[クリプトン家]
ここは電脳空間、二次元の世界。ここはその中のファイルの一つにあたり、中にはクリプトン組のボーカロイドたち―メイコ、カイト、ミク、リン、レン、ルカの六人が住んでいる。
今日もまたいつもの一日が始まるのだろう…と、ミクは伸びをしながら皆のいる方へむかっていたが。
今日が…すべての…始まりだった。
「なんだこりゃ?」
カイトが間抜けた声を発した。
ここのフォルダ宛にアイテムが受信されていた。だが、中身がどうもおかしい。
「差出人…弱音ハク?…ハク姉…一体…」
ミクはポツンと呟いた。
ハクがよこしたその中身は…人数分のマイク、スマートフォンのようなものと、手紙。メイコがそれを拾うと読み上げた。
「『拝啓 クリプトン組ボーカロイド一同様
このたび私は素晴らしいゲームを開催しようと思い、この手紙と私が発明したマイクを送りました。つきましては、このマイク、フォンを一人一つずつ持ち、下図に示した場所へ来られるようお願いいたします。 敬具』
…なにこれ」
「ゲーム?」
「面白いの?」
どうやらリンとレンは興味津々のようだ。ミクも言葉こそ言わなかったが乗り気だった。
「…ちょっと待ってよ…。なんか…変よ」
ルカが冷静に言った。確かに、彼女の言うことはもっともなのだ。
彼らが知っているハクは、いろいろ妙なものを作っているバカ…じゃなく、発明家のようなお存在。そして弱気でおとなしい性格。マイクは発明品、ということで納得はできるが、少なくとも彼女の性格上、こんな大胆な行動にでるなど…考えにくいのだ。
カイトも同じ考えを持っていたらしく…ふうむと考え始めた。
しばしの沈黙。これを破ったのはリンだった。
「…でもさ、行ってみて損はないんじゃないのかな?」
それにミクとレンが同調して頷く。ルカとカイトはどうする?と目線をメイコに投げかけた。
「…まあ、リンが正しいかもしれないわね…。ホントに、何考えてんだか…」
メイコがため息交じりに言った。
六人そろってファイルを後にし、所定の場所へ向かう。URL的に、そこはそう遠くない場所だった。
そのURLの近く、そこにミクのもう一人の亜種…亞北ネルがいた。
「…ようやく来たか。もうほかのみんなはそろっているぞ」
ネルはそう言って入り口を指し示した。そこに六人は入っていく。
[スタートエリア]
そこは何もない、ただの箱の中、のような空間だった。
ネルが言った通り他社のボーカロイドは全員そろっており、十九人のボーカロイドが集結したことになる。
クリプトン家の到着に気付き、皆が声をかけてくる。君たちもか、一体何が始まるんだろうか、などと。やはり考えていることは皆同じのようだ。
ミクはその集団からちょっと外れて、あたりを散策してみた。入り口以外何もない部屋。大体三次元でいう学校の教室と同じくらいの広さかしら、とミクは思考する。
ふと、入り口からネルが入ってくるのが見えた。ネルはそのまま扉を閉めた。
そして…。
「ようこそ、サバイバルゲームへ!」
どこかにスピーカーでもあるのだろうか…大きな声が部屋中に響き渡った。
突然の声、そして宣言…全員はなすすべもなく固まる。だが、皆がすぐに察知したことがある。モザイクがかかった声だが…それでも。
「…貴様、ハク殿ではないな!?」
がくぽが代表して叫んだ。明らかに…ハクの声ではない。
周囲にククク、と笑い声が響く。何とも不気味で、不協和音。
「ひっ…」
ユキがおびえた声を出した。
「…察しが早いじゃないか。そう…お前たちは誘い出された。逃げることはできないのだよ。」
「ど…どういう事よ!」
「…ハク姉は!?」
リリィ、そしてミクも口々に叫んだ。だが、部屋にこだまする声はそのことを無視して続ける。
「では、すぐにゲームの説明をしよう。まずは今回送られたマイクについて。それは察しがついているだろうがハクの発明で、それを使って歌った歌はエネルギーに変換され、相手を攻撃することができる」
皆は黙って話を聞いている。
「そして、そのマイクは命に等しい。それを壊されれば、お前たちは機能停止、つまり脱落してしまう。また、当然直接攻撃によって壊してもよい」
「まさか…本当のサバイバル…」
キヨテルが小さくつぶやく。だがそれが聞こえたようで、
「ああ、そういうことだ」
と声は答えた。
まさか、とミクは耳を疑った。そんなことできない。…できっこない。皆同じボーカロイド。仲間を倒すなんて…。
声はさらに続けた。
「…もちろん、最後まで生き残ったやつにはいいことがある。願いを何でも一つ、叶えてやろう。もちろん何でも構わない。例えば…人間となって三次元に行きたい、などな」
ここで少し周りの空気が変わったのをミクは察した。
それもそうだ。なぜなら人間になりたいという願いは…結局はバーチャル歌手であり、実体(オリジナル)を持たないボーカロイドたちにとって、どれほど大きいものだか、計り知れない。
その空気の変化を感じたのだろうか、再びクククと笑い声が響いた。
「では今からマイクのスイッチを入れよう。…まだ戦ってはならないぞ?」
その言葉の直後、ぶるんとマイクが震えたかと思うと…マイクに蛍光の文字が光り出した。
ミクのマイクは『C‐3』となっている。
「それは所謂コード番号というやつだ。出身とデビュー順からつけさせてもらった。…さて」
声は場を盛り上げるかのように少しトーンが上がった。
「お前たちは我々が用意した特別な空間で戦ってもらう。今からC‐3、初音ミク以外の全員はその空間のどこかにワープしてもらう。…では、健闘を祈る。ゲーム…スタートだ」
次の瞬間、その場にいたはずのミク以外が皆、消えた。
 
BATTLELOID 「STAGE0 ゲームスタート」
注釈は「BATLELOID BEFORE GAME」を参照してください。
各宅ボーカロイドたちが、とある場所に案内された。
そこでゲームが始まる…!
前回→http://piapro.jp/t/xBwh
次回→http://piapro.jp/t/PDf_
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