10
#include <memory.h>
int main(void){
remember(before 3 years,before 28 day);
「僕、グミの事好きだよ」
その言葉のせいで、私の涙は余計に止まらなくなってしまった。でも――は、今度はあわてふためいたりする事なく、私を見てただにこにこと笑っている。
「――、な、何言って……」
私は目元をぬぐい、困惑しながら彼の名を呼ぶ。けれど――は、そんな私のリアクションを楽しんでいるみたいに笑みを崩さない。
「何って、本当の事だから」
「……馬鹿」
「それは、OKって事?」
「そうじゃなくてさ。さっき言ったじゃない。私は……障害者なんだって。そんな冗談、……言っちゃダメだよ。笑えない」
そんな私の答えに、――は眉間にシワを寄せる。その仕草は知っている。確かあれは、怒ったり不機嫌になったりした時の仕草だ。
つまり、――は私の言葉にムッとしたのだろう。
「冗談なんかじゃない。僕は本気だ」
「……苦労するのは――の方なんだよ。嬉しいけど、――に迷惑をかけたくない。だから、ダメだって」
「ふぅん。……嫌なんじゃなくて、ダメなだけなんだ」
「それは……」
揚げ足を取られたようでもあったけれど、でも、――の指摘した事も事実ではあった。
――の事が好きかどうか。
そりゃ、どっちかと問われてしまったら、答えは決まってる。
もちろん、私は――の事が……。
close "remember" function();
present();
最近は、よく昔の事を思い出す。
そうは言っても、思い出す物事は往々にして断片的だ。
一人暮らしになって一年、季節は足早に巡り、また汗ばむ時期がやってきていた。
何かを記憶するのは相変わらず苦手なままだ。それでも、「無理」から「苦手」と言える程度には改善していると、自分では思っているけれど。
とはいえ、諸手をあげて「改善している」なんて言えるわけではない。
すでに、一年前まで一緒に住んでいた彼の名前さえ、思い出せなくなってしまっているのだから。
彼の顔を思い出せないわけではないが、人の顔の区別がつかない私には無意味な事だ。仮に、偶然街中で彼とすれ違ったとして、それがあの時の彼だと気付くには、今の私では困難を極める。
……いや、相貌失認という私の症状からすれば、不可能と言った方が正しい。
彼はもう、私にとって完全に他人となってしまったのだ。
close "present" function();
remember(before 1 years,before 0 day);
一緒にいられないと告げてから、私は翌朝には荷物をまとめてその家から出ていった。まとめる、なんて言っても、そもそもの荷物が大してなくて、ボストンバックが一つもあれば十分なくらいしかなかった。
その晩は、荷物をまとめ終わってから、一睡も出来ずにずっと丸テーブルの前で座っていた。
毎朝毎晩、彼と共にご飯を食べたそのテーブルはなんだかとても小さくて、よくこんなテーブルで二人で食事が出来たな、なんて思って、悲しいはずなのに可笑しさがこみ上げてしまった。
彼は翌朝まで寝室から出てこなかった。
遅刻ぎりぎりの時間になって、スーツを着ただけで寝室から出てきた彼は、どう見ても寝ていなかった。
彼の中ではまだ折り合いがついていないようで、何か言おうとして口を開き、けれど言うのをやめて口を閉じる、という仕草を繰り返していた。
もしかしたら、やり直そう、と言いたがっているのかもしれないって、不意に気付いた。
だから私は、何か言われる前に「それじゃ、私は出ていくよ」と告げる事にした。
彼は「あ……」とか「えっと」とか、何を言ったらいいのかって感じだったけど、結局「行かないでくれ」とは言わなかった。私の態度に、言うだけ無駄だって理解したのかもしれない。
それなのに、そのまま立ち去るつもりだったのに、私はなぜか彼の襟元に手を伸ばしていた。
無意識の動作だった。
「ボタン、かけ違ってるよ」と言う私に、彼も「ああ、ごめん」と言って胸元に手を伸ばした。お互いの指先が、爪がカチリと鳴って、二人とも顔を見合わせてハッとした。
一瞬後にやってきた気まずさに、私は彼を見る事も出来なくて、うつむいて逃げるように家から出ていった。
最後につぶやいたお互いの「さよなら」という言葉。
その言葉が本当に身に沁みたのは、何時間も後になって、即日で入れるマンスリーマンションの空っぽの部屋に入ってからだった。
close "remember" function();
present();
私は現在、役所内の喫茶店の給仕として生計を立てている。
結局、病院で診断書をもらって障害者手帳を取得し、障害者就業枠だとか、そういったくくりでこの仕事を得た。
不思議なもので、障害認定を受けた後になると「あなたは障害者って感じしないね」とよく言われる。
障害者らしさというものが私にはよく分からないので、そんな事言われてもいまいちうまく返せはしないけれど。
生計を立てている、などと言っても、所詮雀の涙程度の給与だ。生活費を削れるだけ削って、なんとかぎりぎり生きている、というのが実情だった。
「めぐみちゃん、今日はもう上がっていいよ」
そう言われたのは、ランチタイムの終わった三時過ぎだった。
