初恋メロディー 双子蜜柑 そのはち



朝日が窓から入ってくる

朝日で私の部屋全体が明るくなっていて、埃がキラキラと光っている

……もう朝だ……起きなくちゃ…

ぼんやりとした頭で思考を始めて、

……そういえば……何で…

むっくりと起き上がり、かけていた布団をとりながら

「…ん~、おはよ~~、レ~ン……」

目を擦りながら隣で眠っている私の双子に声をかけた

す~、す~

レンは私の横でまだ眠っているので

「起きて~、レン……あ~さ~、だよ……」

ゆさゆさとレンの体を揺らすと

「…ん……朝?……眠い……」

目を開けずに私に返事をしてまた眠ろうとするので

「朝だよ……起きて~~、レン……」

「……ん~~、起きる……揺らすな…起きるから~」

そう言ってようやくレンは起きた

「……まだ眠い…寝かして…」

「…ダメだよ……起きて~」

私達は目を擦りながらベッドの上で向き合っている

「…寝てる間に…レンの気配がしてたから…驚かないけど……なんでいるの?」

「…ん~?昨日……一緒に寝たから……」

「…だから…何で一緒に寝たの?……ん~、何で?…」

「…俺…ふあぁ~あ…昨日…リンのノート…書いたから…」

「…ふぁ~あ…ノートって?…へ?…何?」

「ん~?英語の宿題…昨日リン…自分のノートに書いてなかったでしょ?」

「へ?………」

……

………

…………

ゆっくりと昨日のことを思い出していって、

!!!

そしてガバッ!っとベッドの上に立ち上がって

「わぁぁぁーーー!!!!そうだった!そうだった!書いてない!!

書いてないよ!!レンのノートにしか書いてない!!やってないよ!!」

「うおっ!!びっくりしたー!だから俺が…」

私が急に大声を出したのでレンはかなり驚いた

「そうだよっ!!やってないじゃん!!どーしよ!?どーしよう!?

やっちゃった!!やっちゃったよ!!どーしよレン!?どーするの!?」

レンに助けを求める

「だから俺がやったって…リンの分やった…」

「ど、ど、どうしよう!?ヤバイよ!!かなりマズイよ!!どーしよう!?

今からじゃ間に合わないよ!!マズイよ!やってないよ!!」

「リンのノートに俺書いたからっ!俺やった」

「先生に怒られるよ!!どーしよ!!」

「だー!かー!らー!俺がリンの分をやった!やりました!」

「どーしよーー!!マズイ!!書こう!!」

と私は机に向かい

「だからーー!!俺がやったのっ!!リンの分やりました!!」

椅子に座ってノートを開いたときに

「やばいー!!………ってあれ?書いてある?………何でよ?」

ページには昨日私がレンのノートに書いた訳が書いてあった

え?何で?書いたっけ?

「だからーー!!書っ!いっ!たっ!俺が書いたの!!」

ペラペラとページを捲りながら

「あれ?やってあるじゃん?何で?全部やってある……ねぇレン知らない?」

ベッドにいるレンを見ると

「お前ーー!!俺の話聞いてんのかーー!!?やったって言ってるだろ!!」

そうレンが叫んだので

「へ?…………」

「はぁ…はぁ……さっきから…はぁ…俺やったって…い、言ってるだろ…」

レンがぜぇはぁ…と呼吸しながら

「レンがやった?はいっ?へ?本当?ホントにレンがやった?」

「だから…はぁ…やったって言ってんじゃん…聞けっ!俺の話を聞けっ!」

はい?レンが?

ノートを持ちポカンとした顔のまま

「え?レンがやった?え?いつ?どのように?」

「はぁ…どのようにじゃなくて、どうしてだろ…昨日の夜だよ…」

「昨日の夜?え?何時ごろ?知らないよ?」

「12時前だよ…お前は完璧に寝てたから知らないよ…」

「は?12時頃?私知らないよ?もう寝てたよ?」

「そう言ってんだろ!お前は寝てて、その間に俺が書いたの。」

え?

