何一つ不自由ない生活
かしずく使用人達を相手に
誰が訪れることのないこの箱庭が
私の全て

孤独すら
私は知らない
想うことも
私は知ることがない

私が知るのはただ
人が決して見ることのない惨劇


荒れ狂うこの国の行く末
その果て襲い来るだろう争いを
私が紡ぐのは貴方だけしか聞かない
ただの戯言

涙すら
私は分からない
絶望も
私は分かりさえしない

私が分かるのはただ
神さえも止められぬ歴史の奔流


 貴方だけが私を知る
 この箱庭を訪れる唯一の命

 宝石のように守られて
 守られるしかなくて
 そして貴方を愛せない私


何一つ不自由のない環境
意志のない使用人達は機械で
誰も足を踏み入れないこの牢獄が
私の全て

淋しさすら
私は思えない
渇望も
私は望めないまま

私に見えるのはただ
止められぬままだった幻影の現実


 ……未来が視えて
 それで何が救えるというの?
 もう終わってしまうというのに


 この国は

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箱庭の少女

生まれてより宮から出ることの許されない幼い巫女。
彼女に従うのは命のない人形達。
唯一訪れるのは宮を管理する皇子一人。

人を知らない。
だから孤独を知らない。
それ故に世界を知らない。
けれど彼女はただ一人、終わるこの国の幻影に魘される。

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投稿日:2008/10/24 22:04:40

文字数:422文字

カテゴリ:歌詞

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