さよなら愛した人よ 今もまだ覚えてる
あなたと繋いだ手の温もりは残っているから
三角の耳を傾け大きな尻尾を揺らし
古びたお社に隠れて過ごしてた
ある日扉を開けるとそこにあなたの姿
焦る私を見て笑った
人間(ヒト)とは少し異なる見た目をした私だから
何百年前から忌み嫌われ続けた
それでもあなたは何も気にする素振りを見せずに
普通の人間(ヒト)の様に接してくれた
さよなら愛した人よ 今もまだ覚えてる
あなたがくれたプレゼントは好きじゃない油揚げだった
それでも初めての私への贈り物
とても嬉しくてはしゃいだあの日のこと思い出す
一年また一年と幾星霜が過ぎて
気付けば私の背を追い抜いていた
四半世紀が過ぎた頃に
交わす契りの儀式
歩んだ茨の道はもう慣れてしまったようで
痛みすらもう何も気にしなくなったけど
あなたから手を引かれて棘の無い道を進めば
二度とは戻れない孤独の世界
さよなら愛した人よ 今もまだ覚えてる
あなたの胸に抱かれて聴いた心臓の鼓動の音は
どんな音楽より温かく優しかった
永遠にこの時間(とき)が続けばいいのにと思ってた
だけど人間(ヒト)の命なんて短く儚くて
あなたの灯火が一つ揺らいで消えてった
「キミに会えてよかった」と言葉を遺し
何百年の中から焼き付いたこの一瞬は
どんな記憶よりかけがえのない宝物だから
さよなら愛した人よ 今もまだ覚えてる
初めての愛の証は唇に刻まれたまま
おやすみ愛した人よ 今もまだ覚えてる
あなたと繋いだ手の温もりは残っているけど
また名前を呼んでほしいな
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