―もう戻れないのかな?
「僕がずっと前から思ってる事を話そうか。」
『君』に向ける言葉を語る。
『君』には届かないけど…
「友達に戻りたいんだ。」
こんなことになるなら、友達のままでいたかった。
特別な関係なんて望まなければよかったんだ。
…そうすれば、まだ君と一緒にいられたのに。
「今日はこっちの地方はどしゃ降りの晴天だったよ。」
可笑しいだろ?
青空で雨なんか降らなかったのにな。
…でも、僕は濡れたんだよ。
何故だか僕の目の前だけ雨が降ってて、全然止まなかったんだ。
…あれ?また、少し降ってきたみたいだ。
「昨日は暇でさ、一日満喫してたんだ。」
暇なのは君と会えなかったから。
久しぶりの“一人”を満喫してただけだよ。
「間違ってもらっちゃ困るから言っておくけど、今まで話したことは君に関係ないからね?」
…嘘に決まってる。
君以外だったら、誰に話してんだよ、って感じだしな。
あー、頭が痛い。
何も考えられないよ。
グルグル、グルグル…
メリーゴーランドみたいに回ってく。
「この両手から零れそうなほど君に貰った愛はどこに捨てようか?」
君が僕の為だけに向けた言葉も君が僕にくれた思いも、全部大切なんだ。
捨てられないんだ…
“永遠の愛”なんて嘘だったんだ。
愛には限りがあったんだよ。
“消耗品”なんて知ってたら、求めなかったよ。
「君が僕に隠し事をしてたことだって分かってたんだ。」
君が僕の知らない男と話してる姿は見たことないけれど、言葉だけは聞こえてくるんだ。
僕の知らない所で君が笑ってると思うと気が狂いそうだ。
「この、君を思う気持ちは汚いのかな?」
君を大切に思ってるから綺麗なのか、それとも嫉妬だから汚いのか…
僕には分からない。
泣きながら僕に別れを告げた、君の本当の気持ちが分かるまで、僕は待つよ。
「待つぐらいいいだろ?」
前を見て進んでいく君と、立ち止まって君を待つ僕。
この縮まらない隙は、どうやって埋めようか?
…本当は分かってるんだ。
素直気持ちを君に話せば良かったんだよな。
それは簡単かもしれないけれど、とても勇気が必要なんだ。
素直になれない僕は
天性の弱虫さ
「この両手から零れそうなほど君に渡す愛は誰に譲ろうか?」
君に伝えたい、君の為だけの思い。
「…宛てなんて、あるわけないだろ。」
「もう一度戻れるなら……」
―まだ、待つよ
―もういいかい?
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