10月31日、僕は仕事が無く、久々にお菓子作りをしていた。
めーちゃん、ルカ、ミク、リンレン、イアは仕事や他のボカロと出掛けていていない。
昨日の酔ったルカ曰く、今日はMIRIAMさん達の出身地である西洋8つの国の収穫祭らしい。魔除け?のために、子供達は仮装をして、家々を回り、お菓子をもらうらしい。
焼きあがって少し冷めたクッキーを丁寧に袋に詰める。
袋詰めを終え、テーブルから離れてソファにひっくり返る。
普段、7人で過ごしている部屋が僕だけになると広く感じてさみしくなる。
「はぁ…、暇だな…」カイコと約束した時間までは時間がある。
僕が船を漕ぎ始めた頃、テーブルの上で携帯が鳴る。
立ち上がってテーブルに近づき携帯を手に取り、電話に出る。
「もしも…」
『もしもし、お兄ちゃん!!今どこ?!』カイコが電話越しに叫んでいる。おもわず、耳を携帯のレシーバー部分から離す。
「え…どこって…家…だけど…?」
『お兄ちゃん約束の時間忘れてないよね?!
他のお兄ちゃん達誘っといたから早く来なさいよ!!いいね?!』
そう言って電話が切れた。
1時間後、僕は郊外にある待ち合わせ場所の森に来ている。
「トリック … トリート!」耳元でそう囁かれ、僕はびっくりして振り返る。
そこには、魔女コスの異母妹・カイコが。視線は肩にかけているバッグに行っている。
「はぁ…はい、約束のクッキー」バッグから青いリボンで口を閉めている袋を取り出し、カイコに手渡す。
「サンキュー!!」
袋の口を閉めている青いモールを解き、クッキーを1つ食べる。
「おにーちゃんの作るクッキーっていっつも美味しいよね!あたし好きだなー…。」「ありがとう…」クッキーを数個食べると袋の口を元のように閉じた。
「カイコ?」先を進む異母妹に声をかけると、普通通りに返事が返ってきた。
「なぁに?」ただし、僕の方を見ずにだ。
「僕の他に誰呼んだの?」と聞くと、「進めばわかるって!」と言った。
しばらくカイコの先導で森のけもの道を歩くと、開けた場所にでた。カイコは「着いたよ」と言うが、誰もいないし何も無い。
不意に寒気がする。天気でも崩れるのだろうか…。
空にやった視線を戻すと、カイコと僕の間に人影が。逆光だが、左手にはアイスピックを持っている。
「トリック オア トリート…」
耳元で囁かれた声と持っているアイスピックだけで誰かわかった。
「帯人…?!」彼は音も無く急に近づき、アイスピックの先を僕の喉元に突きつける。
『ヤバイ』と思い覚悟をした瞬間、少し浅黒い手が帯人の腕を掴む。
「帯人!ルール破ってどうすんだ?!」
赤髪に獣耳を着けたアカイトが現れる。帯人は僕を攻撃するが、アカイトにはしない。彼は僕の従兄弟の中ではリーダー的存在だ。
みぞおちにアカイトの拳が入り、帯人はみぞおちを抑えて崩れた。
「助かったよ…、ありがとう、」「いや…別に…いつものことだし…。で…」 そう言って、すっと右手を僕に向かって出す。お菓子の催促らしい。
僕はバックからクッキーを2袋取り出し、それぞれに渡す。
「なあ、カイコは…?」クッキーの袋を受け取ったアカイトが言った。そういえばそうだ、帯人に襲われかける直前まで一緒にいたはずなのに、今はどこにも見当たらない。
「カイトお兄ちゃん♪」背後からカイコの声が聞こえ、振り返る。
そこには、笑顔のカイコが立っていた。
「トリック ソウ トリート!お菓子くれたからいたずらしちゃうよ!」そう言ったカイコの手には、紙袋が握られてた。
「うああああああああああああ!!」 僕は全速力で逃げるが、カイコは追いかけくる。
「あいつでも、義妹のいたずらにはかなわないな…」アカイトがそうぼやいたのが聞こえた。
「待ちなさぁぁぁい!!」
「コスプレだけは嫌だぁぁぁ!!」
後日談だが、僕の絶叫は郊外の森から一番離れたミクとイアのいる場所まで聞こえたらしい。
結局、僕は逃げ切ることができず、吸血鬼風の衣装を着ることになったのは、他の6人には秘密にしておこう。(ちなみに、僕はカイコにマフラー踏まれて転びました。)
トリックorトリート?~カイ亜種×kaitoのハロウィン~
初投稿です!!
この前の23日に、某所に投稿した作品の元版に、多少手を加えたバージョンです!
KAITO兄さんを有名亜種3人で驚かせてみました。
グダグダ度が高めですが、お楽しみいただければ幸いです!!
*設定*
驚かす側
・カイコ…異母妹
・アカイト、帯人…従兄弟
*編集履歴*
10/30
カイコの台詞の意味を間違って覚えてたみたいなので、変えました(イェア→ソウ、くれても→くれたから)
最後に、捕まった理由もつけ加えました
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