※この作品は、耳ロボp様の楽曲『れいんどろっぷ・しょーとかっと』(http://www.nicovideo.jp/watch/nm5179403)を元にした二次創作です

『翻案・れいんどろっぷ・しょーとかっと』 日枝学

 私、和音マコは、今日とても楽しみにしていることがある。
 しかし同時に、いやそれ以上に、私の心は追い詰められている。
 仕事が終わらないのだ。こんな日に限って次から次に仕事がくるだなんて、運命の神様による悪質な嫌がらせだろうか。もしそうであれば訴えてやる。
 ため息をついて窓から見える外の景色に目をやる。今にも雨が降り出しそうな曇天だ。
万が一雨に降られると困るから、出来れば地下を使いたい。そうであれば、どんなに遅くとも××時××分の電車には乗らなければならない。
 残る仕事の量と、それを終えるのにかかる時間を考える。……ちょっと、厳しい。いやしかしここで一気に仕事を進めれば――

 間に合うわけあるか! しばらく仕事を進めてそのことに気付かされた。
 もうダメだ。今から行かないと間に合わないのに、仕事は未だ残っている。昨日の準備も何もかも、無駄になってしまう。そう絶望に打ちひしがれている私にメールが届いた。同僚からだ。
『大事な用でしょ? 代わりにやっときます 穂歌ソラ』
 何て良い同僚なのだろう。私は感動し最速でメールを返信する。
『ありがとう。お礼に、今度のお昼にあたしがおごるね 和音マコ』
 送信ボタンを押した後、すぐに私は外に飛び出した。もしかすると、ギリギリ間に合うかもしれない。向かうべきは表通り。柵を越えて近道を利用する。赤に切り替わる直前の信号を全力疾走で駆ける。
 走っていると、また雨が降ってきた。しかし傘をさしている余裕は無い。ちょっとばかり塗れたって構うものか。気にせずにそのまま駆ける。
 さっきから運が良い。ギリギリではあるものの、今のところ赤信号に一度も引っかかっていない。この調子なら駅まで五分で着けるかもしれない。
 人ごみを抜け、水たまりを飛び越える。駅ビルはもう目の前。走りながら、財布の中から定期券を取り出す。
 改札を過ぎて右。階段を駆け上がって、電車が来ているはずのホームに滑りこんで、そして――

ライセンス

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【二次創作】翻案・れいんどろっぷ・しょーとかっと【掌編小説】

これは耳ロボp様の楽曲『れいんどろっぷ・しょーとかっと』を元にした二次創作です
耳ロボpの曲好きなの多い

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投稿日:2011/06/23 23:43:58

文字数:942文字

カテゴリ:小説

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