初恋メロディー 双子蜜柑 そのにー
レンを引っぱたいたら、私の機嫌は良くなった。
でも、レンは…
「じゃあ、ちょっと寄るからね…」
と、ショッピングモールに着いてから
かなりブスッとして、3階のスポーツショップに入っていった。
「待って、待ってよ~」
私の声を無視してスタスタとバッシュコーナーに行ってしまった。
もぉっ!待ってって言ってるのに!!
そんなに強く叩いてないし、レンだって紅茶クッキーのことをメグミに
勝手に話したからレンだって少しは悪いんだよ!!
二人だけの思い出なのにさ~
まぁでもすぐにいつも通りになるか…
バッシュコーナーでレンはじぃ~っと靴を見てる。
「これなんかいいんじゃない?レンに似合うよ!」
いつもみたいに私が言うと
「それは駄目。似合うじゃなくて足に合わない。てゆーかリンうっさい。」
なっ!
「うっさいって何よ?うっさいって…」
「声がでかいんだよ、もう少し静かにしろ」
ムッカ~
いかんいかん、ここで何よ声がでかいって!?って叫んだらケンカになる。
ここは冷静に…
「ごめんごめん、あっ、これはどう?」
「それも駄目、てゆーかリンは分からないでしょ?いーよ見なくて。」
「っ!!」
レンの突き放す言葉に、怒るとゆうより少し傷ついた
そんな言い方しなくてもいいじゃん…
「…確かに分かんないけど、い、い、一緒に見るぐらいはいいでしょ?」
レンが私の事を不機嫌な目で見てくる…
「…まぁいいけど、今日は本当に見るだけで来たから…」
そういってレンは幾つかのバッシュを手にとって見て
「じゃあ次行こ」
へ?
もう?
「え?もういいの?だってまだ5分も経ってないよ?」
まさか、私がいない時に一人で見るとか…
「だから見るだけって言ったじゃん…」
いつものレンだったら……いや、同じぐらいだな…
いつも買ったとしても5分ぐらいだもんな…
今日は買ってないからこんなに短いのか…
別に…不機嫌ってゆーのは関係ないのか…
そっかそっか…私の思い過ごしか…
「次はどこに行くの?リン」
レンの声はかなり不機嫌だ
「あっ、え~とね…」
どうしよう…いつもだったら色んなショップに行って
この服どう?似合ってる?とか、これ可愛くない?とか
そんな感じで回るのに…
どうしよう、どうしよう…
その時、女の子二人がクレープを持ってるのを見て、
「あっ、1階のクレープ屋に行こうよ?新しくできたんだって」
「…………」
無言て…
「ど、どうかな?」
「…晩メシ食えなくなっても知らないからな…」
「平気平気、よし行こっ!」
エスカレーターに向かい、レンの方をちらりと見る
いつもだったら手を繋いでるんだけど…
レンずっとポケットに手入れたまま…
ポケットに手を入れているのは私に対して怒ってる証拠だ
む~さすがにまだ機嫌は悪いか…
よしっ!レンにクレープ買ってやるか!
それで機嫌が直るはずだ。
1階のクレープ屋に着いて、
「レンは何食べる?奢るよ~」
いつもだったら「レーン買って~」と言ってるが、今のレンには言えない。
言ったら冗談抜きの顔で、「は?金無いし」とか言いそうだ。
レンが頼むのは何かな?
やっぱりチョコバナナかな?
それともあえてブルーベリーかな?
さぁなんでも来い!!
「さっきクッキー食べたからいらない…」
なっ!?
なにぃっ!!
「えっ、えっ?」
いらない?
何で?
いや、理由は今レンが言ったじゃん…
「えっ?いらないの?私が奢ることなんて滅多に無いんだよ…」
「クレープまで食べたら晩メシが入んなくなるから…」
ごもっともな意見です。
「えっ、えっ、でも」
それぞれクレープを頼んで仲良く交換しようと考えていたのに…
「ほら、後ろがつっかえてるから早く頼みなよ…」
後ろにはかなりの列ができている。
「何にしますか~?」
店員さんが聞いてくる
「あっ、え~とじゃあ…」
レンが頼むの以外にしようと思っていたから、何を頼もうか考えてない。
「チョコバナナお願いします」
えっ?
レンがいきなり注文した
「な、何でっ?だってレンは食べないんでしょ?」
「そうだけど?リン、チョコバナナ好きでしょ。」
「あぁ~まぁそうだけど…」
「それに何も思いついてなかったでしょ?だから…」
「そ、そうですね」
私が選んでたら、あれもいいなぁ~、こっちも捨てがたいな~とか悩んで
かなりの時間を使っていたはずだ
そうなると後ろの方々にかなりのご迷惑をかけていたはずだ
「お待たせしました~」
店員さんにお金を払ってクレープ屋から離れる
もぐもぐもぐ…
「………」
もぐもぐもぐ…
「………」
もぐもぐもぐ…
どちらも何も話さず、私だけ黙々とクレープを食べる
沈黙がキツイ…
いつもだったら分け合って食べてるのに…
レンもどう?おいしい?とか聞いてくれない…
一応、聞いてみるか…
「…レ、レンも食べる?おいしいよ?一口だけだったらあげてもいいよ」
「…いやいい…」
予想通りの答えが帰ってきた
むぅ~、悪かったって思ってるのは分かってるはずなのに、なんで?
