オリジナルのマスターに力を入れすぎた結果、なんとコラボ(2人)でお互いのマスターのお話を書けることになりました!
コラボ相手は、カッコいい素敵なお姉さんの生みの親、つんばるさんです!
上記の通り、私とつんばるさんのオリジナルキャラ(マスター)が登場します……というか、マスター(♂)×マスター(♀)です。
そして、ところによりカイメイ風味ですので、苦手な方は注意してください。

おk! という方は……。

(つ´ω`)<ゆっくりしていってね!>(・ω・春)




*****




メールを送信してから、何時間か経過した。
まだ外は明るいが、太陽はかなり傾いてきつつある。
そんな時間まで何をしていたのかというと、ひたすらPCの画面を睨んでいた。
何度も送信済みのメールを確認し、受信箱を覗いているが、アキラからの返信はまだない。
メールなんて、送った直後に返事が返ってくるとは限らないのだから、そんなにピリピリして待ち構える必要などどこにもないのだが……。やはり、他の事をしようと思っても、結局はPCの前に戻ってきてしまうのだった。




―Grasp―
悠編 第四話




トイレから戻ってきて、また練習部屋のドアを開く。
しばらく同じ姿勢で座っていたせいで、体のあちこちがこり固まっている。家の中を少し歩き回った程度では、それが解消されるはずもなかった。
心なしか、背骨がみしみしいっている気がして、一度伸びをする。


「ん……と、やっぱりじっとしてない方が良かったな」


こきこきと首を鳴らしながら、誰にともなく呟く。
いつまでも動こうとしない俺に呆れたのか、VOCALOIDたちは皆、別室にいる。
めーちゃんとカイトは、たまに俺の様子を見に来たが、今はどこにいるのやら。
再びPCの前に座って、メールチェックをしようとした矢先、気の抜けたチャイムの音が聞こえてきた。


「誰だ……?」


アキラではないだろう。あんな事があった後だ、忘れ物でもしていない限りは、今日ここに来るとは思えないし、忘れ物も……多分、ない。
宅配便か?
そう思いながら玄関の扉を開けると、見慣れた顔がそこにあった。


「や、ハルちゃん」

「美憂? どうしたんだ、急に」

「ちょっと時間ができたから、遊びに来ちゃった!」


明るく言った直後、能天気な笑顔が少し引っ込んだ。


「体の具合、悪かったんだって?」

「……アキラから聞いたのか?」

「まぁそんなとこ。入っていい?」


そう訊ねはしたものの、美憂は俺の返事を待たずにもう靴を脱いでいた。
……別に構わないが。


「あれ、美憂さん。どうしてここに?」

「あ、メイコちゃん、久しぶり~!」


廊下ですれ違っためーちゃんに、美憂は明るく挨拶する。
そんなに久しぶりでもないだろうが。


「ちょっと仕事が早く終わったから、ハルちゃんの顔を見にね。メイコちゃん、しばらくこいつ借りるから」

「え? あ、はぁ……」


いまいち状況を掴みきれていないようではあったが、美憂のペースに押されてめーちゃんは頷いた。
それを見てから、美憂は俺の部屋のドアを開けて、俺を半ば無理矢理引っ張り込んだ。


「何だよいきなり」

「ごめんごめん、痛かった?」

「そういう問題じゃなくて……、おい美憂、何だそれ」


今まで気付いていなかったが、美憂は手にビニール袋を下げていた。
これはもしかして……いや、もしかしなくても、あれか?


「ん? お酒」

「やっぱりか。あのな、俺、まだ夕飯前なんだが」

「いいじゃん、どうせ明日も休みでしょ?」


言いながら、早くもチューハイの缶を開けている。
まぁ……どちらにしろ、今の美憂に逆らうだけ無駄か。ここまで強引に話を進める時のこいつは、大抵何を言っても止まらない。
諦めて、俺もチューハイを一本手に取って開ける。
こんな時間に酔っ払うわけにもいかないので、俺はちびちびとしか飲まなかったが、美憂のペースはいつもと変わらない。


「美憂、まだ明るいうちからそんなに飲むのは……」

「いいの。どうせ帰りは電車だし」

「いや、そういう問題じゃなくて……。とにかく、ほどほどにしとけ」

「ハルちゃんのケチ」

「はいはいどうせ俺はケチですよ」


投げやりにそう言ってやると、美憂は急に黙り込んだ。
物憂げな視線に、どきりとする。
こんな顔をする彼女は、久しぶりに見た。
最後に見たのは……こいつのとこに帯人が来て間もない頃か。
あれからもう数ヶ月たっている。美憂が落ち込む事など、それくらい珍しい。


「……ねえ、悠」

「何だ」


彼女の声は沈んでいて、俺を見る目が酷く悲しげだった。
いや、違うな、俺を見て悲しんでいるんじゃない。


「アキラちゃんが言うには、あんたの顔色が悪かったって……特に別れ際」

「……」

「発作、起こしちゃったんでしょ」


違うと答えられたら、どれだけ良かっただろう。
実際に抑えられたのだから、起こしていないと言えたはずなのに……こういう時に限って機転がきかなくて、言葉に詰まってしまった。
そこを見逃すほど、美憂は甘くはない。


