マイ視点
「…」
空間転移の後、私は自分の部屋に籠もっていた。
サウは部屋にある机で本を読んでいた。気持ちを紛らわせる為だと私は思った。
幸いなのか分からないけど、ルル君はエンジェルボイスターに残っていて空間転移に巻き込まれる事は無かった。
いや、多分ルル君にとっては苦しみなのだろう。自分が傍にいればララの暴走も早く気付いて止めてあげられたとか、何か出来る事があった筈と後悔しているかもしれない。
「ねえ、サウ」
私は不意にサウに声を掛けた。
サウは、読んでいた本を閉じて二段ベッドの上段に寝ている私の方を見た。
「何だ。ララ達の事が心配なのか」
サウは私の言いたかった事が分かったみたいで、そう尋ねてきた。
サウは立ち上がって戸棚から別の本を取り出して読み始めた。
「うん、まあね。ミクさんも消えちゃったし…。キョウちゃんやララちゃんまで何処かに行っちゃって…」
私はベッドの上で体育座りをした。
ふとサウの方を見ると、サウの様子がなんだか変だ。恐らくララちゃん達が居なくなった事をちょっと悲しんでるのかな?
「サウ」
「何だ」
「本…上下逆だよ?」
「…」
私はサウの方をみて言った。
サウは顔を真っ赤にして本の向きを直した。
私だけが苦しいんじゃないんだよね…。私はそう思ってサウの手を引っ張った。
「お、おい何処行くんだよ」
サウはあわてた様子で私に尋ねてくる。
「訓練室。誰か居るかもしれないし…。それに、ちょっと体動かしたいなーって」
それはただの建前だってサウもわかってるだろう。
でも、私はただサウの手を引っ張って訓練室に行くことにした。
キリア視点
「はあ…。私、どうすればよかったのかな?」
私は自分の部屋で机に突っ伏して言った。
イアルはさっきの事があったのに寝ている。まあ、それがイアルなんだけど…。
とにかく、さっき私が呟いた言葉はこの部屋に居る私とイアルにしか聞こえない声だった。
その時、私の部屋の扉が開いた。しまった…プロテクトかけるの忘れてた。
「訓練室に居ると思ったらここに居たのか。いつもはお前部屋には居ないのにな」
其処にはクロアが居た。クロアが言ったとおり私は普段部屋には居ない。
だからイアルが寝てたら私はプロテクトをかけて訓練室とかに居るんだけど…今はそういう気分じゃなかった。仲間があんな目にあってへらへら訓練もできないし…。
「クロアには関係ないでしょ」
私はクロアの方を見なかった。
クロアは「お前な…」と言ったが部屋を出ようとする。そしてキリアに言った。
「あと、訓練室にはマイ達が居る。俺も行ってくるからな」
そしてクロアはこの部屋を後にした。
イアルは相変わらず寝ている。
「何…私に訓練室に来いっていう事?」
私は部屋でぼうっとしていて、暫くしてからイアルを置いて訓練室へ向かった。
レイン視点
私とマキは食堂に居た。
「レイン様ぁ…」
マキが私に泣きついてきた。それは、先程の光景を見ていればマキも、誰もが泣き崩れるでしょう。
ミクちゃんのデータ消滅はそれくらいこのボーカロイド隊に大きな傷を負わせた。という答えしか私達には残されていなかった。
リオは部屋…というかベッドに潜り込んでいる。恐らく泣いてるのでしょう。
ミクちゃんの消失…それだけで済めばまだ救いはあったのに…。
「まさか、キョウちゃんやララちゃんまでもが居なくなっちゃうなんて…」
「おお、レイカにマカではないか」
私がぼうっとしていると博士が居た。
マキは顔をあげた。目は真っ赤に腫れている。
「僕の名前はマキだよぅ…」
「博士。間違えるのもいい加減にしてくださいね」
私とマキはそれぞれ訂正をつける。
この人は何時までも自由なんだから…。と私は思っていた。
「それにしても、博士は何処に行くのかしら?」
私は博士に尋ねた。何だか気になったしね。
「ちょっと遊びにね」
博士はそう答える。マキは「遊び…?」と首を傾げていたけれど。
「なら、私も一緒に良い?」
私は椅子から立ち上がって言う、それにマキも「僕もレイン様と行く!」と言って立ち上がる。
「ああ、いいさ。じゃあ訓練室にてまってるよ」
そう言って博士は食堂を出て行った。食堂には結構集まって居る中で退室するのは私達だけみたいだった。
ノイズ視点
「…病気が治ったと思ったら…まさか…ミクさんとかが居なくなるなんて…」
俺はミユウとリユウの部屋に居て、隣にはリユウが居る。
兄貴やミユウは俺と兄貴の部屋で話をしてる。
「リユウ、寂しいの…。ミクお姉ちゃん達が居なくなっちゃって寂しいの。でも、もっと寂しいのはミクオお兄ちゃんやルル君だと思うの…」
何故リユウと俺が一緒に居て俺がこの部屋に居るか…それは、ミユウと兄貴の関係だ。
あのどう見ても友達以上恋人未満な関係は見ていて呆れるし居ても邪魔者になる気がして飛び出した所をリユウに捕まってこうなっている。
まああの光景でどう部屋に存在しろという感じだったから少々恩は感じている。
「…だよな」
それにしても…これも結構気まずい物だ。誰か来ないだろうか…例えばレイキとか
「ミユウさんは居ますか?」
ほら、噂をすれば…。レイキが来た。ついでにミラーも一緒に居る。
俺は少々救われた気持ちになった。だが。
「おや、少々邪魔してしまったようですね」
そう言ってレイキは退室しようとする。
どういう意味で捉えているんだ…!
「…え…ちょっこれは…「良いです。言わなくても」
俺が誤解を解こうとするが、レイキには通じない。
せめてミラーにはと思ってミラーの方を向く。
「二人の関係って、こんなにも行ってたんだね!私も応援するよ☆」
だが、ミラーもレイキと同じようにとらえていて一緒に退室しようとする。
頼むから誤解しないでくれ!
「…はあ…」
「大丈夫?ノイズ君~」
一応、リユウは年上なんだよな?こいつは何でこんなに精神年齢が低いんだ。
あんまり口に出して言うと安心音流殺戮拳が飛んでくるから言わないが…(誰がしかけてくるかはあえて言わない)
とにかく、俺はもう何をすれば良いか分からない。
「リユウ。お姉ちゃんが幸せになってくれるなら良いの~」
リユウは突然こんな事を言い出した。
「…は…?」
「お姉ちゃん、ボイスおにいちゃんと居るととっても楽しそうなの~」
リユウの突然の発言に俺は唖然とするだけだった。
「でね、リユウもね~。ノイズ君と居ると楽しいの~」
そう言って、リユウは立ち上がってこの部屋を出て行った。
今の…告白…なのか?
続く
歌姫戦士ボカロボット第27話前半
まさかの前後編wwwこうでもしないと私が持ちませんww
てか、リユウちゃんノイズ君に告ったー!?
多分本人無意識だと思いますwww
ミユウちゃんとボイス君は友達以上恋人未満の関係のようで。
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