#「幽霊ちゃんとしるるさん」 後編



私は決心して、シルルスコープ(SS)をおよそ半年ぶりに使う

……動かない

「あ、電池きれちゃったかな?」

そう、しるるのSSは電池式なのだ(遭遇しませう参照)

半年ほど使っていなかったSSの電池は完全に放電しきっていた


「これでよし!」


電池をそこらへんの目覚まし時計からお借りして、動かす


かなりあ荘のどこかにいると思われる清花ちゃんを探す

けれど、共有リビングはじめ、共有スペースはもちろん、二階、三階、隅々までみたけど、それらしい人影はなかった


「誰かの部屋にいるのかな?……あ、そういえば、屋上っていうのも」


屋上は最近できたばかり……といっても、洗濯物を干すスペース程度なのだが

私は屋上のドアを開けると、空はいい天気だった……が、12月なので寒い

そして、そこにはふとんのシーツが風になびいて干されていた

きっと誰かが洗濯したのだろう


すると、そのシーツの奥に人影が見える

私のSSの電源をON、OFFを繰り返すと、ONの時だけ見えている

ということは、彼女だ


私は大きく深呼吸すると、ぐっと気合いを入れて彼女に近づいた


「清花ちゃん?」


できるだけ笑顔で近づいたつもりだったが、こわばっていたのかもしれない

彼女は私をみると、驚いて逃げ出そうとした


「待って!!」


私がそういうと、彼女は止まってくれた


「……なんですか。私のこと……怖くないんですか」


顔をそむけながら私にそういった清花ちゃん


「うーんと……それより寒いかな、へくしっ」


我ながらナイスタイミングでくしゃみが出たな


「……っぷ、はは。ごめんなさい。私にはそういうのは感じないので。さ、中で話しましょうか?」


清花ちゃんが笑ってくれた

やっぱり、思った通り、笑顔がかわいい



清花ちゃんを私の部屋につれてきた

そして、私は毛布にくるまる……まるで芋虫


「寒いんですか?」


清花ちゃんが、少し心配そうにみる


「あ、うん。だって、かなりあ荘、だいぶ綺麗になったけどさ……暖房器具って、リビングのストーブとコタツくらいで……あとは、このゆたんぽだけど……お湯わかすのめんどい」

「ええ……相変わらずなんですね?」


清花ちゃんは苦笑して、ふぅと息を吐く


「仕方ないですね……私がお湯沸かしてきてあげます。かしてください」

「え?ほんと!ありがとー!」


遠慮をしらない駄目な大人は、ゆたんぽを清花ちゃんに渡す




しばらくして、清花ちゃんがゆたんぽを手にして戻ってきた


「あの……もしかしたら、少し熱いかも……私、あんまり温度を感じれなくて……」

「ありがとー」


私はそれをふとんの中に入れて、ふとんをかけて……カーテンしめて……


「おやすみなさーい」

「まだお昼ですよ?起きてくださーい」


しゃーっと開けられるカーテン


「ぐああああ、目があああ」

「……まだ、それやるんですか?」


「あん、清花ちゃんがつめたい」

「へ、変な声出さないでください!!」


私がにこっと笑うと、清花ちゃんも笑ってくれた




私はかけ布団をあげて、ふとんのはじに寄る


「ほれほれ、一緒に寝よ?」


そして空いたほうをポンポンと叩いて、清花ちゃんをまねく


「いや、だから、まだお昼……」

「固いこと言わないで、ね?お昼寝だよ、お昼寝」


ね?といって誘う……これは結構使える←何の話だ


「わ、わかりましたよ……けど、何もしないでくださいね」


それはどういうことですか?

フリですか?

絶対に押すな!と同じですか?


布団の中に入ってきた清花ちゃん

お互いの顔が近い


「ふふ」


私が笑う


「な、なんですか!」


警戒する清花ちゃん

よくよく考えてみれば、ここ最近の私の変人発言なんかも全部どこかできかれてたわけで


「清花ちゃんが幽霊でもさ、こんなに近かったらあまりわからないなって思って」

「え?」


驚く顔もかわいい


「……ごめんね」


そして、私の一言に大きな目をさらに大きくする


「いままで、一度も清花ちゃんと真面目に向き合おうとしなくて……」


清花ちゃんは私の顔を見るのをやめて天井を見る


「今日、こうして話してみてわかったよ。清花ちゃん、いい子だなって」


私の言葉を黙って聞いている清花ちゃん

…………

…………かわいい

ここで私は思わず、彼女の頭に手をのばす

なでなでなで……

と、なでようとしたが、彼女の体を通り抜けてしまった


「……残念。私には触れませんよ。じゃなかったら、きっと今頃、廊下で誰かとぶつかっているでしょう?」


彼女は私の方を向いてそういった

笑顔だったけど……それは私がかわいいと思う笑顔じゃなかった

たぶん、何かが違った


「ぎゅうううううう」


私は清花ちゃんに抱きつくように彼女を包む


「な、何やってるんですか?私には触れられないって……」


赤面する清花ちゃんをみて、私はさらに近づく

そして、一言


「でも……ここにいる」


それをきいた清花ちゃんは、私に背をむけた

震える小さな肩は、どこか安心したように力が抜ける

……今、清花ちゃんがどんな顔をしているか、知っている

けれど、それはみない……それは駄目な大人でも、しちゃいけないのを知っているから

















「しるるさん……ありがとうございました」


帰り際に清花ちゃんはそういった


「ううん、私の方こそ、許してくれてありがとう」


私の心につっかえていたものが消えたような気がする


「あれ?私は許すなんて、一言も言ってませんよ?」

「えええええ、そんなぁ……」


私の顔を見て、ふふっと笑って冗談ですと言った清花ちゃん




そして……私は最後に正座して、こういった


「あの……目覚まし時計の電池をSSに使って電池ないので、明日からカーテン、シャーの方、よろしくおねがいします!」


すると、清花ちゃんは笑って、「はい」といってくれたのだった

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

幽霊ちゃんとしるるさん 後編

清花ちゃん、かわいい
やはり、女の子は笑っている方がかわいい

これがしるるさんなりの答え!
それは!一緒にいちゃいちゃすること!


私のSSは、さすが量産型じゃないだけあって、燃費悪いww


前編:http://piapro.jp/t/TDW6

閲覧数:123

投稿日:2013/12/10 19:27:26

文字数:2,582文字

カテゴリ:小説

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    ご意見・ご感想

    しるるさんらしい解決ですなw
    どうしよう出番を失った俺がいる←
    真っ先にスコープを手に入れたのにおかしいなぁw
    ゆるしるるの出来事の間に出会ったって感じで書こうかなぁ。
    (どうでもいいけどコンビ名を生み出しすぎな気がするZE俺w)

    2013/12/10 21:26:03

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