6 ジャスティス その1
MASATO 〔ミスティさん、ごめんなさい。ジャスティスさんと約束してたので行ってきます〕
ミスティ 〔了解 じゃ、またね。リンちゃん〕
私は自分の名前で呼んでくれたことがうれしく感じた。
MASATO 〔すいません!遅れました!〕
私は本気であわてて待ち合わせ場所に向かった。
ジャスティス〔遅いぞ、お前忘れてたろ〕
MASATO 〔ごめんなさいミスティさんとお話してて・・送れちゃいました;;〕
ジャスティス〔泣きたいのはこっちのほうだよ。お前みたいな中学生と違ってみんなそんなにヒマじゃないんだよ〕
MASATO 〔ほんとにすいません〕
ヒマじゃないって、忙しいならゲームなんてすんなよ!と私は現実の世界で言い放った。いくら叫んでも本人には聞こえない。たまに母親の耳に入るときがある。最初は驚いて母親が部屋に入ってきたが、最近は慣れたのか入ってこなくなった。
まあまあいいじゃないと他の参加メンバーの人が彼をなだめている。
ジャスティスさん、フリーターのゲーマー。セシルさんほどではないが、かなりの知識を持っており、ギルドの主力メンバー。もとは他のギルドに所属していたが、セシルさんに誘われてこのギルドに来たらしい。何でも前のギルドはただの仲良しギルドなだけで、たいして成長しないからいても意味がないと言っている。ジャスティスさんはこのゲームにおいて他ギルドとの戦いなどには真剣勝負でやる。
当然他プレーヤーとの戦いがオンラインゲームの最大の魅力ではあるが、彼の場合、目的のほとんどが勝つことにある。勝ちにこだわる人なのでやはりクセのある人だ。ただ何となくこのゲームをやっているだけの人だとジャスティスさんとはとても一緒に行動できない。彼は他のメンバーにも高い能力を要求してくる。
ではなぜ私がジャスティスさんと行動しているかというと、彼いわく私を鍛え上げるためらしい。レンもかなりジャスティスさんと行動を共にし、鍛え上げられたそうだ。厳しい人だけど一緒にいると確かに強くなれるとレンは言っている。レンの兄弟なら私にも見込みがあるから鍛えてやると言われ、私はよくジャスティスさんと行動するようになった。
正直なところいい迷惑である。別にこのゲームの中でそんなに勇者になんかなりたくはない。それにここ最近は本当に指導時間が増え、お互いINしているときはほとんど一緒にいる。ゲームにINしてジャスティスさんがいると、彼の古臭いスパルタ教師のような指導を今日も受けなくてはいけないのかと憂鬱になる。
愛のムチなのか知らないが、ガキだからって甘ったれるなとか、ほんと中学生だなとか、大人になれねーぞ、そんなんじゃ一生ただのゲーマーだぞなど、フリーターのあなたには言われたくない精神的苦痛な発言をしてくる。極めつけなのは、お前は話し方がなよなよしてて女みてーだよな、ちゃんとついてんのか?と言われたことがある。その時私はプチっと神経が切れてリアルじゃ女なんだからそんなもんついてるわけねーだろーが!!と叫んでしまった。さすがに驚いた母が下から駆け上がってきた。
一体いつまで彼の指導が続くのだろうか、ただ、確かにこのゲームのプレーヤーとしては成長したと感じる。最初のころでは考えられないくらい腕を上げ、数ヶ月で私はこのゲームの中で中級者クラスのプレーヤーランクになっている。ありがたい部分もあるがもうそろそろジャスティスさんからは卒業したい。この人よりも私はセシルさんと行動を共にしたい。あの人はおねだりするとレアアイテムであっても私にくれる。ジャスティスさんは絶対にくれない。そんなこと頼めもしない。言ったらおそらく、はぁ?お前世の中なめてるの?とか言われ、そこから数分間説教が始まる。考えただけで怖い。
やっぱセシルさんがいい、なるべくセシルさんと一緒に行動したいなー。私はそのためにはジャスティス教官に新しい生徒を見つけるべきと考えた。
ギルドのメンバーの中でランクが初級クラス以下のプレーヤーにジャスティスさんに教わってみないかと声をかけたがたいていは断られた。何人か一緒に行動をしてみた人もいるが教官の厳しさに耐えられる人がいなかった。あげくのはてに彼らを連れてきた私は、ジャスティスさんにやる気のないやつらなんか呼んでくるなと真剣に怒られた。もしこれがリアルで怒られていたら私は怖くて泣き出すかもしれない。
あ~なんかやだ。私は学校で昼休み中ぼ~っと空を眺めていた。
「どうした、鏡音。ぼーっとして、口からよだれが出てるぞ。」
「う!・・出てません!ホントに出てるかと思ってびっくりしたじゃないですか!」
「最近は授業中ニヤニヤしなくなったけど調子が悪いのかー?」
「ニヤニヤなんてしてませんよ!一回だけじゃないですか。先生の言い方だといつもニヤニヤしてるみたいじゃないですか。」
「わかる、わかる、わかるよ先生には。自分の嫌な所をね、こう認めたくないってのはね、特に今ぐらいの歳だとね。」
「わかるって何がわかるんですか。やめてくださいよ。全然もう話がおかしくなってるし。」
「ダメ、鏡音、ダメ、無理にね抑えようとしちゃ、ダメ。辛くなるだけだから。ま~ねぇ、まだまだ子供だからね難しいよね~。先生なんてな、大人になった今でもこう抑えがきかない部分とかあるしな。ブハッ(笑)聞きたい?何がおさえられないか聞きたい?」
「ちょっと!やめてくださいよ!何を言ってるんですか!もうほっといてください!」
「別に変な意味じゃないんだよ~変な意味じゃ。真面目な話なんだよ。」
「もうこの変態教師いや!」
私は教室から出て廊下を歩いていた。するとレンを見かけ、あ!っと声を出した。
「な、何だよ。身内見て何驚いんてんだよ。」
「だって、珍しい。学校にいる。」
「うるせーよ。」
6 ジャスティス その2へ続く
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