12 リンの修行とレンのトラウマ その1


 レンは男にもかかわらず私に怯えている。なぜならけんかをしても私には勝てないからである。私は幼稚園のころから武術を習っている。
 始めた理由はこうだ、私は幼稚園でよく男の子にいじめられていた。別に暴力を振るわれていたわけではない。捕まえてきたカエルやヘビを投げられたり、スカートをめくられたりといった、たわいもないイタズラを受けていた。しかし、私はいつも泣いていて耐えがたかった。そのことを母に相談したところ、母はこう言った。

 「それはね、リンちゃんがかわいいからね、男の子はちょっかい出してくるのよ。」
 「そうなのぉ?」
 「男の子はね、小さい子供のときの内は、好きな女の子にかまってほしくてイタズラしたりするものなのよ。」
 「うー、でも、もうやだよー。」
 「もうやめてって言ったら、やめてくれるでしょ?」
 「ううん、言ってもやめてくれない。」
 「じゃ、今度はリンちゃんが反対にイタズラしてあげればいいかな。」
 「えぇー?なんでそうなるのー?それに怖くてできないよーー。」
 「そ~お?じゃぁね、お母さんにいい考えがあるよ。」
 「ほんと!な~に?」
 「それじゃーね、今度いいところに連れて行ってあげる。そこに行ったらね、リンちゃんは強くなって男の子なんてやっつけちゃうから。」
 「ほんとーー!?」

 それから3日後、私は変な道場に連れて行かれた。真田塾、そう書かれた看板がある。そして長い白髭の老人が出てきた。

 「こんにちわ先生。この前お話した娘を連れてきました。」
 「これはこれは鏡音の奥さん、どうも、どうも。おお、そちらが娘さんですな。これはまたかわいらしい。」
 「ほら、リンちゃんご挨拶して、これからお世話になる先生よ。」
 「えぇ!?お世話になるって・・。どういうこと?」
 「こちらの先生にお母さんお願いしたの、リンちゃんに武術を教えてくださいって。そしたらね、よろこんで引き受けてくれるって。よかったわねー、リンちゃん。お母さんうれしい。」
 「えぇ!?お母さん、私は全然よろこんでないよ!なんで武術なんて習わなきゃいけないの!?」
 「だってリンちゃん、強くなりたいって言ってたじゃない。」
 「拳法覚えたいなんて言ってないもん・・。」
 「ん、んん、ん、えー自己紹介をしようかの。わしがこの道場の主、真田流空手創設者、真田平八郎時貞である。よろしくたのむぞよ、お嬢ちゃん。」
 「・・・・・・・・へいはちろう・・・ときさだ・・。」
 
 いったいどこの国の戦国武将なの、この人?。

 「ほら、リンちゃん、ちゃんとご挨拶して。」
 「・・・鏡音リンです・・。」
 「ほう、リンと申すのか、よい名じゃ。若くしてその上、女子(おなご)でありながら武術を極めんとしようとは、この真田平八郎時貞、まことに感服いたしたぞ。」
 「よかったわねーリンちゃん。今日からお稽古つけてもらって強くなれるわよー。」
 「えぇ!今日からって、というかもう弟子になること決定なの?」
 「そうよ、先生はいい人だからすぐお稽古してくれるって。お母さん安心だわー。」
 「・・・何が安心・・?それよりこの人とお母さんの関係って・・・?」
 「あぁ、よく近所のスーパーで松本さんに会うのよ。あと町内会の行事ごととかを熱心にやってくれてるのよ。」
 
 松本って・・やっぱり平八郎のほうは自称なんだな・・。

 「それじゃ、リンちゃん、お母さん夕方になったら迎えに来るから先生の言うこと聞いてがんばるのよ。」
 
 そう言うと母は行ってしまった。もうしょうがないからやるしかないのかな・・。
 

12 リンの修行とレンのトラウマ その2へ続く

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ネットゲームで出会った人達  12 リンの修行とレンのトラウマ その1

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投稿日:2010/10/17 01:35:55

文字数:1,564文字

カテゴリ:小説

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