君の声が僕の名を呼ぶ。
ただそれだけで心が震える。


『嘘つきの恋』


ああ、また泣いている。
ポロポロとこぼれ落ちる涙を拭う華奢な指先。その手に触れてみたら、君は一体どうするだろうか。
僕の気持ちに気付いてしまうのか、友情だと思い込んだままでいるのか、分からない。
ただ、怖くて、何もできない。
君に触れられるまであと何歩なの?一歩も踏み出せず、ただ君の悲しい涙を見つめてため息をついた。
「泣かないで」
君の正面にしゃがみ、小さな頭を軽く撫でる。
涙で潤んでいる綺麗な瞳と目があった。気持ちが見透かされそうで怖くなる。
「笑ってる方が可愛いよ」
いつもの通り貼り付けた笑顔で、自分の気持ちも何もかもを隠す。
そうやって一線を引いて、気を抜くと君へと走って行ってしまう心を掴んで、引き戻した。
そうしないと、安心したように僕を見る穏やかな微笑みも、もう向けてはもらえないだろう。
「ごめんね。…大丈夫」
その声が胸を震わせる。
君となら堕ちたっていいやって思えるんだ。それだけ君を想っていて、だからこそ胸がイタイ。
誰かの為に流される君の涙を見る度に呼吸も出来なくなってしまう。それほどに苦しいんだ。
僕を想って泣いてはくれないことは知っている。
それでもどうか、君を求める僕の手だけに縋っていて。


本当は言い訳なんてとっくの昔に尽きて無くなってるんだ。
それでも、これだけ長い間傍にいられたんだから。望めば、現実になりそうなこんな距離なら。
君の華奢な体を引き寄せて、気持ちを告げれば受け入れてもらえるかも知れない。

なんて

バカみたいだな
ワカッテルのに
僕は選ばれない

君には届かない言葉を、俯いて呟いた。
「サヨナラ」
もうそばにはいられないんだね。

「え?」
あどけない表情で君が首を傾げる。
「良かったね。って言ったの」
そう言って、笑う。

胸が痛い。なんて有り得ない。
締めつけられる。わけがない。
君が笑顔なら、それが一番だ。
君の幸せそうな笑顔を見て、笑う。


…そんなの、嘘。
作り慣れていたはずの笑顔が軋む。
君の隣には僕がいたいのに。

それでもこの気持ちに気付かれたくない。終わりになんてしたくない。
出来るだけ長く想わせて。

「ねえ」
僕の大好きな君の声が鼓膜を、心を、震わせる。
「なんで、泣いてるの?」
「……ぁ」
だってその声が話しかけるから、涙が止まらない。
冷えた細い指が頬に触れた。

選ばれないって分かっていても、僕の手は君を求め続ける。

その先に君がいるなら、何だっていいやって思うんだ。
それほど君を想えてよかった。

僕の涙を拭う君の手を握り締める。
「え?なっ、何?」
初めて触れたその指先は思っていた通り華奢で、簡単に折れてしまいそう。

どうしたって君の手を求めてしまうから。
どうか君の手で、君を求め続けるこの手を振り払って

この関係さえ

「君が…好きなんだ」

壊してくれ…

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

嘘つきの恋

ayuciki(マーメイドP)さんの嘘つきの恋→http://piapro.jp/t/9l_Zを聞いて

俺設定を勝手に色々盛り込みつつ歌詞引用しまくりという

いろは好きすぎる
ロリだと思って敬遠してたのが悔やまれる
マジayucikiさん愛してる

閲覧数:157

投稿日:2010/11/10 18:20:55

文字数:1,233文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

  • 関連動画0

  • asarix

    asarix

    使わせてもらいました

    初めまして、asariと申します。
    歌ってみた動画に使用させていただきました。ありがとうございます。
    問題がありましたらすぐに対処させていただきますので、その際はご連絡いただければと思います。
    それでは、これからも頑張ってください!

    http://www.nicovideo.jp/watch/sm13269563

    2011/01/10 14:38:30

    • 和椎

      和椎

      初めまして。washyといいます
      多分asariさんは本家と間違ってるんじゃないでしょうか
      本家さんがこちらで→http://piapro.jp/t/9l_Z
      俺はこれを元に小説を書いただけなので動画とは一切関係ないんです。
      タグや関連する作品のせいで紛らわしかったかも知れません。勘違いさせてしまって申し訳ありませんでした。

      2011/01/11 08:41:38

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