それは、それは何処かへと飛び去っていく飛行機。
 いつか、僕らでも届くのかなって――精一杯空に手を伸ばしてた。





≪sky of beginning【二次創作】後編≫



 けれど雨の中、思い出すんだ。
 僕がまだ飛行機乗りになろうなんて思ってもいなかった頃、空を見てたらはるかな空に淡い緑の小さな飛行機が飛んでいたんだ。
 なんて素晴らしいんだろうって思ったんだ。誰にも行くことが出来ない場所を軽々に行けてしまうんだ。飛行機って素晴らしいな、って。
 今でも、その気持ちは胸に輝いているんだ。
 だけど、僕の飛行機はなんだか欠陥品みたいで、難しいみたいだ。

「もっと高く羽ばたいて」

 僕がずぶ濡れで叫んだその言葉はとてつもなく小さくて頼りに言葉だけど、決して弱くない淡い光を放っていた。




 雨が止めば、絶好のフライト日和ってわけで、飛行機を確認してみる。よしっ、準備万端。完璧だねっ。
 誰かが指差してどっかの空を見ていた。なんだろうか、とか思っていたらそれは虹だった。

「あの虹をくぐっていこうかな」

 そんなことで気分をごまかしていざ、操縦席に腰掛けた。
 ぶっちゃけて言えば、まだ怖い。
 不安だって、迷いだってある。
 けど、その迷いを振り切って、アクセルを思いっきりけった。
 ぶるるん、と決して軽くない雄叫びを放ってゆっくりと羽根が回り始めた。毎回この音を聞くたびに怖くなる。また、ダメなんじゃないか、って。けどもう恐れない。上をむいて、しっかりと進んでいく。まだ僕の飛行機乗りとしての旅は始まったばかりなんだ。先は、見えないほど長い。




 期待なんてされなくても、誰一人見向きもしなくても、それは――確かに僕らの中で光っていた。
 それは――小さい頃の思い出のようで、今を生きる意志でもある。でも、何かは解らない。
 そして僕たちは淡い色でかがやいて飛び上がっていく。
 いつか、僕らでもあの飛行機に届きそうな時がやってくることを願って。





 そして少年が空を見上げた瞳はこの飛行機のように緑色に輝いて、いつかはこの広い大空に手が届くのかなと手を伸ばしていた。
 未来、ってのは選ぶんじゃなくつかめるものであることを、彼は知ったのだろう。飛行機はそれへ導くための手段にしか過ぎない。
 だから僕もまた――いつかあの空に手が届きそうだなって、手を伸ばしていた。



おわり。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

sky of beginning【自己解釈】後編

きっと飛行機ってのは未来を掴み取るための手段にしか過ぎなくて。
少年はその“一歩”を踏み出せなくて、こわがっていた。
でも最終的に少年はその一歩を踏み出して未来を掴みとろうとしたんだろうなあ、と思います。

本家:http://www.nicovideo.jp/watch/sm18658349

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投稿日:2012/08/19 21:23:36

文字数:1,023文字

カテゴリ:小説

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