なんでまだ機嫌悪いの?いい加減に機嫌直してよ~
いつもみたいに話してよ~、レ~ン…
クレープを食べ終わると
「そんで?次はどこに行くの?服見んの?」
「あっ、うん、そう、服見たいかな~」
その後、2階や3階のショップに一緒に行ったが、
「いんじゃね?」
「あぁ…うん」
「あぁ、可愛いと思うよ…」
「リンがいいならいんじゃね?」
と、ずっと生返事に近い返事をレンはし続けた。
最初は私も、「レーンこれはどう?」とか、「似合う?ねぇ似合う?」
とかテンション高めに服とか小物をレンに聞いていたけど、
段々と
「これは何か良くない…」
「…こ、これ可愛いね…」
と、テンションが落ちてきた
そして段々と二人の口数が少なくなり、
二人が完全に無言になった時
「そろそろ帰るか…」
と、レンが言ってきたので
「…うん…帰ろっ…か…」
と、私もそう返す
全然…楽しくなかった…
もっと楽しめると思ってたのに…
レン…ずっとポケットに手、入れてた…
そんなに…怒ってるの?…私のこと嫌いになっちゃったの?
悪い気持ちのせいで、うつむいて私は歩く
「…………」
「………」
ショッピングモールを出て家に向かう
その間ずっとお互いに無言のまま歩いた
「…あ、」
「…ん?」
私の言葉に、前を歩いてたレンが立ち止まり振り返る
「何?どうしたの?」
いつもみたいなどうしたの?と、違う…
言葉にチクチクとしたトゲがある…
耐え切れなくなって私は、
「…ご、」
「…ごめん…」
「………」
レンはまだ無言
「…叩いたのはごめん、ごめんなさい、もう許してよ…」
私が謝ると少し間を空けて
「……何で叩いたのさ?」
まだ不機嫌な声で聞かれた
「…レ、レンが、紅茶クッキーのことメグミに話しちゃって、
そ、それが何か嫌だったの…」
「は?紅茶クッキー?」
レンがよく分からない?とゆう顔をする
「…うん…だってあれ、去年のバレンタインに私があげて、それでレン、
紅茶クッキー初めて食べて、好きになったん…でしょ?
そ、それでお返しに私にだけ紅茶クッキーくれて、そ、それで二人で食べて、
とっても…おいしかったの…
だ、だから…二人だけの思い出だと、私は、お、思ってたのに、
…そ…それなのに、レンがメグミに話して、今度作ってもらうって言って…
それで……ムカッとしちゃって…
た、叩いたのは、ちょっとやり過ぎたかな~って思ってる…よ…
だから…もう許してよ……ごめん……ごめんなさい…
いつもみたいに話してよレン……謝るからさぁ…」
話してる間スカートの端をぎゅ~っと握り締め
私の目には涙がいっぱい溜まってきた
「っ!あぁ~泣くな泣くな、分かった分かったよ、許すから、な?」
レンは少し慌てながら、服の袖で私の涙を拭く
「…本当?もう怒ってない?」
涙を拭かれながら尋ねる
「ホントホント、もう怒ってない!だから泣き止め、なっ?」
ごしごし…
「…うん…許してくれる?」
「許す許す!もう怒ってないって!
俺も少し怒りすぎた、悪かったよ、だから泣き止んでくれっ」
ごしごしごし…
「…分かった…」
ごしごしごしごし…
「…レン、目が痛い…」
「悪りぃっ!ごめんごめん、大丈夫?目ぇ平気?」
涙を拭くのを止めて、レンが私の顔を覗きこんでくる
「…うん、平気…」
顔を手で押さえて目を拭く
やっと…許してくれた…
良かった……
私が顔を上げると
「げっ、目ぇ真っ赤!悪りぃ!ごめんごめん!」
「…大丈夫、平気…」
「まぁ…俺も怒りすぎたよ…ごめんな。」
「…ん。」
…
……
………
…………
「…………」
「……えっと…」
私が何も言わないとレンが
「…帰る?…それとももう少しどっか寄る?」
……
「……どっか寄る…」
「じゃあ…家の近くの公園に行こっか?」
「……」
コクンとうなずく
「じゃあ行くか」
歩き出そうとしたレンに向かって
「…レン」
「ん?何?リン」
手を伸ばして、
「手ぇ…つないで…」
「っ!!お、おう」
少し顔を赤くしながらレンは手を繋いでくれた。
初恋メロディー 双子蜜柑その2
初恋メロディー双子蜜柑のその2です。
レンはバスケ部です。
小さくても頑張る子なんです。
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