○---- くらいへや
まるでぼくは おりのなか
こわいめが げんえいとして つくられる
まるでぼくは くらいへや
ほそいいと がんじからめに したてあげ
ほどかれるのを きょひしてる
ちかづけば きっと あたたかい
けれど ちかづけば きっと
とんでひにいる なんとやら もえつきるのが
おそろしい
やみは つめたい あいは あつい
わがままばっかで きょうもすぎ
やみは つめたい あいは あつい
わがままもつきぬ むは かなしい
しらぬがほとけ なら しるはもうじゃ、か
しんじつを かくすぼくは
もはや こうしゃなのだ
ちかづけば きっと うつくしい
けれど とおくだと きっと
みにくくひかる だが がいは ない
そう ただの くらいへや
やみは つめたい あいは あつい
わがままにいだかれ きょうはすぎ
きみは つめたい ときに あつい
わがままは つきぬ ぼくは くるしい
まかれぬ ねじ もう うごけない
やみは つめたい あいは あつい
わがままに なげられ きみは ゆき
やみは つめたい あいは あつい
とりのこされた ぼくは それをしる
ここは くらいへや
○---- おまけ(短編小説)
「市場のおもちゃ」
もうすっかり暗くなっていたらしい。小さな子供部屋に電気も点けられず、僕はベッドに思いっきり投げつけられた。
その拍子に、僕の中の何かが外れる音がした。
僕は女の子の形をした人形。と言っても、薇(ぜんまい)を巻いてくれれば、ちょっとした動きのできる人形だった。しかし、投げられた拍子にどうやら、何かの歯車が外れてしまったらしい。
今日、元の持ち主にいらないよ、と告げられ「ふりーまーけっと」というお祭りのようなところに陳列された。そこへ、今の子供がベタベタの手で現れて、僕を抱きしめがてら元の持ち主から攫って来たのだ。どうやら、この期間中に売れなかったらゴミとして処理されていたらしいから、まぁ、ない命を拾ってもらったことになる。
「お人形さあん! ごはん食べて来たよぉ!」
しばらく経ってから、パッと部屋の電気が灯る。その子供が僕を乱暴に扱い過ぎたことにも気付かず、部屋へ戻って来るなり抱き上げられる。
「あれ……?」
そして、市場でしていたのと同じように、僕の背中に着いた薇を巻いてみていた。……しかし、やっぱりどこかが壊れてしまったらしい。
「ままぁ。お人形さん動かなくなってるよぉー!」
子供はまた、何の悪気もなく、僕をベッドに乱暴に置き去りにして、母親のところへ走って行った。
「わかったわ、あとで見て上げるから、先にパパとお風呂に入って来なさい」
声が段々近づいて、少しだけ開いていたドアの隙間から綺麗な手が覗き、簡単にこの部屋の光を消してしまった。そのまま小さな足音としなやかな足音は遠ざかって行く。
……どうやら、置き去りにされたみたいだ。巻いた薇が機能しなかったからなのか、とても乱暴な置かれ方だった。暗い部屋の一番奥から見る光は、僕を照らそうとしているわけではないと、悲しいくらいによくわかった。だから、少し眩しかった。そして、闇の中に置かれたベッドのシーツはとても冷たかった。
ふと、前の持ち主の部屋を思い出した。
いつも暗いままの部屋に押し込められ、用事がある時だけその背中を見せにやってきた。そのときに僕は初めて、闇の冷たさを知ったんだ。どれだけわがままに願っても、僕がその部屋から連れ出されることはなかった。
「まま、まま、早くお人形さん直してあげて」
「はいはい、見せてみなさい」
急に子供と母親が、その部屋の電気を点け、僕のところへやってきた。
母親が試しに僕の薇を巻いてみていた。……だけど、やっぱり僕は動かない。
母親はさらに訝し気に、僕を上下に振ってみる。朝には響かなかった金属音が鈍く耳に障った。
「壊れてるわ。壊れてるのを買わされたのよ」
「えー! だって、今日壊れてなかったよー!」
「あのお姉さんに騙されたのよ。明日もフリーマーケットやってたわよね」
母親は、子供よりも余程優しい手つきで、僕を子供に渡した。そのまま子供は僕を眺めた。お昼の熱いくらいの抱きしめを思い出して、大きな差のある視線だとこわくなった。
母親が子供のベッドから立ち上がり、子供の頭を撫でながら、軽く落とした。
――「返しに行きましょう」
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