はい、お久しぶりです。
※注意
・時代設定が、若干ズボラです。
・あくまで、私の想像です。キャラクターイメージが違う、というところがあるかもしれません。
・KAITO→海斗、MEIKO→芽衣子、となっています。
・名前の捏造っぽいところがあります(がくぽ→樂十とか)
・自己設定の、架空のものが出てきます(例えば、妖怪だとか)。
・わずかですが、カイメイ風味があります。苦手な方はUターンしてください。
以上のことが、OK!という方だけお読みください。
ひゅぉっと、秋の終わりを告げる木枯らしが、海斗の頬に冷たく突き刺す──それは芽衣子といる時の、温かく優しい風とは明らかに違うものであった。
気のせいか、海斗の表情にも緊張の色が浮かんでいる。が、しかし、それは恐怖からではなく、自分の決めたことに対する責任感からであった。
「海斗ぉーっ!!」
「‥めーちゃん‥‥」
あわてて後を追ってきた芽衣子が、静かに歩く海斗を呼び止める。
「‥どうしたの‥‥?」
──もうお見送りはしてもらったはずなんだけどな‥‥忘れ物かなんかでもあったのかな‥‥?
彼がそう首を傾げてると、芽衣子は、風呂敷包みのようなものから、刀の入った鞘を取り出した。
「これ、いざというときのために‥樂十さんが渡してくれたの」
それは、海斗の腕の長さより、やや大きめの、れっきとした刀であった。もちろん、海斗は、木刀しか扱ったことが無いので、驚いている。
「‥えっ‥!?これって‥本物の‥!!」
「‥うん、何かあったらいけないからって‥それと、これは私から──」
そう言って、小花柄の巾着袋から、何かを取り出し、海斗の手に、そっと包み込むように置いた芽衣子。
「‥これ‥まさか‥‥」
「うん、あのときの。海斗が私のこと、見つけてくれた‥手がかりよ」
海斗は、芽衣子のほほ笑んだ表情を見てから、視線を自分の手の上に落とす。そこには──。
「‥髪飾り‥‥‥」
そう、最初に芽衣子を見失ったとき‥暗号を見つける前に、境内で見つけた、芽衣子の赤い髪飾り‥‥。
「‥あのときの‥‥」
そう海斗が物思いにふけっていると、芽衣子が、すっと近づいてきて、海斗の頬に、そっとキスをした。
「‥‥‥っ//!?」
驚いて、真っ赤になりながら、何も言えずに芽衣子の方を見る海斗。
「‥ちょっ‥え‥えーっ!?」
芽衣子も、恥ずかしそうにうつむきがちな目線でいたが、海斗の戸惑った表情を見て、
「‥ぷっ‥はははっ‥なんて顔してんのよ‥‥?」
「‥だ、だって‥‥//!め、めーちゃんからそういうことをするなんて‥‥//!」
「そ、そういうことってなによ‥‥!!」
海斗の発言に、芽衣子は、ちょっと赤くなりながら、海斗の両頬をむぎゅっと掴むと、
「私からするのがそんなに悪い?ねぇ、悪い?」
「ふぁっ‥ふぁふぁったふぁら‥ふぁなして‥‥」←「わっ‥分かったから‥離して‥‥」と言いたいらしい(笑)
芽衣子から解放された芽衣子が、はぁとため息をついて、
「‥ったく‥誰が何したって勝手でしょ?それとも、私からされたのが、そんなに嫌だった?」
と言って、海斗をちらっと見ると、彼が、口元に柔らかな笑みを浮かべて、こちらを、愛おし気な瞳で、じぃと見つめていた‥‥。
「‥なっ‥なによ‥‥?」
──‥めーちゃん‥よかった‥元気そうで‥‥。
そう思い、彼は、ふっと微笑みながら、芽衣子の頭に、ぽんっと手を置き、
「それだけの元気があるなら、僕がいない間、1人でも頑張れるね、めーちゃん」
と、彼女の頭を優しく撫でた。
──‥バカ‥元気があるのは‥‥あんたがいるときだけよ‥‥。
「‥‥大丈夫。めーちゃんは、周りのみんなが思っているよりも、何倍も、何百倍も強いから」
──‥そんなに‥私は‥私は‥‥海斗が思っているよりも‥‥みんなが思っているよりも‥‥全然強くないよ‥‥。
「‥めーちゃん‥‥?」
うつむいたまま、彼女が顔を上げないので、心配になった海斗が、彼女の顔をのぞき込む。
「‥カよ‥‥」
「‥え‥‥?」
「‥‥海斗はバカよっ‥‥!!私はっ‥海斗が思ってるより‥強くないっ‥‥!海斗みたいにっ‥強くなれない‥‥!」
──‥‥強く‥なれっこないよ‥‥。
「‥私はっ‥あれから‥海斗がいないと‥不安なのよ‥‥」
海斗は、泣きじゃくる彼女を、しばらく、寂しげな瞳で見つめていたが、しばらくすると、
「めーちゃん──」
優しく赤子を包み込むように、芽衣子を、そっと抱きしめた。
「‥海‥斗‥‥」
「‥僕だって、いつだって強気じゃないよ。不安なときだってあるし、つらい時だってある」
「‥でも‥海斗みたいに強くは──!」
「めーちゃんっ!!」