「え? でも……いいんですか?」
私は基本的に固定給なので、早く帰らせて損をするのは店長の方だ。だから、そう言われるのが意外だった。
「めぐみちゃんはよく働いてくれるからね。たまには早く帰って遊んできなよ」
「ええと、あの、それじゃあ」
我ながらあんまりな返答だとは思ったが、他にどう言えばいいかなんて全く分からなかった。
バックヤードでエプロンを外して私服に着替え、店長や他の皆に挨拶をしてから喫茶店のある役所を出る。
「あっつ……」
明るいうちに外を歩いているって事に居心地の悪さを感じながら、私は太陽に手のひらをかざす。
役所は大通りに面しているから、まっすぐ帰ろうとしても賑わう人の波からは逃れようがなかった。
遊んできなよ、と言われたものの、特にやりたい事があるわけでもない私は、まっすぐ帰る事にする。
……今が幸せか? と聞かれても、うまく答えられない。
記憶力の頼りない私には、注文をとり、配膳するという給仕の仕事はかなり過酷だ。それに、生活には全く余裕なんてない。
けれど、仕事にやりがいがあるのは事実だし、大きなミス無く乗り切った日は達成感もある。
生きている実感がある、と言いかえたっていい。
それが得られるのは、私の記憶力や相貌失認といった症状に理解のある仕事場だ、という事に加え、店長の人柄という部分が大きい。
働き始めてすぐ、店長に「ミスはしたっていい。取り返しのつかないミスなんて無いんだから」と言われた。その言葉が、私にこの仕事を続けさせている。
彼と暮らしていた時、コンピュータープログラマーをしていた時、そして、両親と暮らしていた時。ミスとは、してはならないのが当たり前だった。そして、それを順守しようとすればするほど、上手くやれない不器用な私は、出来る事がどんどん減っていき、最終的には何も出来なくなってしまっていた。
ミスをしてもいい。
その言葉は、私にとって天啓とさえ言えた。
「でも、ミスはしてはいけないものですよ」という、至極当然と言える指摘にも、店長は事も無げに「そんな時の為に店長がいるんだよ。完璧な人間なんていないんだからな」と笑った。
今が幸せだと、そう断言までは出来ない。けれど、今までに無い充実感があるのは、……確かな事実だ。
たぶんお洒落と呼ぶであろう、そんな装いに身を包んだ人々を横目に、私は最寄り駅を目指す。
歩行者信号が青になり、皆が一斉にスクランブル交差点になだれ込んでいく。私もその流れに乗って交差点を渡り、反対側にある駅へと向かう。
だが、ちょうどピークの時間帯だったのか、駅からは次から次へと人の波が押し寄せてきていて、それに逆らうだけでへとへとになってしまっていた。もともと人混みが苦手な私は、交差点を渡っただけで酔いそうなほどだった。
その時。
気持ち悪さにうつむいていた瞬間だった。
思ってもいなかった、あの声が響く。
「もしも記憶がこぼれ落ちても……」
びくりと、肩が震える。
override("present")
forcibly close "present" function();
timeslip(words);
「え?」
「だから、一緒に暮らさないかって言ってるん……だけど」
――は、不安にでもなったのか、少しだけ視線を伏せる。
「いや、別に聞き取れなかったわけじゃなくて……――が、また変な冗談言い出したから」
――が私の事を好きだなんて言ったのは、たった半年と一ヶ月前の事だ。
「だから……冗談なんかじゃないって」
「苦労するのは――の方だって、半年と一ヶ月前に言ったばっかりでしょ」
「……ああ、あの時ね。そう言えばさ、あの時の返事、僕はまだ聞いてないよ」
「それは……」
反論を上手い具合に潰されて、私は口ごもってしまう。
大事な事は簡単に忘れるくせに、そういう忘れて欲しい事はなかなか忘れてくれない。
「まあいいけどさ。でも、一緒に暮らせば生活費は減らせると思わない? 家賃とか結構高いし」
まあいいけど、と――は言うけど、実際に“まあいい”と思ってるかどうかは分からない。転職を繰り返すうち、人は“よくない”と思っていても“いい”と言う事があると学んだ。
「生活費は……そうかもしれないけれど」
「でしょ」
――は笑う。
彼がどう思っているのかはともかくとして、感情では納得させられないからと、金銭面で私を説得し始めてきた。
確かに、そこから攻められたらちょっと弱い。
「二人で色々ルールを決めて、それをちゃんと守ればさ、一緒に暮らすのもうまく行くって」
楽観的過ぎる、と、私はそう思えてならなかった。
「そんな事言ったってさ、――は私との約束、よく忘れるじゃない。記憶がこぼれ落ちてばっかり」
呆れて言った私の言葉に、彼は苦笑いして手を合わせる。
「ごめんってば。それは謝るからさ」
そんな――に、私は嘆息するしかない。
私の態度を見ているのかいないのか、――は「でもさ」と言葉を続ける。
「もしも記憶がこぼれ落ちても、過ごした時間はきっと永遠さ」
「……いや、そんな気取った言い方されたって、私、ごまかされないからね」
とは言いながら、私は笑ってしまう。自然とこぼれ出てきた、無邪気とさえ言えるかもしれない、ほほ笑みを。
私は、――の提案を断りきれないだろうな、なんて思った。
close "timeslip" function(before 2 years,before 190 days);
