1初音ミクの実在(1)

 われおもう ゆえに われあり 
 デカルトに ならいて おもう
 ―― ゆえに きみあり


2初音ミクの実在(2)

 われおもう ゆえに われあり
 われはきく きみのうたごえ ゆえに きみあり


3とおりすがりの風景

 すれちがう

 かごにのぞいた

 ながねぎは

 はつねみくへの

 ささげものかな


4「日々是好音」

 まいにちが

 いいひであれと

 ねがうこと

 きみのなまえに

 よせてつぶやく


5ボカロだいすき

 み ち び か れ 五 線 の 先 の 未 知 の 国 ボ ー カ ロ イ ド と 始 め る 旅 路


6「みくよん」を読んで(1)

 とおきひの

 きみにまなんだこのうたを

 きょうもうたうよ

 みんなへ

 きみへ


7「みくよん」を読んで(2)

 みくひとり

 つきのひかりにてらされて

 ひろきしじまに

 きくピアニシモ


8「みくよん」を読んで(3)

 めは

 みみは

 こころは

 いまもひらいてる

 「さあうたって」のこえをまってる


9歌をおぼえる

 うたごえは

 おもいのバトン

 うけとめた

 うたのかずだけ

 ひとをしるきみ


10うた

 だれよりも

 やさしいこえに

 つつまれて

 ことばはおとと

 ともにたびだつ


11打ち上げ花火

 とりどりの

 ひかりうつくし

 よいぞらに

 ひらくみどりの

 ひかり

 いとおし


12はちがつ

 はちがつの

 けしきはたのし

 このくにの

 うみしみどりに

 みをつつまれつ


13秋

  ―― 幸 生 初 音 国  願 作 太 平 民 ―― 

    秋 深 み 初 音 の 国 に 高 き 空


14このくにのスターたち

 おたべよと

 かおをさしだす

 パンがいる

 おききとうたを

 うたう

 こもいる


15マラソン大会に出たボカロ主の脳内

 あと5キロ

 最後の周の砂利道の

 鈍き走りを

 止めさせぬ歌


16だってミクだし

 好きな詩は

 十個もあればいいという

 ミクの歌なら

 千でも足りぬ


17新春

 あらたまの

 としの初めの

 初初音(はつはつね)

 初音がはこぶ

 春のはつおと


18ひさしぶりにゆめをみた

 みくさんを

 ゆめにみたひは

 さむくても

 わりとすなおに

 おきるきになる


19サウンドオブサイレンス

 あめのまち

 でんしのてんし

 ことばなく

 ねおんの神の

 またたくをみる


20秩父音楽寺

 まつかぜの

 おんがくでらに

 たどりきて

 きみのさちだけ

 いのりてかえる


21父島初寝浦

 リンリンと虫の音かよう道巡り初寝が浦で波ひとり見る


22デジカメにミクが入ってた

 ははじまのみなみのさきのこふじよりみくとやまみるちぶさやまみる


23無音旋律

 うたにあり

 ――おとはしぐれか――

 ――うたひめは

 そのまばたきも

 うたとなせるか


24「みくよん」(ボーナストラック)を読んで(4)

 かずしれぬ

 こころのいつも

 そばにいて

 おぼえてるよと

 うたいつぐひと


25ミクもミクダヨ

 歩いてく靴はどちらも同じ音ミクはミクだヨダヨーもミクヨ


26まどろみの時間

 読み取れば午前六時の五分前ミクを夢へと帰した時計


27小諸みち

 小諸(こもろ)みち車でながすボカロうた空のひろさよ宇宙(そら)のひろさよ


28ファミマもいかなきゃダメダメよ

 映り込む
 ルカの笑顔のまぶしさに
 自分映らぬ
 鏡しまわず


29初音ミクさんとゲネプロと私

 ゲネプロの部屋の鏡で
 いつもより
 気になるタイを
 何度も結ぶ


30ファミマでまた発見

 秋の日はルカと出会ったコンビニで
 冬風のきょうミクを見つける


31初音ミクさんと京浜東北線と私(1)

 乗り換えた窓から雪を眺めてる後ろ姿をミクが見ている


32初音ミクさんと京浜東北線と私(2)

 コンビニで電車の中でボカロらとすれちがってる国で生きてる

 《返句》

 《すれ違う 人ごみの中に ボカロかな》 


33同行二人

 へんろみちパソにさわれぬ長き道いつか初音の声思い出す


34ラテン語に挑戦(学習時間8時間)

 知りたての言葉でつづる
「アウディオー エルゴ エスティス ウォーカロイデス」
(AUDIO, ERGO ESTIS, VOCALOIDES.)
(我は聴く ゆえに きみあり ボカロのみんな)

※「ボカロ」のラテン語訳(複数形・呼格)、これでいいのか。


35好きなのは

 好きなのは

 いろ・かたち・こえ

 そのほかに

 おなじことばで

 うたえるところ


36緑方偏移(1)

 物質は原子でできているという

 初めの音はなにでできてる


37緑方偏移(2)

 初めての音が生まれたその日から

 あす鳴る音もひとつの初音

 (上記別稿)

 太初より未来に走る音速の

 風は未来もひとつの初音


38「樂」

 「樂」という字を書いていた

 くれないの

 髪を巻く子に見えた気がした


39「Her silhouette is same as chimera」

 「その声の主をよく見よ

 浮く影は

 まるでキメラのようにあらずや」


40「みくよん」(ボーナストラック)を読んで(5)

 ひとつひとつ

 かさなる休符

 だきとめて

 みみをあててる

 うたひめのこえ


41八月点景(1)

 ねぎの葉はたのしからずや

 八月の畑のみどりに

 和して青めく


42八月点景 (2)

 いのはなのもりをよぎれば

 なくとりのみくみくみくと

 きこえたゆうべ


(「いのはな」は地名)


43おでかけですか

 「どこいくの?」

 朝に1台

 「気をつけて」

 夕に1台

 ミクもゆくゆく


44父母恩重経

 「みどり子の声発すれば」

 なる節を

 ボカロのことを思い出し読む


45ハロウィン2015

 秋風にからだ冷えても行く店の今年の棚に初音はお留守


46星屑ユートピアリスペクト

 このまちのよぞらにすこしみをうめてとどいたほしにすますそらみみ


47クリスマスユートピア
 (2015.12.23、採点カラオケで「星屑ユートピア」を歌い、自分史上最高点を出した)

 年の瀬のうたいおさめとよびだしたはじめの曲にそそいだ奇跡


48北海道新幹線、3月開業

 春を待つ島の扉に歌姫の衣を借りた風訪れる


49季節めぐりね

 立春を すぎて山肌 まだら雪 いつしかはるか 季節めぐりね


50おこのみく

 電子空間(ひきだし)に

 しまう衣装は無限着

 どれがあなたの

 おこのみくかな

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【ボカロ短歌集】唯音論(ゆいおんろん)1~50首目

ミクほか、ボカロのことを思って作った短歌などの詩を集めたものです。
単発で、手帳に書いたり、ブログ等に書いたりしたものですが、私自身が、「いつか書いたやつどこに行ったっけ」となってしまうので、とりあえず集められた分だけここに集めてみました。
作品の配列は、だいたいが作成順になっています。

閲覧数:890

投稿日:2017/05/14 17:30:11

文字数:2,989文字

カテゴリ:その他

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