが、今日はなんとなく


行く気がしないなぁ…

てゆーか、合唱部なのに私一人だけが部員って何!?

これじゃあ合唱部じゃなくて独唱部じゃん!!

誰と合唱しろっつーの!?

パソコン買ってボーカロイド買ってそれと合唱すればいいの?

でもそれじゃあ見た目的にパソコンと歌う可哀想な独唱部だよ!?


はぁ…一人ぼっちの合唱部は辛いわ~

まぁ、部員が私だけだから部活をいつやるかも私次第で、自由なんだけど…

寂しいですよ…

…誰か入ってくんないかなぁ…寂しくて死にそうですよ…


はぁ…

ため息を吐いて

帰ろう…もう帰ろう…今日は初恋メロディーが販売してるはずだし、

買って帰ろ…


合唱部とゆうか、たった一人の部員(自分)の心配(主に精神的なもの)を

しながら下駄箱で靴を履き替えて校門をくぐる


演劇部にでも行こうかなぁ…でもそれで合唱部が無くなったら先輩達が

悲しむだろうしなぁ…

でもでも、今の合唱部の状況を先輩達が知ったら

さすがに先輩達でも許してくれ………




……無いか、

うん、無いな……合唱部潰したら許さないからなって言ってたし、

許してくれる人達じゃないな。


はぁ、誰か助けてください。


誰が見てもショボーンとしながら歩いていると

「君って合唱部の子だよね?」

後ろから声をかけられた

「へっ?あっ、はい、そうです。合唱部です。合唱部の子です。」

自分で合唱部の子って、バカか私?

あれ?この人って確かサッカー部の先輩で……

…名前が出てこないや、誰だっけ?

「あの、すみません。確かサッカー部の先輩ですよね?」

と、私が尋ねると

「うん、サッカー部の海斗だよ。初めまして、だよ」

「あっ、はい、初めまして、合唱部の初音です。」

お互いにあいさつをして

「あの、それで何かご用でしょうか?」

恐る恐るとゆうより、だいぶ警戒をしながら聞くと

「用とゆーか、いやまぁ、もしよければ一緒に帰らない?ってこと」

少しだけ恥ずかしそうに海斗先輩は言った

「へ?」

なぜ?

なぜサッカー部の人が?

「な、何でですか?」

「いや、特には理由は無いけど、駄目だったら無理にとは言わないけど…」

う~んまぁ断る理由も無いし別にいっか

「いやまぁ別に構いません……です。」

「そう、じゃあ帰ろっか。えっと電車?」

そう言って2人とも歩きだした

「いや歩きです。今日だけは」

「今日だけは?じゃあいつもは電車ってこと?」

「そうです。ただ今日は帰りに電車に乗ったらまずいんです。」

「へ?なんで?」

怪訝な顔で聞かれた。当然か…

「今日の朝、電車が事故って止まってる夢を見たんです。あたしそーゆー

夢ってけっこう当たるんですよ。正夢をよく見ちゃうんですよ。

だから用心して今日は歩いて帰るように、とゆうことです。」

「あ、そうゆうこと」

納得された。マジか…



二人で歩きながら話をする

「そういえば今日サッカー部は無いんですか?」

「うん無いよ、月曜だけお休み」

「月曜だけって…じゃあ他の曜日は全部あるってことですよね?」

うわ~キッツいな~

「うんそう、合唱部は?」

「えっ?え~と…あの…」

自由なんです!とは言い辛いなぁ…

「なんか合唱部って何曜が部活の日かよく判んないんだよね。何?

決まってないの?みんなが集まった日にやる。みたいな?」

「え~と…」

みんなはいませーん!私一人で合唱部でーす!

「…合唱部は私一人だけなんです……だから……私が部活の日を決めてる。

みたいな…」

「それって…つまり…」

独唱部じゃん!とゆうツッコミはしないで下さい。

「独唱部じゃん!」

しやがったよ、この人…

「…3年の先輩達が全員3月に卒業して、2年の先輩はいなくて私だけが

1年で一人だけだったので、部長兼、最後の部員なんです。」

部員勧誘のポスター貼っても誰一人来なかった…

なぜ?

新入生の部活説明会でも、一人なのに何で合唱部なの?とゆう友達の

殴りたくなる疑問を無視して、廃部寸前なんです!誰か入ってください!と、

頑張って説明したのに誰も来てくれなかった。

最近の子は酷いや…

こんな可愛い先輩がいる部活を助けようと思わんのかね?

「…頑張ってチラシ配ったり、クラスの子に話したり、音楽の先生に媚売って

吹奏楽部の子を少し貰えないか言ってるんですけど…なかなか…」

「ふーん」

「だから最近、合唱部でいるのが少し辛いとゆーか、なんとゆーか…」

一人ぼっちの部室はマジきつい…半端ない孤独だよ

文学○女みたいに可愛い後輩(心葉みたいなの)が欲しいよ

「そうなんだ…じゃあ…」

少し考え込んでから海斗先輩は、

「サッカー部のマネージャーやんない?」



……

………え?