「え?何でレンが書いたの?どうしてよ?」

「お前がやってなかったから…」

レンの言葉が耳には届いているが、靄がかかった頭は受け入れない

「なんで知ってるの?」

「俺のノートしか机の上になかったから!」

「それで?」

「それで?それで鞄開けたらリンのノート入ってて、ノートに何にも

書いてなかったから、俺がやった。分かった?」

レンが書いた?何を?ん?

「え~と………ゴメン、もう一回言って?」

「だーかーらー!リンの代わりに俺がリンの宿題をやったの!分かった?」

「え~~と……」

「もう言わん…」

「………」

「……まだ分かんないの?」

「…………」

「おい、リンまだ分かんない?」

「つまり……」

「やっと分かったか……朝から疲れるな~」

頭の中でレンの言葉が繋がっていって

「…私が知らない間に…宿題が終わっていた…」

「そうそう、俺がやったの…やっと分かってくれたか…」

つまり、

レンは私だから…

「私が終わらせていたと…」

「違ぇーーよ!!俺が終わらせたの!!何でお前がやってんだよ!?

お前が寝てる間に俺が終わらせたの!!まだ分かってないか!?」

!!

「あぁ~~!!分かった!ようやく分かった!つまりレンがやったと…」

「最初からそう言ってんじゃん…やっと分かった?」

「分かった!!」

つまり

「ありがと~~、レ~ン~~」

そう言って椅子から立ち上がり、レンに抱きついた

「やめんかっ!抱きつくな!」

「ありがと~~、やった~~、良かった~~」

レンの首に手を回しぎゅ~~っと、力いっぱい抱きしめ

「レンありがとうっ!大好きっ!嬉しいよ~~」

「離せっての!!やめなさい!!離れろ!!」

レンから顔だけ少し離して

「レンありがとう!!嬉しいからキスしてあげるっ!!」

「いいよしなくてっ!!そんな年じゃないだろ!!年を考えろっ!!」

ん~、とキスしようとするとレンが私の頭を押さえた

「照れなくていいよ!今この部屋は私とレンだけだから!」

「そーじゃねぇだろ!!やめろっつーの!!」

「え~~?昔はよくしてたじゃ~~ん?いいじゃん久々に~?」

「やめろっつの……ノート書いただけで何でキス?」

「嬉しさを表そうとして?」

「しなくていいです。表さなくていいです。もう十分に分かりました。」

「ほら、最後にしたの去年の誕生日じゃん?だからいい機会だよっ!」

「あれはお互いに酔ってたからだろ!!何だよいい機会って!?」

レンの言葉に私はキスを諦める。

「もぉ~分かった分かった。キスしません。」

別にそんなに気にしないでしょ?お互い

「それでいい」

キスはしないが私はまだ、レンの首に手を回している。

そして至近距離にあるレンの顔に

「そういえばレンは何時ごろに帰ってきたの?」

私が寝てて覚えてないとゆうことは11時ちょっとかな?

「あぁ、カラオケに行ったから11時はn…っ!!」

言ってる途中でレンはしまった!とゆう顔になった

2人の間に沈黙が流れて

「………………カラオケ?」

「…………」

「………カラオケ?」

「…………………」

私の問いに目だけ逸らし答えようとしない

なるほど…

すっ、とレンの首に回していた手を左手だけ下ろして、

右手はそのまま自分の顔の横に移動。手の平はレンの方に向いている

「………」

「………」

「………」

「………」

お互いに何にも言わないとレンが目を瞑ったので

パァン!

「痛っ!!」

レンをひっぱたいた

「…………」

無言のレンに私はにっこり笑顔で

「朝ご飯食べて……学校行こっか?」

「………はい……すみませんでした…」


私が着替えだすと、レンは左頬を抑えながら私の部屋から出ていった



2人で1階のリビングに行くとお母さんが

「2人ともおはよー。あら?どうしたのレン?浮気した後の男の顔みたいよ?」

「ある意味レンは浮気したから…」

「…もうちょいマシな喩えを出してよ…母さん…」

「浮気しちゃダメよ?ひっぱたかれる程度ならまだしも、中には男に

復讐する人がいるから気をつけてね?

