これは、私が以前投稿した Dixie Flatline さんのJust Be Friendsを二次創作した「ひかりのなか、君が笑う~Just Be Friends~」の続きの話、みたいなものです。
「ひかりのなか~」を知らない方は、ちょっと意味不明かもしれません。
 読んだことあるよ、もしくは、それでも良いよ、という方は、どうぞ。




 久しぶりですね。お元気ですか?私は、まぁまぁ元気。可でも不可でもないといったところです。
 突然の手紙にきっと驚いていることでしょう。私も驚いています。まさか、シンに手紙を書こうだなんて思う日が来ると思ってもいなかったから。
 今、時計が一時を回りました。窓の外は真っ暗です。そう、午前一時。こんな風に夜中に書いた手紙は次の日、太陽の下で読むと、とても恥ずかしい内容だったりすることが多々ありますよね。だからこの手紙も、明日読み返したら恥ずかしくなってしまい、投函すること無く捨ててしまうかもしれません。
 私は今度、日本でもデビューすることになりました。こういうのを逆輸入と言うのでしたっけ。しばらくは私の名前が定着するまで日本で活動することになりそうです。
 そしてその活動のひとつに、映画の主題歌の仕事がありました。
 もう、シンは聞きましたか?私があなたの本を原作にした映画の主題歌を歌うことになった話。それとも原作者は映画の内容にはノータッチなのかしら。
 その関係で、あなたの本を読みました。とても面白かったです。一見、全ての力を持っている者特有の、ある種の傲慢な態度を感じられるような文章でした。けれど、子供が未知の玩具を手に入れて楽しむような、そんな無邪気さもあったり、とても一生懸命で優しい眼差しを感じたりもして。この感じ。この本はまるでシンそのものだなぁ。と、思い、そういえば、ちゃんと真正面からあなたの書いた文章を読んだのはいつ振りだろう。と思いました。
 一緒にいた頃も、シンの本は読んでいました。けれど、ごめんなさい。あなたと別れる少し前から、あなたの視線が私ではなく物書きという仕事に向いていたことがやっぱり寂しくて悔しくて、ちゃんと向き合って読んではいませんでした。むしろ、こんなもの。と卑下していたように思えます。そういえば、実際にそんな事を口にして、シンを困らせてしまったこともありましたね。
 この仕事。最初は断ってもらおうと思っていました。もしかしたらシンが話題づくりのためにわざと元・彼女である私にこの話を持ってきたのか。と変に勘繰ったりもしました。
 ごめんなさい。あなたの本を読んで、シンのことを思い出して、シンがそんな事をするわけがないことに気がつきました。シンはいつだって自分の実力だけで欲しい物を手に入れる努力をしていたのに。
 正直に言います。私は今でもシンのことが好きです。だからこそこの仕事の話が来たとき、私はうろたえて変な勘ぐりをしたりするし、シンの本を読んだ後には、隣にあなたがいないことに泣きそうになったりもしたのだとおもいます。
 好きです。けれど、あなたのことを憎んでもいます。
 何故、シンは簡単に私のことを手放してしまったのか。私のことを思って、あんな、泣いているような演奏をするくせに、引き止めてくれないのか。一緒にいようという約束は、ずっと、ではなかったのか。
 そういったもろもろのことを思い返すと、胸が痛み、怒りと悲しみで頭が沸騰しそうです。許せない。という気持ちで一杯になります。
 けれど、どうしてだか、嫌いになることが出来ないのです。
 好き。と憎しみは相反する気持ちだと思っていたのですが、そんな事はないのですね。
 好き、だからといって恋人に戻れるとは思っていません。シンを許せない、憎んでいるこの気持ちがある以上、かつてのように無邪気に笑って、あなたの横に並ぶことは、きっとできない。そもそも、シンには既に新しい恋人がいるかもしれない。素直で可愛い女の子があなたの横にいるかもしれない。
 今、私がこうしてシンに打ち明けている内容はとても自分勝手な、押し付けでしかない好意です。これを読んだシンが腹を立てて、この手紙を破り捨ててしまっても仕方が無いと思います。
 けれど、シンと繋がっていたい。そう思ってしまうのです。
 笑ってもいいです。こんな矛盾だらけの気持ち、私自身、可笑しい。と思います。
 ああ、本当に、なんでこんなに長々と手紙を書いているのでしょうね。
 本当に一言、伝えようと思っただけなのに。
 友達になりませんか?
 そう伝えようと思っただけなのにね。
 こんな変な手紙、やっぱり投函するのは止めたほうが良いような気がしてきました。そもそも、シンがまだあの部屋にいるのかどうかも怪しいのだから。
 けれど、もし、もしも。まだシンがあの部屋にいて、私がこの手紙をあなたに届けようと決意したら。
 そのときは。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

午前1時からの手紙~Just Be Friends~

これは、ちょっと前にUPした「ひかりのなか、君が笑う」の続きと言うか、なんというか、まぁ、ルカからの手紙です。
ちょっとずらしてUPしたのは手紙だから。メールと違って時差があるからね、手紙。

というのは嘘で。
この手紙、原曲を考えると、とても蛇足なんじゃないか。と思ってしまったのです。
(そういったら、「ひかりのなか~」の1年後の部分もちょっといらないのだけど)
そして迷うこと2、3日。
折角書いたのだから、とUPしてしまいます。

こんなの曲とぜんぜん違う!と思った方、ごめんなさい。
でも読んでくださったら幸せです。

閲覧数:360

投稿日:2009/11/12 19:30:32

文字数:2,032文字

カテゴリ:小説

  • コメント4

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  • レイジ

    レイジ

    ご意見・ご感想

    続きあったんかい!!
    なんて今自分自身にノリツッコミした所です。

    蛇足と仰いますが、これがないと完成しないと思います^^;
    何せJust Be Friendですから☆

    シン作家になったのもこの為の布石だったのかと妙に納得しました。
    本当に文章上手いですね!

    と言うことで錯乱したコメント失礼致しました☆

    2010/03/18 21:30:12

    • sunny_m

      sunny_m

      >レイジさん
      あはは?☆はい、続きがあったんです。
      続きと言うかなんというか。

      未練たっぷり下心満載な「友達になりませんか?」だなぁと本人は思っているのですが。
      (物凄く台無しな発言)
      そう言っていただけて嬉しいです。

      いや、シンの本が映画化してその主題歌をルカが歌う。というネタは、実は、意図してなかったんです。
      そう繋がったか!と書いている本人が一番吃驚したのです。
      (更にとても台無しな発言)
      基本が適当なのです。ごめんなさい。

      読んでいただき、ありがとうございました!

      2010/03/19 16:22:07

  • sunny_m

    sunny_m

    ご意見・ご感想

    >カサブランカさん
    ここまで読んでいただいて、ありがとうございます!

    シンバージョンですか、、!それは考えていなかった。
    でも、うん。シンはきっと手紙は書かないと思います。
    彼は文筆業をしているくせに、手紙を書くのは苦手な気がしますね。

    この2人は、幸せになってほしいですが。どうなんでしょうね。

    読んでいただき、ありがとうございました!

    2009/11/11 00:05:21

  • sunny_m

    sunny_m

    ご意見・ご感想

    >nasumi様さん
    読んでいただき、ありがとうございます!
    作者的には、この2人に幸せな道を歩んで欲しいのですが。
    ちゃんとルカは手紙を出すのかな~?

    2009/09/23 00:03:22

  • nasumi様

    nasumi様

    ご意見・ご感想

    電車の中でウルウルしてしまいました(´;ω;`)
    このシンとルカには幸せになってほしいなぁ

    2009/09/22 07:01:15

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