ユア視点
「ユウ…。いえ、今はあなたのことは考えません。私に重要なのは、操られているUTAUの奪還及び、悪UTAUの殲滅です。あなたについては、後に回します」
私は、今は彼の事など考えず、目の前に居る敵を倒す事…。
【悲しいね、ユア。そうか、それもあいつらのせいなんだな。僕を除け者にした、あいつらのっ!ルゥネ、ノイジェリアからサリナのウリュエイションを出してくれ、サリナ、いけるな?】
【承知いたしました】
【…優しい人を、助けるために…】
ノイジェリアという戦艦、其処に居るユウという人と、ルゥネ、サリナ…。
そして、他にも居るであろうUTAU達…。
「かかってきてください、私には、あなたがたが、UTAUやVOCALOIDにとって恨むべき対象であると思うのですがね」
【君には分からないよ…僕の16年間の寂しさと、苦しみが!】
『悪UTAU反応…悪UTAUが来ます!皆さん注意してください!このエネルギー反応は今までの比ではありません!』
「分かりました、実衣さん。リア、ミア…いけますか?」
『大丈夫、お姉ちゃん』
『お姉様、私も決心は固めております。初めて戦闘に参加した時から…』
私は、2人には申し訳ないと思っています。
2人をこの戦いに巻き込んでしまった私の未熟さが、私の心に染み付いて、広がって…。
でも、それは今悔やんでもどうしようもない事で、これは2人が決めたことだから、私が何かを言う理由は何も無いのです。
「…分かりました。ピヨさん、黒子さん」
「ピヨ、ピヨッ!」
「『我々も承知しております』私も、ユアさんについていくって決めてますよ」
ピヨさんと黒子さんは、敵と戦闘をする体勢を整えています。
「俺達がこうやって戦っている理由っていうのは、誰かを助けたいからっていうのだろ、こういうのは、俺には似合わないかもしれないがな」
「まあ、サウ、良いんじゃない?私は、最初はララちゃん達が戦ってるから戦ってたけど、ミクさんが消えたり、ララちゃんの精神崩壊が起こったり…色々あって、私、分かったんだ。仲間の為に戦いたいって、ララちゃん達の役に立ちたいって」
「私もよ、悪UTAU…彼らは許されない事をしたわ、悪UTAUの裏に居る人物を、確実に見つけないといけないわね」
『怖いですよ?色々、怖いのが…ますたあぁぁっ!』
『でも、戦わなくちゃならないんだ。バクト』
「そうだよ!僕達は、UTAUの人達を助けるために、悪UTAUのやってる事を止める為に、戦ってるんだから!」
「ルビア様達の言うとおりです。ですから、私達もユア様についていきますよ。悪UTAUと…その後ろの者を倒しに…」
「よく分からない事になってるけど、私達だって頑張るもん!」
「リウだって頑張りますよ!モカマスター、一緒に頑張りましょう!」
「皆これだけ頑張ってるもん、私だって頑張るよ」
「私達の命は、歌とユアさんにかけてありますから」
「リユウ、皆を守りたいの!頑張りたいの!」
「兄貴に助けられてばっかりだし、それに、悪UTAUには借りがある」
「皆さん…」
みんなの言葉に、私は励まされている気がしました。
『ボク達だって、今は戦えないけど、応援してるし、戦えるようになったらその分頑張るしさ』
『俺達も、決心とか、そういうの、一応ついてるんだぜ』
『俺も、ララが見つかって、俺のやる事が大体終わったら、ララにバトンタッチして、時々出てきて悪UTAUなんて蹴散らしてやっからよ』
『僕だって…ララの為だけじゃなくて、僕の思ったとおりに動く。最近、分かってきた…』
「…ミユウ、ボイス君、アクア、ルル…」
『私達だって、思いは一緒です』
実衣さんも、皆、私の思いに答えてくれる。
私も頑張らなくては…。
【…ユア、あくまでも、そっちに居るんだね。なら、力ずくで連れ戻すまで!】
『悪UTAUが大量発生!皆さん直ちに応戦してください!』
実衣さんの声で、私達とノイゼリエスの戦いはまた、始まりました。
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ミユウ視点
「…ボイス…」
気付けば部屋にはボイスが入ってきていた。
「ミユウ、大丈夫か?さっきあからさまに壁にひびが入る音がしてたが」
「えっ嘘っ!?ボク、そんなに叩いてたかなぁ…」
さっき悔しくてつい壁を叩いてしまっていた。
まさか、それがボイスに聞かれてたなんて…。
「まあいい、ミユウが落ち込んでないかと思ってな」
「あ、あっそう…」
あれ、もしかして落ち込んでたのばれてる?そんな…。
気付かれたくなかった。強くあらなきゃ、そう思ってたのに。
「…強がるなよ。お前が無理しようとしてるの見るたび、俺も、リユウちゃんも、苦しいからさ…」
「…分かったよ、もう、我慢しないよ…。私、私…っ」
気付けば、私はボイスに抱きついていた。
「頑張らなきゃって思ってた…。一人で勝手に抱え込んでた…でも、ボイスが居る…リユウが居る…皆が居る…私は、一人だけで抱え込まなくて…っ!いいんだね…!」
「…ああ…」
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リユウ視点
「…皆、頑張ってるの…。でも、リユウ、誰の力にもなれないの…?」
【発射準備完了…狙うのは…貴方です!】
その時、サリナが銃口を向けた先には、ノイズ君…!
