はい、なんとか続いております、【番凩】のシリーズ物です。それでは、内容に移ります。
※注意
・カイメイ風味があります。苦手な方はご覧にならないほうがよろしいと思います。
・時代設定が、若干ズボラです。
・あくまで、私の想像です。イメージが違うところはスルーしてください。
・KAITO→海斗、MEIKO→芽衣子、となっています。
・第三者視点です。
以上のことが、OK!という方だけお読みください。
使い慣らされている畳、年月によって、落ち着いた色合いになった壁、そして、その傍にある、古い和紙の障子からかすかな光が入り込んでいた。
その障子を、ガタガタと揺らし、しゃなりとした感じに、海斗の母親が、一つの部屋に入ってくる。
そして、部屋の隅っこを見て、ふぅっとため息をついた。
「‥海斗‥‥」
彼女の視線の先では、彼女の息子──海斗が、膝を抱えて、無言でうずくまっていた。
「きっと戻ってくるわよ‥‥」
母親がそう言うと、膝との間に、顔をうずめる海斗。
「‥ん‥‥」
彼の表情は、暗く沈んでいた。母親が夕食を持ってきても、一切手をつけず、父親が何度話しかけても、うんともすんとも言わない。
そのせいで、両親も、お手上げで、部屋を出て行ってしまう。
が、2人がいない間に、声を押し殺して泣いているのを、母親は知っていた。
「‥ぇぐっ‥めーちゃん‥‥っ」
そっとしておいてあげよう、ということで、両親も構わないでいたのだが‥‥。
「大変、海斗がいなくなってるの‥‥っ!」
「な、なんだって?」
突然、海斗は姿を消していた。
というのも、両親から見た時点でのことで、海斗は、誰かに攫われたわけでもなく、ぼーっとしたまま、神社の付近を歩いていた。
町の賑わい方とは打って変わって、神社の付近は異常な静けさがあり、むしろ不気味にも感じられる。
神社の石段の中間点に座り、海斗は、ふぅっとため息をついた。
「‥めーちゃん‥‥」
と、視界の隅で、ふと、わずかに光るものがあった。
「‥なんだろ‥‥」
近づいてみて、海斗は驚き、それを拾い上げる。
「めーちゃんのかんざし‥‥!」
芽衣子がいつも、大事そうにつけていた、紅葉の葉をかたどった、紅のかんざしだった。
「‥なんでこんなところに‥‥」
きょろきょろとしていると、近くの茂みで、ガサッという、茂みが揺れる音がした。
びくっとして、恐る恐る近づいていく海斗。
「あれっ‥なんだろ、これ‥‥」
薄紫色の和紙に、綺麗な達筆で何やら書かれている。その文字を見て、海斗は思わず眉をひそめた。
「‥‥?な、なにこれ‥意味不明‥‥」
彼がそうつぶやいたとおり、メモの内容はちんぷんかんぷんで、意味不明としか言いようの無い言葉ばかりだ。
「ん~‥なんだろ~‥‥」
和紙を見つめること小一時間。
「う~んっ‥‥」
考えることに集中しすぎていたせいか、自分が芽衣子を探していたのを思い出したのは、すっかり日が落ちた頃だった。
「あーっ!!無理だ!」
すっかりお手上げ状態。
「あれ、もう夜か」
当然、辺りは真っ暗である。しかも、神社付近とあっては、いくら14の子といえど、不気味なことこの上ない。
「うへぇ‥暗すぎ‥なんかでてきそうだなぁ‥‥」
和紙を懐に入れ、足元と壁を確認しながら、恐る恐る階段を降りていく海斗。
「‥なにもでてきませんように;;」
そうは願ってはいても、石段の端に並べてある石灯籠が、更に嫌な雰囲気をかもし出しているため、何か出てくるんじゃ‥‥と思わざるを得ない。
「こんなとき‥めーちゃんがいたらなぁ‥‥」
そう思って、海斗は、はっとした。
──僕って‥めーちゃんに頼ってばっかりだった‥かな‥‥。
はぁとため息をついて、芽衣子のことを思い出すと泣きそうになってくる。
「うぅっ‥めーちゃぁん‥‥」
そんな情け無い声を出したそのときだった。
「あっれぇ?こんな時間に男の子がいるぅ~」
妙に高い少女の声に、びくっとした海斗は、
「う、うわぁっ!?」
驚いて石段を踏み外し、石段の下へ転げ落ちると、思いっきり地べたに頬と膝をぶつけてしまった。
ドガッ!!
