※諸注意
・カイト×マスター(女性)
・妄想による世界観
・オリキャラ満載
・カイトは『アプリケーションソフト・VOCALOID・KAITO』の販促用に開発されたキャンペーン・イメージロイド(?)機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』
恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです
上記が許せる方は、自己責任でスクロールして本編へどうぞ
☆☆☆☆☆
オレは十二歳まで、両親に男として育てられた。
それには、已むに已まれぬ理由がある。
シャングリラ・第十六話~過去~
SIED・SINOBU
オレの母さんは、世界経済の半分ほども牛耳ると噂される大企業のご令嬢だった。
各国に、網の目状に張り巡らされた系列、関連会社は、幾万を超えるといわれている程の大規模だ。
でも、肥大化しすぎた組織の人間関係、殊に、醜い権力争いや継承者問題に辟易した母さんは、十六歳で家を飛び出した。
むしろ、本気で命の危機を感じるような血生臭い事件も、親族同士でいろいろあったんだって。
詳細は全て握り潰されて、結局表沙汰にはならなかったけど。
そして母さんは、当時お祖父さんと絶縁関係にあった親戚の加奈さんを頼り、渡日した。
小さい頃から、二人は仲が良かったらしい。
加奈さんが、どうしてお祖父さんと絶縁したのか…今もってオレは知らないが。
で。
この遠い異国の地、日本でひっそりと自活すること数年…。
慣れないことばかりで苦労も多かったようだけど、その中でオレの父さんと出逢い、結婚して幸せになった。
だけど。
オレが生まれる数ヶ月前。
当時妊娠中だった母さんを、見つけ出したオレのお祖父さん(母さんにとっては実父)が帰国を迫り。
それを拒んだ母さんに、ある条件を突きつけた。
『生まれてくる子供を、跡取りとすること、』
なんでも、長い歴史あるこの会社は、先祖代々直系が受け継いできたらしく、血筋を重んじるお祖父さんは、どうしても母さんに戻ってきて欲しかった。
それがダメなら、子供をよこせというわけだ。
…この経緯についても、いろいろゴタゴタしたやり取りがあったらしいが、詳しくは聞いてない。
多分、加奈さんなら知ってるんじゃないかな?教えて欲しいとも思わないけど。
『わかりました。でも、子供が二十歳になるまでは、親元で育てさせてください、』
条件を条件で返した母さんの計らいにより、オレは日本で生まれ、父さん母さんに惜しみない愛情を注がれながら、すくすくと育っていった。
ただし、男として。
これは、両親が企てた大きな『計画』のために、どうしても必要なプロセスだった。
それともう一つ。
オレの身の安全を護るため、…でもあったハズなんだけど。
「あっはは…まさか、今更また『昴』に悩まされる日がこようとは…、」
オレは一人部屋の中で、乾いた笑い声を立てた。
うん、もう自嘲以外にすることがない。
昴。
加奈さん以外で、数少ない日系企業を抱える親族だ。
そこの御曹司・昴要に、昔、無理やり拉致られて、危うく手篭めにされそうになったことがある。
一体何処から情報を仕入れたのか、オレと瑞樹の通う学校に、そいつは転入してきた。
そこには、本家の人間であるオレと交流を持たせたいと、昴家の当主の意向があったようだ。
『よろしくね、篠武君、』
随分馴れ馴れしげに、オレの手を取った要のにやけた顔は、今でも覚えている。
当初から、意味もなくべたべたしてきたり、用もないのに見つめてきたりして、物凄く気持ち悪いやつだとは思っていたけど。
それにしたって…当時、何処からどう見ても『男の子』だったオレを、よもや襲おうとする輩が存在するとは…。
まぁ、未遂だったからバレずに済んだが。
寸でのところで助けてくれた瑞樹曰く。
『多分あの人、両刀なんだよ、』
とのこと。
しかも、本家筋の跡取りであるオレを囲いたいと、家族ぐるみで画策していたらしい。
本来ならば、身を護る意味も込めての男装だったのに。(女全開だったら、それこそ強引に孕まされて、世継ぎの後見人という地位を、親戚中に狙われてた、)
こんなんじゃ、全く持って意味がない。
それ以来、オレは昴家の人間は一切受け付けなくなった。
…ああ、思い出しただけで吐き気がする。
「よりにもよって、カイトの嫁ぎ先(?)が、昴グループ末席の会社とは…、」
関わりあいたくない、絶対に。
あまつ、そんな会社に席を置くなど言語道断。天地がひっくり返ったってありえない。
更にいえば、カイトを納品するのもやめさせたいくらいだ。
「はぁ…いっそ、カイトを攫って逃げてしまおうか…、」
いや、できないけど。
「むしろ、さすらいの旅にでもでよう。何もかも忘れて、あははうふふと笑っていたい…、」
うん、意味不明だ。
いい加減、自分の晒されている状況に嫌気が差して、いい具合に現実逃避をしながら、脳内で一人ボケ突っ込みを繰り返していたら。
ガチャリ、
「あの、…戻りました、」
ドアが開いて、カイトが帰ってきた。
先に戻ったオレを非難しているのか、少し拗ねたような声色に苦笑して振り返る。
「うん、お帰…、り…?」
でも、その先にあったのは。
「篠武さん、…オレのマスターを断ったって。本当ですか?」
仄暗い光を剣呑なまでに湛えた、紺壁の瞳だった。
おおう、バレてーら。
ってか正隆さん…あっさりバラすなよ…。
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素直に なれない
ホントは こんなんじゃない
ありのまんま 見せたいのに
(Bメロ)...「ありのまんまで恋したいッ」
裏方くろ子
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