「くそっ!」
もう、リユウは何かを失うところを見たくないの…。
お願い、間に合ってなの!
【発射】
そして、サリナの発射した銃弾は、リユウの体を貫いていたの。
『あ、ああ…り、リユウ…』
ああ、お姉ちゃんの声が聞こえるの…。
ごめんね、お姉ちゃん、リユウ、ずっとそばに居れなくて…。
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ノイズ視点
「リユウッ!」
俺をかばったリユウは落ちて行くそんな…。
やめろよ、そんな事されると、俺がミユウに怒られるんだぞ?
やめろ、やめろおおおおおおっ!
「ノイズ君、こっちは私達に任せて、ノイズ君はリユウちゃんを!」
「わかった…ミクさん…」
俺は、落ちて行ったリユウを追って、下へ降りて行った。
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ミユウ視点
「…リユウ…?」
「…」
リユウが、撃たれた。
ノイズ君をかばって。
誰かの為に、あの子は動けるって分かってる。
でも、リユウは、リユウは…。
直感で分かる。もう…。
『ごめんね、お姉ちゃん…リユウ、ずっと、傍に居れなくて…』
「リユウッ!」
リユウの声が聞こえた。
「お前、好きな奴が居たんだろ!ソイツに思いを伝えるって、言ってただろ!」
「…落ち着け!」
「これが落ち着いてられるか!!!」
「ミユウ…」
リユウ、リユウ…!
居なくならないで、此処から、いなくならないで…ボクをおいていかないで…。
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ノイズ視点
「…リユウ…」
リユウは、ボーレイシェンの中で今にも目を閉じそうなくらい開いた目で、俺を見つめていた。
「リユウ…ね…最後に…伝えたい事…あるの…」
「最後って何だよ…。お前、姉が居るんだろ…お前の姉が、心配してるぞ…」
行かないでくれ…。逝かないでくれ…。
どうして、俺なんかをかばって…。
「リユウ…ノイズ…君の…こと…が…」
「いわ、い、言わないでくれ…止めろ…」
「大好き…"だった"…の…」
そして、その時まで確実に開いていたリユウの目は、完全に閉じられた。
リユウの手を取ってみる。
リユウのコアのある場所を触ってみる。
…起動して、ない…。
リユウは完全に機能停止していて、もう動かない。
亜種に代えはきかない…。
リユウは、死んだんだ。
「おい、好き"だった"ってなんだよ…!返事、いえないじゃないか…!おい…リユウ…」
「…通信、つなげてください…。安心音リユウは…」
その言葉をちゃんと伝えたかどうかは、自分自身でも覚えてない。
ただ、空虚だけが、広がっていた。
続く
歌姫戦士ボカロボット第42話
リユウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!
前々から死亡フラグたてまくってたけど本当にしぬなあああああっ!
次回予告
ミユウ「リユウが死んだ…。それは、取り替えようも無い事実で、リユウがもう二度と、ボク達の元には戻ってこない事も分かった。ボクは、ボクはどうすればいいんだよ!次回「空虚」何をすれば良いのか…分からないよ」
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