present();
それを記憶だと認識するのが、そして、現在の出来事ではないと自らに言い聞かせるのが大変だった。
目の前に広がるのは交差点の雑踏。
飲み屋の席ではない。
けど。
だけど。
あわてて声を聞こえた方向を向く。
けれど、その先にいるのは、スクランブル交差点を行き交う大勢の人々。もちろん、私には誰一人として区別がつかない。
あの声は、どこから。
さっきの声は、確かに……。
人の顔は見分けられないが、声を聞き分けるのは得意だ。しかも、今はあの時の彼の声を鮮明に思い出したばかり。同じ声なら絶対に分かる。
だから、あの声は……。
「ト――」
彼の名を、覚えていないはずの、忘れてしまったはずの彼の名を、私は……。
「……っ!」
知らず、駆け出していた。
雑踏を、人の波をかき分け、押し退けて走る。
何事かとこちらをのぞき込んでくる顔を、たとえ出来なくても必死に見分けようと目を凝らす。
けれど、すぐに視界がにじんでしまって、それすらままならなかった。
そして……。
「はっ、はっ、はっ……」
スクランブル交差点を渡りきり、私は荒い息をつきながらぎゅっと目をつぶる。
まぶたにたまっていた涙があふれていってしまう。
それがほほからあごへと伝っていく感触を脳裏に刻み付けながら、呆然と周囲を見回す。
行き交っていた人々は、赤になった歩行者信号を前に渋々歩みを止め、その道を車に譲る。
交差点で、奇異の視線で私を見てくる人もそこにはいた。けれど、彼の姿は見つけられない。
「はぁー……」
ようやく気持ちも落ち着いてきて、私は身体をくの字に曲げて深く息をつく。
落ち着け、私。
私は、私はそもそも……彼と再会すべきかどうかも、やり直したいと思っているかどうかも分かっていなかったのではないか。
……いや、本心では、再会したいともやり直したいとも思っていなかったはずた。
会ったって何を言えばいいか分からないし、そんな相手とやり直したいなんて思えるわけもないって、そう思っていたはずだ。
だからもう、こんな……その場の勢いだけで探したりなんて、やるべきじゃない。
優しくて、忘れっぽくて、でも、私の事を大事にしてくれたあの人は、もう、もう……いないんだから。
再会なんて、しない方がいい。
再会したとしても、そしてやり直そうとしたとしても、私達の関係はまた破綻してしまうだろうから。
けれど、そう。
皮肉にも、彼が言った通りだ。
思い出しさえすれば、それだけで過去の思い出は永遠になれる。
幸せだった彼との思い出は、確かに私の中にある。それは途切れ途切れで、継ぎはぎだらけかもしれないけれど、私にとってはそれでも十分すぎるほどの幸せが詰まっているんだ。
だから私は、今日もエラーを起こし続ける記憶を胸に抱いて生きていく。
こぼれ落ちていく苦い記憶と、幸せな思い出の数々を、それでもなんとか脳に刻みつけながら。
それが永遠に、永久に続く事を願って。
close "present" function();
――memory error ――
}
メモリエラ 10 ※2次創作
最終話
まず、「メモリエラ」という楽曲をつくって下さったyuukiss様に最大の感謝を。ありがとうございます、というだけでは足りませんが、ほかに何と言えばいいかわかりません。これからもすばらしい楽曲を作り続けて下さい。
そして、ここまで読んで下さった皆様に感謝を。
正直、こんな重いテーマになると思っていなかった上に、またもピアプロ向けの文章にはなっていないという、読むのが大変な仕様になっているかとは思いますが……(苦笑)
今回「悲劇」のリベンジをする上で気をつけたのは、「悪者を作らない」ということでした。二人の行く末の帰結として、悲しいけれど、二人とも納得の上でこの選択をせざるを得なかったというような。
この十話の修正中に、書いていて自分でもかなりじわっと来ました。
五話~十話の後半は、前半とかなりグミの思考が変わっているので、あらためて前半部分を読み返すと、その思考の変わりように色々気づくのではないでしょうか。
高機能広汎性発達障害、というのは、知能の遅れがない障害なのだそうです。最近はタレントさんが「自分は発達障害だ」と告白したりと、理解を得られる機会が増えてきているのではないかと思います。
もしかしたら皆様の身近にもいらっしゃるかもしれません。そんな人と話をする機会があったら、めんどくさがらず、配慮をしてもらえれば幸いです。
発達障害、というものに関して勉強不足だったこともあり、配慮の足りない文章になっているところがあったかもしれません。指摘如何によっては修正や、場合によって削除をするつもりです。
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心では聞きたくないと思いながらも
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けんはる
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ご意見・ご感想
ganzan
ご意見・ご感想
こんばんは。拝読させて頂きました。
1話目を開いたときの強烈な違和感! なんじゃこりゃ!