はいっ、朝ご飯ね。今日もバナナオンリーです。手抜きじゃないからね!」

と、手抜き朝ご飯のバナナとバナナジュースを出してきた

「またバナナ~~?もうバナナジュースも飽きた~~」

「復讐って何!?そんな人いるの!?」


それぞれ朝ご飯の感想を言って食べ始めた





「「行って来ま~す」」

「行ってらっしゃ~~い」

家を出て、歩きながら手を繋ぎ

「今日はレンは部活なんだよね?」

「うん。リンも部活だっけ?」

「そうだよ~、しかも今日から新しい先輩が来るらしいの。」

「へ?この時期に来るの?」

珍しいね…何で?とレンが聞くので

「うん来るの。昨日宿題を1人で!!やってる時に先輩から、

『リンに報告。明日から私のクラスの合唱部の子がウチに入ります。

詳しいことは明日の部活で教えるよ~~』

ってメールが来たの。だからちょっとドキドキしてるの」

どんな先輩かな?やっぱり合唱部の人だから恐いのかな?

あぁ不安だ…

「1人でやらせてすみません。そっか……楽しみ?」

「楽しみかどーか。って言うと微妙だね…だって合唱部の人だもん…」

「合唱部の人だから何なの?何かあるの?」

レンが疑問に思うのも当然だ

「レンはバスケ部だから分かんないか…合唱部の人ってみんな恐いらしいの。

文科系の部活の間じゃかなりの噂になってて、

なんでも…嫌いな先生を辞めさせた~とか、練習で病院送り~とか、

歌声のために肉体改造をしてかなりのマッチョ~とか、色々あるの」

「何その噂?マジで?」

「マジマジ、肉体改造される前に必死の思いで逃げた~って人いるらしいし」

「嘘くせ~」

「本当だって。話によると運動部の男の子に匹敵するほどの運動能力だとか…」

「どんなヤツ等だよ…」

「さぁ~?部活説明会に行ってないから知らな~い。見てな~い。」

私とレンは入る部活を決めていたので、1年への部活説明会をサボったのだ。

あぁ…でも恐い人だったらどうしよう?

ウチのやり方を甘い!って怒るのかな?

合唱部みたいに滅茶苦茶ハードな練習を毎日やらせたりするのかな?

でも先輩のクラスメートだから平気…………かな?

う~~~ん、不安だ……

今日から来る新しい先輩のことを色々考えていると

「リン、そういえば杏仁豆腐どうした?」

レンが私の机の上に置いてあった杏仁豆腐のことを聞いてきた

「ん~~?持ってきてるよ?食べる?」

と鞄からコンビニ袋を取り出した

「持ってきてるの!?帰ってから食べろよ」

「今食べちゃおっか?」

「歩きながら!?まぁいいけど…」

「ちょっと鞄持って」

レンに鞄を持ってもらって杏仁豆腐のふたを開け、スプーンで一口すくい、

食べた

「おいし~、甘くておいし~、レン、ありがとね」

「あ~い。」

「レンも食べる?」

「え?いいよ別に…」

「レンも食べるよね?」

「え?あぁ…はい。食べます」

スプーンで一口すくって、レンに

「はい、あ~~ん」

「あ~ん」

「どう?おいしい?」

「ん~、甘い」





いつもと同じかな?

そんな風に思ったある春のことです。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初恋メロディー 双子蜜柑その8

初恋メロディー双子蜜柑のその8です。

リンが言う演劇部に来る新しい先輩とは!?

と、ふざけましたけどミクのことです。

閲覧数:78

投稿日:2011/11/09 14:31:31

文字数:4,727文字

カテゴリ:小説

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