可愛過ぎる。
「……リンちゃん、あなたそんな趣味だったの？」
　いきなりルカさんの声がしてびっくりした。
　その隣にはＧＵＭＩちゃん。
「あ、レン君だー！　かわゆい！　私こん中でメイドと巫女服と『鏡音レンの暴走』が好きだな～。萌える」
　机に広げてあるレンの写真を見て、ＧＵＭＩちゃんが歓声を上げる。
「ルカさんとＧＵＭＩちゃんが一緒にいるなんて珍しいね」
「『ハッピーシンセサイザ』歌ってきたの」
「すごいんだよ、リンちゃん！　私とルカさん向かい合わせで歌ってたんだけど、あの姿勢になると胸がすごｋ(ry」
「シャラップ」
「お兄ちゃんがルカさんに惚れたのなんとなく分かったよ」
「胸見て分かったなんて言わないでほしいわ」
「それよりそれより！　リンちゃんそれほしいな。データあるんなら焼いてくれない？」
　データはＰＣにあるので、プリントアウトして渡した。
「ありがとぉ！　レン君可愛いねえ萌えるわ」
「んでリンちゃん、どうしたの？　悩み事でも？」
「え？」
「眉と眉の間にシワを寄せて怖い顔してたけど」
　眉と眉の間の事を眉間っていうんだよ。
　その事をルカさんに教えてから、
「悩み事ならたくさんありすぎて困るよ」
「さっき悩んでた事は何かしら」
「教えてあげてもいいけど、その胸ちょうだいね」
「……冗談はよして」
「あっ、私もルカさんの胸欲しいなあ」
「冗談はよして！　でリンちゃん、相談してみない？」
「相談？」
「一人で抱え込むのはつらいでしょう？」
「まあ……」
「あ、分かった！　レン君がキュンキュンで萌えすぎて困っちゃうとか！」
　ないわそれ。
「……だってレンのが可愛いんだもん」
「レン君可愛いよ紳士さんがハァハァ言ってるのも分かる気がする」
「同じ顔なのに、女の私がこういう恰好するべきなのに！　うわーん、可愛いレンのばかぁー」
「うんうん、レン君可愛いよ」
　ルカさんは私にいいアドバイスをしようとうなってくれている。
　ＧＵＭＩちゃんは……あてにならない。
「でもね私、リンちゃんがこういう格好してるのも好きだよ」
「？」
「イケレン君も好きだし、イケリンちゃんも好きだよ。リン×レンも好きだし、レン×リンも好きだよ。まあ後者の方が好きだけど。レン君とリンちゃんがこういう恰好をおそろでしてると、すんごい萌えるんだ」
　萌える萌えると言われても嬉しくない……。
　ああ、こんな時にミク姉がいてくれたら、ＧＵＭＩちゃんの言葉を分かりやすいように翻訳してくれるのに。
「もちろん、ノーマルの鏡音も大好きだよ」
　ノーマルとか言うなノーマルとか。
「だから、ね？」
　ＧＵＭＩちゃんが私を抱きしめてほおずりして、言った。
「気にしなくていいよ！　リンちゃん可愛いもん！」
　息苦しいなあ。
　ルカさんはそれを見て、呆れたような微笑みを浮かべた。





　まあ、最後の言葉だけは理解できたから、
　気にしないで歌ってよう。