―これは、俺達が昔経験した話だ。
今日は数学の宿題が出ていた。
俺は出されたプリントをやっていた。
すると、隣でリンが大声を出した。
「あ!ない、ない、ない!」
「何がだよ。」
「プリント!確かに入れたはずなのに…」
「ないなら忘れたんじゃねぇの?」
「レン…お願い!一緒に学校まで行って!」
はぁ?
めんどくさいな。
っていうか、まだ宿題終わってないんだけど。
「リン、俺やることあるから…」
「お願い!」
「…仕方ないな。」
†‡†‡†‡†‡†‡†
学校に着いた。
リンは学校で怪談を聞いたらしく、いちいち怪談を俺に話してくる。
「レン…トイレから泣き声とか聞こえないよね?」
「あれ?階段1段多くなかった?」
とか。
教室に着くまで、ずっと話していた。
「リン、早くしろよ。」
「分かってる!……あった!」
「んじゃ、帰るか。」
「うん。」
†‡†‡†‡†‡†‡†‡
―トッ、トッ
「レン!足音…」
「静かに!」
俺は警備員だと思った。
見付かったら確実に怒られる。
でも、足音の正体は予想外の人物だった。
「…子ども?」
そこに居たのは緑色の髪をした女の子だった。
緑色の大きな目から、涙を流していた。
後ろにいたリンがその女の子に声をかけた。
「ねぇ?どうして泣いているの?」
いきなり声をかけられて驚いた顔していたが、少しずつ話し始めた。
「あのね、パパからもらったウサギさんがいなくなっちゃったの。」
ウサギ?ぬいぐるみのことか?
「じゃあ、ウサギさんを探してるの?」
「うん。」
「私達も手伝ってあげる。お姉さんとお兄さんに任せて!」
「ちょ、お前何時だと思って…」
「レンはこの子を一人、置いてく気?」
「いや…それは…」
「じゃあ、良いじゃない。」
反論出来ない。
決まりだ。
†‡†‡†‡†‡†‡†‡
三人で手を繋いで並んで歩いた。
「ねぇ、『ウサギ』で思い付く場所ってある?」
ウサギ……あ!
「リン、校長室だ!」
「え?校長室?」
「うん、この前校長室の前を通った時、見かけたんだ。」
間違いないはずだ。
俺達は校長室へ向かった。
†‡†‡†‡†‡†‡†‡
―校長室
中に入ると、今までの校長の写真が飾ってあって、少し不気味だった。
周りを見渡すと、校長先生の机の上に白い(汚れているが多分白)ウサギのぬいぐるみがあった。
「あっ!」
隣で大きな声をあげて、今まで泣きそうな顔をしていた女の子がぬいぐるみの元に走って行った。
ぬいぐるみを手に取った女の子は、すごく嬉しそうに笑った。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう。」
そう言って、彼女は俺達の目の前から消えた。
俺達は突然のことに立ち尽くしていた。
すると、後ろから怒鳴られた。
「君たち!こんな時間に何してるんだ!」
校長先生だった。
「いえ…俺達は…」
俺が言い終わる前に、校長先生はこっちに歩いてきた。
「ここにあったぬいぐるみが消えている…君たち何か知っているのか?」
俺とリンは、顔を見合わせた。
「あの、信じてもらえるか分かりませんが…」
俺は、さっきの出来事を話し始めた。
†‡†‡†‡†‡†‡†‡
話し終わると辺りが静寂に包まれた。
しばらくして、校長先生が口を開いた。
「グミだ…」
「グミ?校長先生、何か知っているんですか?」
「グミは、私の娘だよ。10年前に交通事故で亡くなったんだ。あの子はいつもウサギのぬいぐるみ持っていた。グミの形見として持っていたんだが…ずっと探していたんだな。10年も大変な思いをさせてしまった。」
そう言って、校長先生は涙を流した。
―彼女は今、笑っているだろう―
コメント2
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禀菟
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ホラー…かな?
でもイイ話…
ミクかと思たらグミだったww
2011/04/24 22:13:13
檸檬飴
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なんていい話なんだ(T_T)
でもホラーではないような(^^;
これはこれで好きだけど(*^^*)
2011/04/24 22:10:40