芽衣子の、不安がる言葉を海斗は、素早く制す。それに、びくっとして驚く芽衣子。
「‥‥めーちゃん、無理に強くなろうとしなくていいんだよ?人はみんな、正しい弱さ──生きていくために必要な弱さを持っているんだから‥それを捨てようとしちゃダメだ。それは、本当に必要な弱さなんだから‥‥」
迷いの無い、しっかりとした目。それが、海斗の思いを、芽衣子の心へ、しっかり伝えるかけ橋となった。
「僕が捨てたのは、弱さじゃない。単なる泣き虫、甘え、みんなへの依存。それだけだ。そして、めーちゃんが持っているのは、決していらない弱さなんかじゃない」
「‥じゃあ‥なぁに‥‥?」
すっと、海斗が芽衣子を静かに離す。
「──めーちゃんが持っているのは‥‥人の命を重んじる心。人の命を助けようとする心。それそのものが、めーちゃんの持つ〝強さ〟だよ」
「‥人の命を重んじる‥か‥‥」
──‥海斗は‥やっぱり‥‥私の味方でいてくれる‥‥。
「‥ごめんね‥僕には、こう言って上げることしか‥めーちゃんにしてあげられないから‥‥」
「‥ううん。それだけでも十分だよ、海斗」
涙が、芽衣子の頬を、きらりと伝う。が、その涙は、決して心の脆さからくるものではなく、彼女の決意の現われであった。
「ごめんね、こんなところで引き止めちゃって、じゃあ、私は──」
彼女が立ち去ろうとしたとき、海斗が、
「‥あ、ちょっと待ってっ‥‥!思い出したことが‥‥っ!」
と芽衣子を引き止める。
「‥‥?どうかしたの‥‥?」
彼女が首をかしげていると、海斗は、羽織の内ポケットから、何かを取り出して、彼女に渡した。
「‥お守り‥‥?」
それは、紅色の、小さなお守りだった。芽衣子が顔を上げ、海斗に、
「‥ねぇ‥!これって‥‥っ!」
と何か言おうとしたとき、彼はもう、洞窟へと足を進め、30mほど先を歩いていた。芽衣子はあわてて、
「‥ちょっ‥海斗ぉーっ!?」
「大丈夫だよぉーっ!めーちゃぁんっ!!」
「だ、大丈夫って何が──」
芽衣子は、海斗に何か言い返そうとした──が、こちらに手を振っている彼の手に、藍色の、自分とお揃いのお守りがあることに気がつき、
「‥‥もう!勝手に行かないでよねー!!」
「めーちゃん、行って来るねー!ちゃんと戻ってくるからねー!!」
──‥もう‥この人は‥いつだって‥‥。
それでも、芽衣子は、足元に落ちていた紅葉を一枚拾い、天に掲げながら、優しげな笑みを浮かべると、
「行ってらっしゃぁーい!!絶対ただいまって言うからねぇーっ!!」
「‥‥行ってきまぁーす!めーちゃぁーんっ!!」
海斗の能天気な声が、秋晴れの青空の彼方に、溶けるように、残響を残して吸い込まれていった‥‥。
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
今晩は!。風邪大丈夫ですか?。最近、天候不順ですよね。
さて、今回は、”海斗、そして旅立ちへ・・・”って感じで、めーちゃんとしばしの別れを。
めーちゃんの大胆行動も、人を心配する”必要な弱さ”故。お互いに心配し、信じているからこそ、この二人の絆が強い証になってますね。
さて、樂十が持っていくようにとめーちゃんから渡された”真剣”。木刀とは違う扱いのモノですが、基本は同じ。この洞窟の奥での、激戦が予想されますね。というか、何か、陰謀を感じてしまうのも、樂十故のことかも。でも、それが楽しみかも。
次も楽しみにしております、と、同時に、是非ともご自愛下さいませ。
2010/07/03 18:11:43
愛夢☆ソライト
>enarinさん
どうも、お久しぶりです!最近、ほんっと天候悪いですからね?enarinさんも風邪を引かないように気をつけてください^^
って、その話じゃないですね、話を戻します(笑)
>めーちゃんの大胆行動もね人を心配する“必要な弱さ”故。
そうですね?‥人は誰しも、生まれながらにして、必要な弱さを持っていますから。弱さがあるからこそ、人からの優しさを受けると、嬉しくなる。それが重なると、大切な人になっていく。そうやって、人は人生を作っていくものです。
>何か陰謀を感じてしまうのも、樂十故のことかも。
まさにその通りです。ただの妖怪討伐で済まされるようでは、終わりません。樂十の正体、洞窟での動き、今後はこれに重点を置いて構想を練って行きたいと思います^^
それでは、ご拝読ありがとうございました^^また気が向いたら続きを書かせていただきます。
P.S.新作読ませていただきました。本当に尊敬します!素敵な小説をありがとうございます^^
2010/07/03 18:34:29