「やっぱり……」

「……すまん」

「悠が謝る事じゃない。……元はといえば、私のせい。悠が怖がってるのを知ってたのに、私の考えを押し付けて、結局アキラちゃんに嫌な思いをさせて……あんたを苦しめた」


美憂は、泣きそうな顔を隠すように、うつむく。


「ごめんね、やっぱり、悠には辛すぎたかな……余計な事、しちゃったかな」

「……余計な事なら、今こうして酒なんか飲んでない」


俺がそう言うと、美憂が肩を震わせる。
それを見なかった事にして、缶に残っていたチューハイを一気にあおった。


「お前も言ってただろ。ずっとこのまま、何もできないでいていいわけない。お前が俺に変わってほしいって言うのと一緒で、俺だって……アキラを好きだって思ってるだけで、何もできない今の自分から、変わりたいと思ってる」


余計な事だなんて、そんな事は絶対にない。
美憂が背中を押してくれなければ、俺はずっと、アキラへの気持ちを誤魔化したまま生きていったのだろう。


「だから……美憂には感謝してる」


美憂が気に病む必要はない。俺が何とかするべきなんだ。
たとえそうでなくとも……俺は、アキラにも随分助けてもらっている。
年長者を見下すなと言いたい時も、何度もあった。
だが同時に、そこまで率直に接してくれる彼女の態度が、嬉しかった。
それに、同窓会の日に俺が潰れた時……夢ではあったが、あの時に俺を叱って宥めてくれた女、あれはアキラだった。
知らなかっただけで、あの時にはもう、アキラは俺の中で、それほどまで大きな存在になってしまっていた。


「俺は、アキラに助けてもらってばかりだった。今度は俺が、アキラに何か返してやりたい」


今回のコラボでそれが可能ならば、俺は全力を尽くしたい。
今日は緊張であんな事になってしまったが、俺の思いに変わりはなかった。


「だから、心配するな。このコラボ、やりきってみせる」


そう言うと、美憂は少しの間黙っていたが、顔を上げて、にこりと笑った。


「……なんだ。私が心配する事もなかったわね」

「もう帰るのか? さっき来たばかりだろ」

「うん、もう用事は済んだから。あ、お酒はあげるから、また誰かと飲んでね」


美憂はドアノブに手をかけて、俺を振り返る。


「じゃあね、悠。……頑張って」

「……ああ」


美憂が出ていって、急に部屋が静かになったように感じる。
とりあえず残った酒と空き缶を片付けてから、迷った末、また練習部屋へと向かった。
これでメールが来ていなかったら、一旦PCの電源を落とすつもりで。


「……あ」


受信箱を開いて、思わず声が出る。
未読のメールが一件。差出人はアキラだった。
慌てて開いて、本文を確認する。


『 お返事遅くなりました、東雲です。

 昼間のことなら、謝ってくれなくても大丈夫です。
 (というか、反省するなら体調管理をしっかりしなかったことを反省してください)
 しかし、私も失礼な物言いをしました、こちらこそごめんなさい』


謝らせてしまって、少し申し訳ない気持ちにはなるが……これは、心配してもらえていると受け取っていいのだろうか。
どうも、自分の都合のいいように解釈している気がしてきて……いや、よそう。
気を取り直して、続きをスクロールして表示させた。


『 次回の日程ですが、私はいつでもかまいません。
 私よりハルちゃん先輩の方が日程調整の難しい立場なはずなので、そちらに合わせます。
 それと、いまさらコラボ降りるとか弱気なこと言うつもりなら、聞きませんからそのつもりで。

 インスト受け取ってくださったみたいでよかったです。
 好きに弄ってください。作詞と編曲はお任せします。
 こちらでも、私が作りたいぶんだけは好きに作っておきます。
 次回までに、曲のデータだけでも先に欲しければ言ってください』


次回の話が出て、俺は今度こそ、はっきりと安堵を感じた。あんな事があった後で、まだ俺が関わってもいいのだと、相手に直接言ってもらえると、やはり安心する。
編曲と作詞も、あっさり任せてもらえて、俺はまた少し、鼓動が速くなるのを感じていた。だが恐らく、理由はそこだけじゃない。
やはり俺は、彼女が好きで好きで……笑えてくる。
それをなんとかして考えないようにしながら、俺はPCの電源を落として、台所に手伝いに行った。
あの曲の歌詞のイメージを、あれこれ考えながら。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

【オリジナルマスター】 ―Grasp― 第四話 【悠編】

実は前からこっそりそういう事を考えていたんですが、なんとコラボで書ける事になってしまった。
コラボ相手の方とそのオリキャラさんが素敵すぎて、緊張しております……!



わっふー! どうも、桜宮です。
悠さん、従姉妹に話してちょっと元気になる、の巻。
もう既に元気かもしれませんが……。

首って、こってると鳴ります。……私だけですかね。
うちの妹とか、聞いてて怖くなってくるくらい鳴るんですけど(汗

そろそろ悠さんも本気を出してくれるかな……すごいスロースターターですみません(汗


このころは、最近発売された某ゲームの話題が多かったですね。私が買ったので。
で、パーティメンバーの名前をボカロさんたちの名前にしたあたり私は自重するべきだと思う。
カイメイとかルカVSカイトとか妄想しすぎだと思う。
つんばるさん、ホントに、うるさかったら止めて下さい(滝汗
っていうか、こういうことをここに書いてよかったのだろうか←


アキラ編では、後輩さんがなんだか悩んでるみたいで心配です。
先輩、能天気にwktkしてる場合じゃないぞ。

東雲晶さんの生みの親で、アキラ編を担当しているつんばるさんのページはこちらです。
http://piapro.jp/thmbal

閲覧数:452

投稿日:2009/09/28 16:15:23

文字数:3,993文字

カテゴリ:小説

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