「始音カイトです。よろしくお願いします。」
その声を聴き、私は驚いて彼のことを見た。
夢で見た彼にそっくりだった。
「うそ…。」
思わずそう呟いた。
「始音の席は咲音の隣だ。ちょうど空いてるだろ。」
「咲音?…わかりました。」
―やばっ、こっち来た!
そう思って身構えたが、よく考えたら彼が私のことを覚えてるワケがない。
私だって今日、夢で気づいたんだから。
「あの、よろしくお願いします。」
「あ、あぁ。よろしくね、始音君。」
「はい。」
思った通りだ。彼は私のことを覚えていない。
そのことにホッとしながらも少しガッカリした。
―…なんでガッカリしたんだろ?
それからは順調に授業が進んでいった。
彼に教科書やノートを見せる時は緊張した。
だけど無事に終了して、放課後になった。
帰ろうと思って準備していると、彼が「今日はありがとう。」と言って微笑んだ。
その笑顔を見て、不覚にもドキッとした。
そのせいで固まってしまった。
「?どうしたの、咲音さん?」
「っ!ぜ、全然大丈夫だから。」
いきなり顔を近づけてきて、かなり驚いた。
「ボーッとしてた私が悪かったかもしれないけど、いきなり人の顔覗くのはやめてよね。驚いたじゃない。」
思わず照れた顔を隠すように、そんなことを言ってしまった。
「ご、ごめん。」
「あ、いや。私が強く言い過ぎたかも。別に謝らなくていいわよ。」
「………。」
「………。」
少し気まずい雰囲気が流れる。
―気まずい…。何か話さなきゃ。
「「あの、」」
「「………。」」
見事に被ってしまった。
「さ、咲音さんからどうぞ。」
「わ、私はいいわよ。始音君からどうぞ。」
「じゃあ…。あの、咲音さんって…、」
「メ~イコ、帰ろ!……って、私邪魔した?」
「そ、そんなことないですよ。」
「そうよ、何言ってんの。ごめん始音君。後で話聞くから。帰ろうかルカ。」
「え、いいの?」
「僕はかまわないです。後から言います。正直、何話していいかわからなかったし…。」
「それならいいんだけど。じゃあね、カイト君。」
「さよなら、始音君。」
「はい。また明日。」
――彼のことを考えると、ドキドキする。……これって恋なのかな?
~☆続く☆~
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そして少しでも笑えたら
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上手くいかないことばかり
それでも諦めたくない...アイの歌
sis
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ご意見・ご感想
禀菟
ご意見・ご感想
恋愛経験ないのによく書けるな~。
ま、俺も恋愛経験ないけどww
めーちゃん可愛い!
カイトは鈍感でいいのか?
2011/04/13 19:04:54