私達は家の中を探した。家中をひっくり返す様に、てこういう事を言うんだ、て思った位。
でも、何も見つからなかった。レンの使ってた物、全て、手品みたいに消えてた。途中メイコ姉とカイ兄が何事かと私達の所に来て、私がレンの説明をしてもやっぱり二人共レンの事を知らない―いや、覚えていなかった。
「あーもー!誰なのよそのレンて奴!リンをこんなに心配させて!会ったら一発殴ってやろうかしら」
「メイコ姉・・・。もう会ってるんだけどねぇ・・・」
「でも何で私達からだけ記憶・・・その、レン君との記憶が無くなって・・・リンにだけ残ってるのかなぁ・・・」
それは私も気になってる。何で私だけ覚えてるんだろう。 と、ミク姉が再び口を開く。
「それって・・・レン君の存在がリンにとって、とても大切なモノだからじゃないかな、て思ったんだけど・・・」
「大切な存在?」
「うん。リン、レン君はとても大切な人だよね?リンにとって」
「もちろんだよ!此処に来た時に始めて見て、喋ったのがレンだもん!」
「それでそれは・・・その大切だと思う気持は私達とは違ってたんじゃ無いのかな・・・?」
「え・・・?そ・・・それは・・・」
良く分からない、と言うのが私の本音だ。レンは確かに私にとって大切な存在。でも・・・メイコ姉やカイ兄、ミク姉との気持と・・・同じ? て聞かれたら違う、て言える。じゃあ、どう違うの? て聞かれたら、どうも応えられない。
「私もリンもまだ此処に来て一年経ってないし、感情っていうのもまだ良く分かってないけど・・・。でも、リンはレン君の事を凄く大切に思っていた。家族を思う気持よりも、凄く。多分、リンはレン君の事が好きだったんじゃないの?」
「なっ!?」
ミク姉の言葉に私の顔は熱くなる。多分、赤くなってるんだろうな・・・。
「うんうん、やっぱりそうなんだ、リンも中々やるねぇ」
「なっ・・・、ミ、ミク姉ふざけないでよっ!」
「あらあら、いっちょ前に照れて。可愛いわね・・・」
「メ・・・メイコ姉まで・・・。何か怖いよ!そのによによ笑い×2怖いよ!」
「ミクもめーちゃんも、ホラ、やめたげなよ・・・」
「カイ兄ぃー助けてー」
「・・・まぁ、しょうがないわね」
「うん、ちょっとつまんないけどねー」
二人は私から ス、と離れた。あ、安心した・・・。
「まぁだからリンは忘れなかった、いや、忘れられなかった、の方が良いかも知れないね」
「忘れられなかった・・・」
「所でリン」
「何?」
「最後にそのレン・・・て子と会ったのは何時の事だい?」
「最後?えー・・・と・・・」
部屋にいて・・・私は音覚え、レンは今まで歌った歌を思い出しつつ小さな声で歌って・・・、それで・・・携帯が鳴って・・・レンは出てった・・・誰からの電話・・・
「蒼ちゃん・・・!」
思い付いた言葉を口で言うと皆が私の方を見た。
「そう!蒼ちゃんだ!蒼ちゃんから電話がかかってきて・・・それでレンはいなくなって・・・そのまま・・・」
勢いが段々と薄れ、しゅん、と項垂れた。と ポンと頭の上に手を置かれた。ふと顔を上げるとメイコ姉が フ、と笑っていた。
「なら蒼に会いに行きましょ。何か知ってるかも知れないから」
「そうだね、リンッ 行ってみよっ マスターの所」
「さあ、行こうか、リン」
皆は私の事を信じている。その事が直に伝わって、泣きそうになりつつも、それを堪えて私は うん、と返事をした。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

貴方が消えた日(レン消失物語) 2

ちょっとだけ進みました。鍵はマスター、蒼が握ってます。
マスター等の設定が知りたい方は私設定ボカロの話と設定を載せてますのでそれを見て下さい。
それでは。

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投稿日:2010/05/09 15:24:05

文字数:1,422文字

カテゴリ:小説

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