「いやぁ…このゲーム買ったけど何のゲームか分からないんだけど」

手元には何の意味のない絵柄のパッケージがある。

何とも言いようのない絵柄。
てか、このゲーム売れる気全くしなんだけど。

「リアル人生ゲームって…本当に何なんだよ」

ミクちゃんに「これ、新手の死にゲーだからやってみて☆」ってこれおすすめされたんだけどこれを始める気がしないんだよね…。


まぁいいや、暇だから始めてみるか。




1日目 Level0


『名前を決めてください』


ゲームでは当然の主人公の名前決め。
どうしたものか…。
まぁいいや本名で。

「かがみね…れんっと」


『眩しい明かり、僕は生まれた。優しい母の顔…初めまして…」


おうふ…本当にリアル人生ゲームなのね…。
普通は生まれた時から物心はついてないけどね。


『先生!!新生児の心拍が落ちてます!!!先生!!!! -END-』


!?

いきなりBADかよ。
そして新手の死にゲーってこういう意味かよ…。

Aボタンを押しただけで1回目が終わった。




3日目 Level5


どうやらLevelというのは主人公の年齢なのだそうだ…。
そして結構運ゲーで、下手すりゃすぐ終わる。

能力のパラメーターなんて関係なくLevelは上がるそうだ。

でも能力は上げておいたほうが無難だな。

公園で運動っと…。


『あ!!れんくん危ない!!!-END‐』


轢かれおった…。
そして直接これ死んだ理由書かないんだよね。

面倒臭い…でも面白くなった気がする。




7日目 Level20


ふぅ…ふぅ…。

目の前には沢山のユ○ケルが積み重なっている。
眩む視界、画面も揺れている。

何とかこいつを大学生まで育てあげた。

途中、人生のレール踏み外しルートで何回か終わったが、マジで義務教育を抜けるのは大変だった。
能力値を上げておかないと成績で自殺しよるんだよ。

友人関係で縺れていじめになったりな。

このユ○ケルは頑張りの証だ。
まだまだ今から…よし。


『友人が新規の事業を立ち上げるそうです。

1.協力する
2.お断りします

どうしますか?』


う~ん…。

実はこの友人には学生時代お世話になった事がある。
協力するか…うん。


『融資した友人がいなくなった…持つものもなし、何もなし、さようなら-END-』


\(^o^)/

やっちまったよ。
またLevel0からやり直すのか…きちぃなぁ…。


バタッ。




15日目 Level45


「ねぇ…レン?最近篭って何やってるの~?」
「う~ん?ゲーム」

オレの目の下のクマを覗き込んで妹のリンが心配しているらしい。
俺の横に座り込んで画面を見つめている。

「何のゲーム?」
「リアル人生ゲーム…」
「何それ?w」

もうヤケである。

このゲーム、絶対クリアしてみせる。

この人生は運良くそこそこのお金を持っている。
可愛い妻と可愛い娘…まぁまぁだな、うん。

Level22の大学卒業の辺りからパラメーターに新たな要素が追加された。

甲斐性と、モテ度。

その辺りからギャルゲー要素も出てきて、アウトローに進むとシューティングになる。


『かなり疲れてきた。少し休みたい…。

1.休ませる
2.働くペースを上げる
3.賭け事をして遊ぶ

どうしたものか…』


う~ん、2は外して考えて、3はちょっと考えものかな…。

「~ん~お~い、レ~ン~!!」

1にするか…。

「レン!!ちょっと!!!」

考え事に浸る俺を揺すった時のはずみでボタンが押された。

…2の選択肢で。


『おとうさん、ねぇおとうさん!!起きて目ぇ開けてよ!!!-END-』


言わずと知れた過労である。

…あぁ、娘の顔がだんだん暗くなって消えて、オープニング画面になった。


俺はリンをジト目で睨んだ。

「な、なによ?たかがゲームじゃん」
「……たかがゲームだとぉ!!」


ケンカは2時間にも及んだ。




30日目 Level75


『今、僕の目には沢山の優しい家族がいて、もう後悔はない、一言で言うならいい人生だった、皆にお礼が言いたい、ありがとう、ありがとう…』

ゆっくり画面が霞んでいき、エンドロールが流れる。

…平凡だけど、何だかいい人生だった。

涙ぐんでいた。

人間って結構生きるの大変なんだな…感動した。




ただどんなゲームのクリア後に現れる賢者の境地にはならなかった。

とりあえず、ミクちゃんにお礼を言っておくか、あとリンに謝る。



そして、計画を立てて、今からのリアル人生、頑張らねば!!

俺はギュッと拳を握った。


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

リアル人生ゲーム

SHUN「生きるのって大変だよね…」

同人誌のボツ作品です。

僕自身、5年前までオタクとか無関心、むしろ否定派だったのに、今は普通にアニメ見て、ボカロ聴いて、その関係で同人小説書いてる…。

人生っていうのはマジで分からんですねw

閲覧数:1,676

投稿日:2012/12/17 06:52:10

文字数:1,965文字

カテゴリ:小説

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