「はい?マジっすか?」

「マジっすよ、マネージャーやってよ。」

「いやいや、サッカー部に私が行っちゃって合唱部が廃部になったら、

先輩達に私がボコボコにされます、駄目です。」

「でも合唱部に一人でいるのきついんでしょ?いーじゃん」

「いや、でも…」

まぁ正直な話、合唱部にいる理由は………もう無い。

だって、もう先輩達いないし、私一人だけだし、合唱できないし。

それに演劇部に入れたら劇の中で歌を歌うから、役者になれない部員でも

歌を歌うことはできる。

だから少し演劇部に入ろうかを考えている。

まぁ演劇部もそこまで部員がいるわけじゃない。

演劇部の友達と「人がいないからウチに入らない?」と、言い合った。

しかもそのあと「だって合唱部は一人なんでしょ?じゃあウチ来てよ~」

と言われた。

そう、もう合唱部にはなんの魅力も無いのだ。

魅力があったのは先輩達がいた3年間だけだったのだ。

だけど、

それでも、

「ごめんなさい。入れません。」

「え~なんでよ~」

「え~と、それはですね…」

一人になってもやめない理由はただ一つ

「先輩達がマジで恐いんです…

 …鬼です……化物です……」

「そんなに恐いの?でももう卒業してるじゃん。」

「優しい先輩もいましたけど、大半は鬼でした…あの人達」

そう2年の先輩がいないのも1年が私だけなのも、理由は先輩が恐いから。

2年の先輩も、私以外の1年も、みんな先輩達に憧れて入部した。

でも先輩達と私は同じ中学で、みんな合唱部だった。

そしてその中学の合唱部はかなりのスパルタだった。

だから、

「先輩達は中学の時に身に付いたスパルタ練習と考えを、高校でもやって

たんです。そのせいで2年の先輩は全員やめたんです。

私は同じ中学で同じ合唱部だったので、「入れ」と言われてそれで

入りました。

本当はなるべく関わらないようにしようとしたんですけど、運悪く、

部活説明会で捕まっちゃって、それで……

私と同じ1年も、まぁ練習のハードさに耐えられなくなって、やめました。」

「そんなにハードなの?合唱するだけじゃないの?

歌うだけじゃないの?」

「違いますね。練習は体育会系に匹敵するほどのメニューでしたよ。

走ったり、腹筋したり、腕立てしたり…」

「それは何か聞いた事がある。腹筋がないと声が出ないとか何とか…」

「…それを朝練からやってたんですよ。しかも毎日…

先輩達がいたときは部活に休みはありませんでしたよ。今のサッカー部並の

練習でしたよ…」

「そ、そんなに…」

「アホみたいにキツイ練習をやらせてたんですよ。

でも先輩達がみんな体育会系みたいに恐いから、誰も逆らえない。

だからみんなやめて私だけが残りました。」

「で、でも流香先輩は優しいでしょ?俺知ってるよ流香先輩のこと」

「あっ、流香先輩知ってるんですか?

そうですね、流香先輩だけ優しかったです。

みんなをまとめるのも上手かったのでずっと部長でした。」

帰ってきて流香先輩!!カムバック!!

「流香先輩に言わないの?「やめたい」ってさ?」

「言ったら悲しむと思うんで言えませんよ。

他の先輩がどんなに悲しもうが泣き叫ぼうが何とも思いませんけど、

流香先輩は別です。」

「そ、そうなんだ」

「流香先輩がやめるのをOKしても、他の先輩が知ったら殴りに来るでしょうね。

「うちらが築き上げたものを~」みたいなこと言って…」

「そっか、それなら仕方ないね~」

「はい。ごめんなさい。」

ペコっと頭を下げると

「まぁでも考えといてはくれる?マネージャーの件」

先輩は諦めずに私を誘ってくるが

「う~ん、悪いんですけど無いですね、

演劇部に行こうかと考えているので…それなら先輩達もギリでOKすると思い

ますし。演劇部で歌ってます。とか言えば多分」

それでもかなりの高確率で怒られると思うけど…

「そうなんだ、振られた…」

先輩は残念そう肩を落とした

いやいや、振ってないよ…

心の中で先輩にツッコミを入れるとコンビニを発見した

「あっ」

「ん?どうしたの?」

「いや何でもないです。大丈夫っす」

さすがに男の人の前でマンガを買う勇気は無い

なんか恥ずいし…

家の近くで買うか…

マンガを買うことを考えてると先輩が

「あっ、ちょっと待ってて」

「あっ、はい」

私を残しどこかに行ってしまった



一人になった…

この間に買いに行こうかな?

いや、漫画を手に持ってたら当然「それなに?」と聞かれるな…

ならカバンの中に入れれば……いや駄目だ、教科書とかが入ってるから無理だ

くそ~悔しい…立ち読みしてる子がいるのにな~


コンビニの中の立ち読みしてる子を見つめ


あぁ…早く帰りたい…

早くしてよ…

海斗先輩がいなくなって2分も待った頃

「おまたせ~♪」

と海斗先輩が戻ってきた

「たこ焼き買ってきたよ~」

と私に1パック渡してくるが

「はい?何でたこ焼きなんですか?」

「えっ?だってたこ焼き好きなんでしょ?」

「えっ?」

先輩の言葉に驚いた

な、なんで私がたこ焼きを好きなこと知ってんの?

友達か先輩達しか知らないはずだし、ウチのクラスのサッカー部の子には

話したことないし、えっ、なんでっ?

そういえばこの人、私が合唱部って知ってたし……

……

ハッ!!もしかしてこの人……










ストーカー!!??

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初恋メロディー 未来音符その1

初恋メロディー未来音符のその1です。

人生初の小説ですので色々と目をつむって下さい。

閲覧数:83

投稿日:2011/11/09 13:41:51

文字数:4,523文字

カテゴリ:小説

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