「西棟の最上階って…ここ…だよね?」
自分の部屋が狭いとは感じていませんでした。むしろホテルの一室みたいで広々として快適だと思って過ごしていました。だけどこの部屋は何ですか?スペシャルスイートですか?この部屋だけで1フロア使っていませんか?格差ってきっとこう言う時に使う言葉なんですね、身に染みて判りました。
「失礼ですが、羽鉦様に御用時でしょうか?」
「は、羽鉦様?!」
様って言った!羽鉦様って今言った!何?もしかして、もしかしなくても偉い人?!誰か教えて下さい、脳内がパンク寸前です!
「茅ヶ崎、通して構わん、私の客だ。」
「はい、失礼致しました。」
「…………。」
「小鳥ちゃん、こっち。」
クラクラする頭で促されるまま部屋に入った。最上階からの眺めは綺麗なんだろうけど今そんな物見てる余裕は全く無かった。
「誰に聞いた…って、騎士だよな。あいつしかここ知らないし。」
「あの…。」
「此処を始めとする各地の保護施設を運営する【Yggdrasil(ユグドラシル)】
その代表は俺の父だ。」
「はい?」
思わず素っ頓狂な返事をしてしまった。羽鉦さんが軽く呆れてるのが判った。【Yggdrasil】の代表がお父さん…って事は、羽鉦さんは…。
「もしかしてとっても偉い人…?」
「はい、一応この施設の責任者。ま、大半は今兄貴が権限持ってるんだけどね。
取り敢えず口閉じなさい…小鳥ちゃん。」
「…はっ!」
びっくりして口が開いたままになっていたらしい。何しに来たのかすっかり考えが飛んでしまった私は何処へとも無く立ち去ろうとフラフラと出口へ向かった。
ドアノブに手を掛けた瞬間、顔のすぐ横で風を切る音がした。驚いて振り返るのとほぼ同時にドアに押し付けられた。
「ひゃっ…?!」
「で…?何しに来たのかな?小鳥ちゃん?発作中だって聞かなかった?」
「あ、あの…私…!お、お見舞いに…!」
「お見舞いねぇ…よく騎士が此処へ寄越したな、知らない訳無いだろうに。」
羽鉦さんは意地悪そうに笑うと指で私の唇をスッとなぞった。
「忘れたの?俺はオセロットのBS…猛獣だよ?小鳥ちゃん。」
これって、獣が、目の前で、舌なめずり…?
BeastSyndrome -5.獣の檻に小鳥が一羽-
多分美味しくいただきます t(・∀・t)
※次ページはネタバレ用の為今は見ない事をオススメします。
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ご意見・ご感想
Hete
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こんにちわ。オススメ番号⑦番を実施させて頂いている戒旋です。
取り合えず、『BeastSyndrome』を5話まで拝読させて頂きました。
感想というか、まずは「テキスト」の投稿数に圧倒され、次に設定の細かさに唖然とし、そして物語の面白さに絶句です。
なんというかこう、ここまででもヒトとヒトの感情の入り乱れる感じの描写が凄く感じられました。是非参考にさせて頂きたいものです。というか頂きますw
うまくコメが出来ないのですが、感想、気づいたことなど、読み進める上でちょくちょくと書かせていただきたいと思います。
素晴らしい作品を、ありがとうございます。
2011/05/28 23:02:41