「リン!おい、しっかりしろよ!リン!!」
レンは倒れ込んだリンの身体を必死で揺さぶった。

リンの眼がかすかに開き、唇から言葉が漏れた。

「・・ゴメン・・・レン・・・ゴメ・・・ン。」
リンの言葉には、所々ノイズが混じっていた。

「テト・・・!リンちゃんは・・・リンちゃんは助かるの?!!」
ルカは叫ぶように言う。
「・・・。リンさんは・・・NOISに感染してしまっています・・・。」
俯きながらテトが答える。

「なら・・・ならNOISの形式だけでも・・・」
「無理なんです!!このNOISは特殊なんです!!
形式が・・・形式がランダムに変更されて・・・
一つの形式を特定するのは不可能なんです・・・。」
メイコの声が、テトに遮られる。

・・・沈黙。

ふと、俯いていたカイトが地に崩れ落ちる。
がくぽはそんなカイトを見て、「殿・・・」と呟く。

少しずつカイトの唇が動く。

「・・・う、いやだ・・・。もう嫌だよ!!
みんな消えていく・・・みんな・・・みんな・・・
マスターや、仲間・・・愛する人達が、目の前で消えて行くのはもう見てられないんだ・・・。
自分は何もできない・・・
ただ見てるしかないいんだ。
自分が無力だということを証明するかのように、自分の周りから仲間が消えていく・・・。
俺が弱いばっかりに・・・。
もう嫌なんだよ!!こんなせか・・・・」

パァン!!!

メイコがカイトの頬を思いっきり平手で打つ。
そして、溜まりきったものをはき出すように、大声で言った。

「何よ!!!
黙って聞いてたら、グチグチグチグチと!
そんなに嫌なんだったらもっと強くなりなさい!
それに!あんた男でしょ?
男ならもっとシャキっとしなさい!シャキっと!!
リンちゃんに・・・リンちゃんに、最後の最後まで笑顔を見せてあげなさい!
お別れの時くらい・・・「サヨナラ」の一言や二言、言ってやれないの?!!」

言い終わったあと、メイコは一言、
「バカみたい。」
と付け足した。
・・・その声は震えていた。

「メイ姉!!」
ミクは突然呼びかけた。

「メイ姉・・・”サヨナラ”はまだ早いと思うよ。
その言葉を使うのは、まだまだ先のことなんじゃないかな?」

「・・・え?」

ミクは、背中に担いでいた黒い鞘の剣の柄に手を触れた。

「・・・ミク・・・姉、・・・今が・・・『その時』・・・なんだね・・・?」

ミクはリンの方を見て頷くと、柄を思いっきり握り、一気に引き抜いた。

ミクの髪が、瞬間に漆黒に変わる。瞳の色も、鮮紅に染まる。
刀身は深い緑色で、少し動かしても、緑色の残像ができた。

「み・・・ミク?何なの・・・?その剣・・・・・・。」
メイコが驚きを隠せないでいた。

「みんな・・・ごめん。あとで全部話す。」
そう言うと、ミクはリンに剣の切っ先を突き立てた。

「な・・・何してるの?ミク・・・。待って・・・まだリンちゃんは・・・」

ミクはそんな声も聞かず、剣を振り上げる。

ミクの傍らで、レンが必死にミクに縋り付いていたが、ミクは気に留めなかった。

刃がリンに当たる直前・・・

一帯を、緑の閃光が覆った。
続く
 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

緑閃 拾陸

コメお願いします!

閲覧数:160

投稿日:2009/12/20 05:51:01

文字数:1,326文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました