初恋メロディー 過去巡り そのきゅ~



文化祭を一週間後に控えた日。

私は部活の後にハナと一緒にショッピングモールに来ていた。

1階の本屋でハナの参考書選びに付き合っているのだ

「ごめんね~いまさら参考書選びに手伝ってもらって~しかも文化祭前の

この忙しい時期にさ~悪いね?」

アッハッハ~と笑いながら言うハナにため息をつきながら

「本当に悪いと思ってる?………思ってる訳ないか…ハナだもんね…」

まったくこの子は…中学の時からホント…

約6年の付き合いの友人に軽く悪態をついた

「悪いとは思ってるよ~?だから後でアイスをおごってあげる!」

ハナは悪いとちぃ~~~っとも思ってない笑顔で隣のアイス屋を指差した。

私はもう一度…今度は大きくため息をついて

「本当は悪いと思ってないでしょ?…ったく、中学の時からいつもこう。

夏休み最後の日にみんなに宿題手伝ってもらったり…今年もだったでしょ?

高校受験のときもギリギリまで全っ然!勉強してなくてみんなに「頼む!

教えてくれ!このままじゃみんなと同じトコに行けない!!」って

泣きついてきたじゃない…なんでギリギリになってやるの?

もっと余裕を持ってだいぶ前からやっとけばこんなことn…」

こんなことにはならないでしょ?と言おうとしたら

「おぉー!!いい本あった!!流香っ!見ろよコレ!

『これさえあれば大学に絶対に受かる!!』だって!イヤッフォー!

これでみんなと同じ大学にいけるなー!」

「私の話を聞けぇー!!」

パンッ!

ハナを叩いた

「痛っ!な、何すんだよ流香!?何も叩くこたないじゃん!?」

「人が説教してるんだから真面目に聞きなさい!!」

「聞いてるよ!?ちゃんと聞いてるよ!!でも長くなりそうだったから

面倒くせぇ~なぁ~って思っただけだよ!!」

「面倒くさい!?面倒くさいですって!?私達が中学からあんなに

協力してきたのに何ですかその言い草はっ!?」

「だって流香、説教すると長いんだもん!!ず~っとグチグチ言ってさ~

もっと簡単に一言で言えないの!?長いんだよっ!!」

「長いっ!?じゃあ簡単に言ってあげるよ!!前もってやっときなさい!!

これでいい!?分かった!?」

「分かった分かった!!大学生になったらやるよ!!

つーか今さら言ってももう遅いじゃん!!もう大学受験だよ!?」

「遅い早いの問題じゃありません!!今からでもやりなさいよ!!

だいたい中学の時から私は言ってたよ!?夏休みの宿題とか!!

毎日少しずつやりなさいって!!それなのにハナが平気平気って言って!!」

「ほら長くなってるー!!ガク君も大変だよ!!こんな嫁捕まえて!!

ストレスで禿げる姿が目に浮かぶよ!!もうツルーンだよ!!」

「ガク君は禿げませーん!!いつまでもサラサラの髪ですー!!」

    「お客様ぁぁー!!うるっせぇぇー!!」

店員さんに怒られました



チッ!と舌打ちする店員さんがいるレジで参考書を買って本屋を出て、

私達は隣のアイス屋でアイスを買った



「私達ももう大学受験かぁ~早いなぁ~」

アイスを舐めながらハナがしみじみと言った

「そうね~。みんなとずっと一緒にいるから変わらないなぁ~って

思ってたけど、私達ももう高3なのよね~早いわね~」

ついこないだ中学を卒業したと思ってたのになぁ~と

私もアイスを舐めながら過去を振り返った

時間があっという間に過ぎてったなぁ~

高校に入って合唱部が無いからみんなで作ろうって私が言って…

ハナも最初は駄目って言ってたけど…でもOKしてくれて…

「何でだろ?高校に入ってまたみんなで合唱部やってたからかな?」

「そうね~色々あったけど楽しかったもんね~だからじゃない?」

高校生活3年間でできた思い出を『色々』に詰め込んで言うと

「そっか~~、でも私達も今年の文化祭でお終いか~」

ハナは特に気にしないで言ったんだろうけど

お終いとゆう言葉に私は少しドキッとした後に

お終い…そっか、お終いなんだ…

少し……寂しいな……

胸の中心に小さな穴ができて…その穴がゆっくりと大きくなる感じがして…

その穴に冷たい風が通る感じがして…

大事にしていた物がなくなった感じがして…

「そうだね…お終いだね…」

だいぶ沈んだ声でそう言うとハナが

「うん…だから今年こそはガク君に来てもらわないと…みんなが流香に…」

最後の方はよく聞き取れなかった

「うん?私に何?」

私が聞くとハナは焦って手を振って

「あっ!なんでもない!なんでもない!」

と言うが

「え~?何よ?教えなさいよ?」

ハナにさらに追求するが

「なんでもないって!それよりもさ文化祭で私達は引退するじゃん!?

そのあとミクに合唱部を任せることになってるけど平気かな~?」

と無理やりに話題を合唱部の今後に持っていった

「何よ~?教えてくれてもいいじゃない…

う~ん、まぁ私達が辞めてミクに合唱部を任せても駄目だろうね…」

「駄目って?何で駄目なの?ミクに何か問題があるの?」

私の言葉に少し驚くハナに

「違うわよ。問題があるのはミクじゃなくて私達よ。4月に言ったでしょ?」

私達が合唱部からいなくなった後、合唱部が終わる理由を言った

「あれ?そうだっけ?言った?」

ハナが私に本気で知らないと聞いてくる

この子ったら…

「忘れたの?ミクと同じ1年の子達が辞めてミクだけ残ったときに

話したじゃない?このままじゃ私達がいなくなってミクだけになったら

合唱部が無くなっちゃうからどうしよう?って。」

「あぁ~、そうだっけ?」

まだ思い出してないハナに

「そうよ、私がどうしようって聞いたんじゃない。そしたらハナが

別にいいんじゃね?って言ったんじゃん。忘れたの?」

「えぇ?それ私が言ったの?ヒロとかじゃないの?」

「違うわよハナよ。それでみんな私達がいる間だけあればそれでいい。

って言って、私も辞めた2年の子達の噂とか知ってたから、私達が

いなくなった後に合唱部を復活させるのは無理だな~って…

みんながそう言うならじゃあいいやって言ったじゃん?」

「そうだっけ?え?つーか噂って何?」

とまだ思い出さないハナに呆れて

「まだ思い出さないの?練習がキツ過ぎるからみんな辞めたんでしょ?

それを1年と今の2年の子達が色々言ってるのよ…

肉体改造するおかしい連中って…それのことよ」

「そうだったのか…」

まだ思い出さないが納得してアイスを舐めるハナに

「それで、私達がいる間だけ合唱部があればいいってミクに言おっか?って

サキが言ったから…私が、言うとミクも多分辞めちゃう、それは寂しい、

ミクには合唱部にいてもらいたいって言ったら、みんなも…そうだねって」

私が寂しいと言ったら、みんなもそうだね…寂しいねと言ったのだ

「そうだったね…思い出した…ミクには内緒ねって…」

「そうよ。だから…」

だから……だからミクには少し悪い気がしてる

今年の部活説明会で見つけたミクを半ば強引に入れたから、

本当は違う部に行きたいんじゃないのかな?と…

合唱部を辞めて違う部に行きたいんじゃないのかな?と考えている。

だから私達がいなくなった後にミク1人で合唱部を続けさせないため、

ミクの事が好きなある男の子に私は秘密を、私達がミクに内緒にして

いることを話しているのだ。

私達がいなくなった後に私達の言葉を伝える役目を頼んでいるのだ。

その子がいずれミクに接触して私達のことを話してもらえるように…

ミクを合唱部から辞めさせるために…

直接に辞めていいよと言えない臆病な私達の代わりに…

「うん…ミクには悪いことしたね…」

アイスを食べ終わったハナが目を伏せてそう言うので

「ハナ?どうしたの?珍しいね?」

今度は私が少し驚いてハナに聞いてしまった

「ん?だって……いや、いいや…」

何かを言おうとして止めたハナ

「何よ?さっきから変よ?」

「何でもないよ…それよりも今年はガク君来てくれるといいね?」

と妙ににっこり笑顔で押されてしまったので

「あぁ…うん…」

私は負けてしまった

そして

「じゃあもう帰ろっか?」

とハナが提案をするので

「そうだね…帰ろっか」

私はハナの少しおかしな言動が気になっていたが、聞いても答えてくれなさ

そうなので深くは聞かなかった





そして一週間後の土曜日の夜。私はガク君に電話した

プルル~

 『もしもし?流香?』

「もしもしガク君?平気?いま話せる?」

ガク君はたまに夜まで部活にやっていて電話に出ることができない

 『大丈夫だよ…明日の文化祭、楽しみだね』

「うん、楽しみ…大丈夫?去年みたいに風邪ひいてない?」

去年のガク君は土曜に風邪をひき、一般公開の日曜に来れなかったのだ。

しかも2年前の文化祭もお母さんが病気で倒れたから、合唱部の

出番が終わった後に私の学校に到着して合唱部の歌を聴けなかっのだ。

さすがに今年こそは聴いてもらいたいよ~

せっかくみんなで頑張って練習したんだから…

 『大丈夫だよ、病気になってないよ』

ガク君の言葉にほっとして私は

「本当?今年こそは文化祭で歌を聴いてもらいたいからね~

いつもだけど、病気にならないでね?体には気をつけてね?」

 『うん、分かってる…そうだな、今年こそは見に行かないと駄目だな…

 せっかくみんなで合唱部作ったんだからね?』

「そうだよ~だから絶対に来てね?今年が最後なんだからね?

そうだ!2年前にした約束覚えてる?」

一昨年にしていまだ果たしてない約束を聞くと

 『うん、覚えてる…胸の前で手を合わせるんでしょ?覚えてるよ』

ガク君もちゃんと覚えててくれて嬉しい…

「ありがとうガク君、覚えててくれて…今年は絶対に約束を果たそうーね?

今年で文化祭が最後なんだし…ね?」

 『あぁ…ちゃんと見に行くよ…絶対に見に行くよ…』

そう私に優しく言ってくれた 

「うん…学校に着いたらメールしてね。そんで体育館で待っててね?

道は分かるよね?もし分からなかったらメールしてね?連れて行くから」

私の言葉にガク君は少し呆れて

 『分かるよ…2年前に行ったから覚えてる…大丈夫だよ…それじゃあな』

「そうだったね…ゴメンゴメン。うん、おやすみガク君」

 『おやすみ、明日な』

「うん、明日ね」


明日のことを想いウキウキしながら恋人との電話を切った



翌日の日曜日。

クラスの出し物の当番を終えて、体育館の舞台の袖に合唱部はいた。

私はガク君からのメールを見ながら

どこに座ってるか教えてくれてもいいじゃない~~ガク君の意地悪…

すこしむくれていると

「流~香!ガク君どう?来てる?」

ハナが後ろから私に寄り添い、少し心配げな顔で聞いてきた

「うん。来てるよ。もう座ってるみたい」

「そう!良かった良かった~~今年はガク君ちゃんと来れて良かったね?」

ハナの心配げな顔がパッと嬉しい顔に変わった

「うん…良かった…」

だから私も嬉しく、そして安心した

「良かった~これでやっと…」

ハナが私の肩に顔を埋めたので、ハナの頭に手を置いて

「ん?これでやっと?」

と聞くと少し顔を上げたハナが

「いやぁ…流香言ったじゃん?1年の時に私に言ったじゃん?

ガク君が歌をまた聴きたいって言うから合唱部をまた作ろうって。

それがやっと叶うんだな~って…」

珍しく懐かしさを口にしたので

「…そうだったね……」

私はいつも優しい友人に…

ちょっとだけ馬鹿な、でも憎めない友人に…

「…ありがとね、ハナ……ハナのおかげよ…あの時、一緒に作ろうって

言ってくれて本当に嬉しかったわ…ハナがOKしてくれて…みんなも

OKしてくれて合唱部ができて…この3年間本当に楽しかったわ…

全部…最初にOKしてくれたハナのおかげよ?ありがとう…」

最大の感謝をした。

また私の肩に頭を埋めてるハナは少し照れて

「…私は…私は流香とガク君が仲が良いのが好きなんだ…それだけだよ…」

ぶっきらぼうに言った

「…うん…ありがとう…」

と私がハナの頭を撫でていると 

「流香ー?ハナー?出番だって~行くよー!」

実行委員と話してたヒロが私達を呼んだので

「…じゃあ最後の舞台に行こっか?」

「うん…」

私達は舞台に上がり






私はガク君との約束を果たすことができた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初恋メロディー 過去巡りその9

初恋メロディー過去巡りのその9です。

本当はその8とその9は一緒だったんですけど、どうやら6000文字を

超えていたようなので2つに分けました。

閲覧数:51

投稿日:2011/11/09 15:42:44

文字数:5,258文字

カテゴリ:小説

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