家から出ると、甘い匂いが鼻をくすぐる。
今にもこぼれ落ちそうなくらい咲き誇った金木犀。
季節がかわった。
冷たくなり始めた風を感じながら、僕はふとそんなことを考えていた。

甘い匂い。きっと君の髪と同じ匂い。
君が僕の前を、ゆっくり通り過ぎたときのあの匂い。
僕は胸をときめかせ、その匂いに酔った。
その頃吹いてた暖かい風も今は遙か遠くのほうに霞んで。

金木犀、その甘い匂いにさえ愛しさを感じるくらい
君の事を想っていた。
そんな僕を笑うかのように、いたずらに季節だけが過ぎていった。
僕は必死に走ったけど、追いつくことは、出来なくて・・・。

君にはもう会えないね。僕たちはもう違う季節の中にいるから。
金木犀が咲く度に、そんなことを考えるのかな。

君の家の前を通ると、甘い匂いが鼻をくすぐる。
今にもこぼれ落ちそうなくらい咲き誇った金木犀。
僕もかわった。
ゆっくり前を見て歩き出して、風に向かってそうつぶやいた・・・。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

金木犀

立て続けの投稿ですみません。
季節はずれもいいとこですが、気に入ってる詩なので。
改変は要相談です。

閲覧数:74

投稿日:2008/03/06 01:51:01

文字数:414文字

カテゴリ:その他

クリップボードにコピーしました