●春はフリマの季節
「もうすっかり、春ですね。野外のイベントは気持ちいいなあ」
観月さんは、まわりにずらりと並んだ、フリーマーケットの、広場を見ながら言った。
「そうですね。人出もけっこうあるし、よかった」
腕組みをしながら、吉さんもうなずく。
東京国際フォーラムの前の広場で、いま、フリマが開かれている。
吉さんの会社、ジー出版が主催している。
会場に遊びに来た観月さんは、ひととおり会場を回って、気に入った小さなストールを買った。
「いろんなものがあって、楽しいわ。今度、私も出品してみようかしら」
「ぜひぜひ、参加してくださいよ」
観月さんの言葉に、吉さんはにこにこした。
●アートグッズのお店を作ります
「そうそう。あの、お聞きしようと思ったんですけど」
観月さんが切り出した。
「はい?」
「ジー出版の方々は、イベントやお店のスペースに、お詳しいですよね」
「ええ、少しは」
吉さんは、目を見開く。
「実は、私たちのギャラリーで、小さなお店を出すことにしたんです」
「ほう、お店を。して、どんなものをお売りになる?」
観月さんは、答えるかわりに、フリマの会場の隅を指さした。
「ほら、あそこにいる2人。ご存知でしょ」
吉さんがそちらを見やって、うなずく。
「ああ、ぱみゅさんとルナさんですね。ウチのイベントの常連さんですよ」
「ええ。あの方たち、私たちのギャラリーにも、よく出展されるんです」
「おや、そうでしたか」
「彼女たちの作るアートグッズや、雑貨。そういうものを展示して、販売できるとこです」
「アートグッズ...ですか」
吉さんは腕組みした。
●古い町の、アート・カフェ!
「アートはね」
彼は、ゆっくりと言った。
「いま、おすすめなのは、ちょっと古い町です。東京で言えば、日本橋とか、人形町とか」
「人形町?」
観月さんは、首をかしげる。
「ふぅん、思ったこともなかったわ。でも、面白そうね」
彼女はうなずいた。
「人形町なら、いい空き室があるビルを知ってますよ」
彼は言う。
「ほんとですか?ぜひ、教えていただきたいわ。アートが見られて、ちょっとお茶も飲めるギャラリーにしたいんです」
「ほほおう、アート・カフェですか」
吉さんは感心した。
「古い町で、カフェ。レトロな風情のお店なんか、いいですね」
「そうなんですよ!」
観月さんは、うれしそうに、大きくうなずいた。
吉さんは思いついた。
「...そうだ!ウエイトレスやマスターも、メイドさんみたいな人ならいいなあ。メイド・カフェ...」
思わずアイデアを口にしようと思ったが...
アートを広めようと、目を輝かせている彼女の前で、そのアイデアを黙って飲み込んだ彼だった。m(*- -*)m
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