「きゃっ!ちょっ!大丈夫!?」
「っててぇ‥‥顔ぶつけたぁ‥‥」
あわてて駆け寄ってくるその声の主の少女。半べそになりながら顔を上げると、
「ご、ごめんなさいっ!驚かせるつもりなんてなかったの!」
そう言った少女を、海斗は物珍しそうに、じぃ~っと見つめた。びくっとする少女。
「な、なによっ!?」
「なに、その髪の色‥‥?」
そう、その少女の髪は、今で言う金髪というものでして。
「そっちこそ、何でこんな時間にうろついてるのよ?最近盗人とか居て、危ないんだからね?」
「‥‥君、だぁれ?」
海斗がそう聞くと、ふぅっとため息をついて、
「わ、私?私は鏡音鈴!鏡の音に、鈴って書いてそう読むの」
その少女──鏡音鈴はあきれたようにそう言った。
コメント1
関連動画0
オススメ作品
気が狂ってしまいそうな程に、僕らは君を愛し、君は僕らを愛した。
その全てはIMITATION,偽りだ。
そしてこれは禁断。
僕らは、彼女を愛してはいけなかった。
また、彼女も僕らを愛してはいけなかった。
この心も日々も、全て偽りだ。
そんな偽りはいらない。
だったら、壊してしまえばいい。
『すっとキ...【VanaN'Ice】背徳の記憶~The Lost Memory~ 1【自己解釈】
ゆるりー
*3/27 名古屋ボカストにて頒布する小説合同誌のサンプルです
*前のバージョン(ver.) クリックで続きます
1. 陽葵ちず 幸せだけが在る夜に
2.ゆるりー 君に捧ぐワンシーンを
3.茶猫 秘密のおやつは蜜の味
4.すぅ スイ...【カイメイ中心合同誌】36枚目の楽譜に階名を【サンプル】
ayumin
Hello there!! ^-^
I am new to piapro and I would gladly appreciate if you hit the subscribe button on my YouTube channel!
Thank you for supporting me...Introduction
ファントムP
それは、月の綺麗な夜。
深い森の奥。
それは、暗闇に包まれている。
その森は、道が入り組んでいる。
道に迷いやすいのだ。
その森に入った者は、どういうことか帰ってくることはない。
その理由は、さだかではない。
その森の奥に、ある村の娘が迷い込んだ。
「どうすれば、いいんだろう」
その娘の手には、色あ...Bad ∞ End ∞ Night 1【自己解釈】
ゆるりー
勘違いばかりしていたそんなのまぁなんでもいいや
今時の曲は好きじゃない今どきのことはわからない
若者ってひとくくりは好きじゃない
自分はみんなみたいにならないそんな意地だけ張って辿り着いた先は1人ただここにいた。
後ろにはなにもない。前ならえの先に
僕らなにができるんだい
教えてくれよ
誰も助けてく...境地
鈴宮ももこ
A1
幼馴染みの彼女が最近綺麗になってきたから
恋してるのと聞いたら
恥ずかしそうに笑いながら
うんと答えた
その時
胸がズキンと痛んだ
心では聞きたくないと思いながらも
どんな人なのと聞いていた
その人は僕とは真反対のタイプだった...幼なじみ
けんはる
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
今晩は!、続き、拝読させて頂きました!。
なんと!、めーちゃんからの暗号メッセージ!。しかし、相当に難しい!。海斗君、考える時間長すぎ・・・。
そして遂に登場の”鈴ちゃん”!。髪の毛が金髪なので、”異国の少女”設定なのかも!?。これから活躍との事なので、楽しみです!。
それと、同じ作品が4つアップされていましたので、一番先にアップされたコレにコメント致しました。
ではでは~♪
2010/03/27 20:35:13
愛夢☆ソライト
>enarinさん
あわわ(゜д゜;)そうでしたか><
PCが重いときにダブルクリックしちゃったので、そのせいかもです、すいません><;
さて、暗号のトリックがやっと思いつきました;;頭がいい人から見たら分かるかな?と思いますが、13,14そこらの子供が解けるかな?‥というような感じです^^;
謎の少女・鈴の正体は後々載せていきます。ではでは(・ω・)ノシ
2010/03/30 14:02:56