出てきた単語を翻訳サイトで訳しつつ、何となく意味を想像しながら読み進めました。
・言葉の裏を読むのが苦手
・記憶力が異様に良かった
・冗談を理解出来ず、その場の空気も読めず……
グミの特徴やロジカルっぽい文体などから、彼女は人工物的な何か(アンドロイドとか)なのかな~なんて想像していましたが、全く違っていました。相貌失認という設定も出てきて、これは伏線かトリックになるのかな~なんて思ってましたが、こちらも外れました。……勘ぐりが過ぎたようです(--;
5話目の引きから6話目の冒頭は、パッと見てすぐに異常が感じ取れる、視覚的で面白い手法ですね。事故の後や過去のトラウマでも急に平仮名メインの文になるなど、ちょっとしたこだわりが個人的には好きです。
事故の後、ふたりの関係がジワジワ悪い方向に変化していくのが何とも現実的ぽくて、別れの場面では「これはもうダメなんだろうな」と思ってしまいました。どうしようもない、と分かっていても、覚悟を決められずに時が来るまでズルズル引きずることって、確かにありますよね……。
最後の場面、グミが交差点で聞いた声に対する反応は、とても素直で微笑ましかったです。……声の正体はいったい何だったんでしょうね?
きっと彼らが再会することはもうないんでしょうけど、ふたりの思い出がお互いの未来の幸せに繋がりますように、と祈っておきます(文末の「――memory error ――」が、どことなく不穏に感じられて少しホラーですけど……)。
「Prayer Will Live」は動画サイトで聴けるとのことだったので、さっそく聴いてみました。すごく楽し気で明るい曲だったのでギャップが凄かったです(^^;
2016/07/11 00:39:17
周雷文吾
>ganzan様
いつもメッセージをありがとうございます。
またも返事が遅くなってしまい、申し訳なさいっぱいの文吾です。
>1話目を開いたときの強烈な違和感!
>パッと見てすぐに異常が感じ取れる、視覚的で面白い手法ですね。
「メモリエラ」という事象を表現するにあたって、凝ったことをしてみたかったので(苦笑)
面白いと言っていただけてよかったですー!
この疑似プログラミング言語は、脳内でどうやって記憶を“思い出して”いるか、をC言語で書いたらこうなるかなぁ、というものでした。わざわざそんなものを書く以上は、それだからこそできる表現をしなきゃな、というのが六話目の文字化けでした。
プログラム側から見ると、文字化けしてしまったせいで、プログラムが正常に機能せず、思い出すという行為が実行不能になった、みたいな感じですかね。
ただ、そのせいで盛り上がりどころが真ん中に来ちゃってるなぁ、というのが反省点ですね。
>これは伏線かトリックになるのかな?なんて思ってましたが、
そういう使い方もできるよなぁ、とは思いましたが、「この曲でやっちゃダメだ」という思いがかろうじて勝ちました(笑)
とはいえ、相貌失認については物語構成上はそれなりに機能したかな、と思います。
>……声の正体はいったい何だったんでしょうね?
グミの「同じ声なら絶対に分かる」というのは誇張ではないと思います。なので、確かにそこに、トワは居たのかな、と。
交差点で偶然、一年ぶりにグミを見て、口にせずにはいられなかったのではないでしょうか。万が一を期待して。
彼女の行動に、自分のことを思い出したのはわかったでしょう。けれど、こちらを凝視してもなおトワのことが分からなかったグミに、トワもまた、グミと同じように我に返ったんじゃないかな、とか……。
この内容をおまけにすればよかった!(今更)
>すごく楽し気で明るい曲だったので
確かに(笑)
「メモリエラ」はバラード寄りの雰囲気なんですよ。転載のようなので勧めるのはアレですが、YouTubeにはあるようです。是非一度。
相変わらず次回予定はありませんが、また心惹かれる楽曲と出会った際には、よろしくお願いいたします。
2016/08/02 14:44:44