「レンッ!」
公園に入り、レンの名前を叫ぶ。
「うおッ!?」
遠くに小さく見えるレンの肩がびくっと上がる。
すぐさまレンに駆け寄る。
「なんだよお前・・・カイト先輩の事ならまた俺がなんとかして・・・・」
「違う!」
レンが言い終わる前に叫んだ。
「好き!!」
「はぁ!?」
「レンが好き!!」
お願いッ・・・レン・・・・ッ!!
「何言ってんだよ」
期待していた言葉は出てこなくて。
「お前、カイト先輩のことが好きなんだろ?諦めてハードル低い俺選んでんじゃねぇよ。な?また、俺が上手くやってやっから」
レンはあたしの肩をぽんぽんと叩いて、公園から出て行った。
（駄目だった・・・・）
そりゃ、そうだ。
フラれてすぐに自分に告白してきたなら、そう思うに決まってる。
空からぽつんと落ちてきた水が、あたしのほっぺにあたる。
雨は次第に強くなり、しまいにはバケツをひっくり返したような天気になる。
お気に入りのワンピースはみるみるうちに汚れてく。
「・・・・・帰ろ」
ふらふらと家へ向かった。

「リンちゃんおはよ!」
あたしとは正反対の晴れやかな笑顔で挨拶してくるミク。
「昨日はよくも呼び捨てしてくれたな」
それの隣にいるカイト先輩。
「あーもう・・・」
むかつくぅ・・・・・
あたしはこんなにどんよりしてんのに、二人だけ幸せそうにしてるなんてぇ・・・
「リンちゃん、どうしたの?暗いけど・・・」
「昨日の出来事が起こった後のあたしが晴れやかな笑顔でおはよーとかゆったら逆に怖いけどね」
「あ、そーだよね・・・ごめん」
「んーん。その事じゃなくて実は・・・」
「鏡音リン!!!」
え!?
「は、はいっ!!」
思わず敬語?。
レンが私の名前を大声で呼んだ。
「ちょっと来い!」
「え、ちょ、ちょっと!!」
レンがあたしの腕をがしっと掴んで屋上に連れてく。
「腕痛いって!」
「あ、ごめん」
屋上でようやくレンは手を離した。
「何か用?カイト先輩ならミクとくっついちゃったからもう・・・・」
「昨日家に帰ったらお前のことで眠れねーしなんか心拍数あがるし後悔するし罪悪感とか沸いてくるしなんなんだもう・・・・!」
ぶつぶつと独り言のように言う。
「おまけにカイト先輩のこと黒魔術で呪いてーとか思ったりはするし・・・」
え??
「ねぇ、意味分かんないんだけど、大丈夫?」
「つまり・・・・うーんと・・・」
レンは大きく息を吸う。
「お前が好きだー!!!!」
レンの声がこだまする。
「・・・・え!?」
「だから、好き!!」
「ウソ!」
意味分かんない!
もう頭ン中ぐっちゃぐちゃ!!
「だってあたし・・・・ワガママだよ?ナルシストだよ?私服だってロリロリしかないし、甘い物ばっかり食べるから付き合ってると気持ち悪く・・・・」
「・・・・何言ってんだよ」
レンはあたしの頭をくしゃっと掻き回した。
「お前は自分に自信ありありのナルシスト女だろ!」

ワガママロリータスイートガール。
甘いものが好き。
可愛いものが好き。
＝あたしが好き。
でも・・・・


キミの方がもっと甘くて可愛くて、世界一自分が好きなあたしも敵わないくらい、大好き!!