ある国の『王子』は、処刑台にいました。
そうですね、原因は歴史。
昔のお話が今日にまで。
まず最初に、この国の歴史でもお話いたしましょうか。


この国には、対立する国がございます。
昔から対立と言えば、宗教、領土、資源・・・。
利害のみを追求し続けた結果ですね。

でも、しばらくすると、問題は解決しました。
あまりにも長く対立していたため、互いに疲弊していました。
ですから、当時の女王は、中立的な国を通して話し合いをしました。
そうして、どうにかして国家の対立は解決しました。
たった一つの問題を除いて。

それは、憎しみ。
これだけは、絶対に消えません。
もう過ぎ去ったことだけど、当時に生きた人はいないけれど、憎しみはずっと受け継がれてしまいます。
国は対立せずとも、人々が、王家が憎しみあっているのです。
結局、対立しあっていました
今でもまだ。

その敵国、その国は緑色がシンボルでありました。
そのため、この国の人々は総じて不吉な色として忌み嫌っておりました。



それから時は経ちまして、十数年前、この国の後継者になるはずの、世継ぎになるはずの第一子が産まれました。

しかし女王様は絶望します。
まさか、国を治める自分の子供が、不吉な忌むべき緑色の髪であっただなんて。
だってそうでしょう?
自分も国民も憎む色ですよ?

絶対にこの子には世を継がせないと、女王様は考えます。

女性が権力を持つこの国では、男や王子の意見など全く意味をなさないのです。


その、『王子』は健やかに成長しました。
『男』らしく、勇敢な『王子』でした。
が、民は目をそらし続けます。
避け続けます。
緑色だから。

そして『王子』が5歳くらいの時でしょうか。
『王子』に『妹』が産まれました。
女王様はこう言いました。
「あぁ、なんて可愛らしい子でしょう! この子が世継ぎね。」

青色の髪をした『姫』は、とても可愛らしい、国民からも好かれていました。
『兄』とは違って。
『女』らしく、おしとやかに育てられました。

『王子』も、最初は可愛がりました。
『姫』が他国に出かけるときは、護衛として、ついていきました。
だけども、ある日、こんな話を耳にします。
「あれだけの男はそう居ないな。」

『王子』は始め誰のことを言っているのかわかりませんでした。
でも、近衛兵たちの言葉ですから、自分か他の王族であろうことは確かです。


それから、しばらく経ち、『王子』が12歳ぐらいですかね。
本当のことに気付いたのは。

気付かないはずはありませんからねぇ。
むしろ、ずっと気付かなかったのが不思議なくらいでしょう。
そして、あの言葉の意味も知りました。

『妹』は、王子。
『兄』は、姫。
姉は『王子』として育てられ、弟は『姫』として育てられたのです。

何でかと言いますと、髪の色が緑だったから。
それ以上の理由もそれ以下の理由もありません。
ただそれだけ。


『王子』は衝撃を受けました。
『姫』が着ているあの青いドレス。
本当は自分が着るはずであったのに。
舞踏会で踊るのは『姫』。
本当は自分が踊るはずでしたのに。
隣の国では、緑色の髪の少女が姫なのに。


姫になることを奪った『姫』が憎い。
弟が、全てを、奪った。
だから、憎い。
だから、嫉妬する。


だから、捕まってしまった。
近衛兵たちは自分を、青のマントを羽織る『王子』を捕まえました。
気が付いたら『姫』の寝室に。
両手にナイフを携えて。


そうして、捕らえられた『王子』。
女王様と側近が処罰を決めます。
「仕方がない、処刑せざるおえない。」
悲しげな口調と顔、その仮面を付けた女王様が言いました。

邪魔だから、気付かれたのなら早く始末した方がよい。
そう考えたのでしょうね。


処刑の前に、姫はナイフで自分の髪を切りました。
最期まで、『王子』として逝こう、と。

処刑が行われるとき、こう言っていました。
「本当は僕・・・いや、そうじゃなくて”私”が姫になるはずだったのに。」

そうして、処刑台の上には、『王子』が。





緑が災厄で、不吉で憎悪の象徴。

なのに何で、お母様は微笑みかけるの?

どうしてそんな、嬉しそうな顔で見ているの?

どうしてそんなに、アイツを可愛がってるの?



ドウシテ私ヲ産ンダn・・・




処刑された、姫のはずの『王子』に代わり、王子のはずの『姫』が王位につきました。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Je manque de devenir

にーにゃんの曲を書かせていただきました。
でも、これ、何語? 読めないし意味がわからない。


というか、いつになく消化不良な感じ。
書き直すかもなぁ。

閲覧数:275

投稿日:2009/12/06 21:30:08

文字数:1,852文字

カテゴリ:小説

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  • ku-yu

    ku-yu

    ご意見・ご感想

    >>にーにゃ

    埋め尽くしちゃってますねぇ・・・。
    でも、まだ増やしてみせます(笑)

    ブクマありがとうございます!

    2009/12/07 14:25:37

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