「だーいさんせーい!」

「僕たちも、お腹が空いてきたから良いね」

 提案は、すぐに受け入れてくれた。仲間の2人もヒトである設定なので同じように『グゥ〜〜ッ』とお腹から音が鳴っている。
 ミクたちは道具屋さんから離れ、食べ物の露店が列ぶエリアへと移動した。露店から醸しだされる湯気と薫りは、空腹状態なメンバーのお腹をさらに『グゥ〜ッグゥ〜〜ッ』と楽器演奏のように鳴らしてしまう。

「あ〜っ。美味しそうなニオイのせいで、あたしは、はらぺこあおむしよ」

「リンちゃん私も、はらぺこあおむしになっちゃった」

「単にそのフレーズ、言いたいだけだろ2人とも」

「あっ! なんかイイ感じのパン屋さんがあるわよ♪」

 リンは立ち止まった。それは1軒のパン屋さんである。

「いらっしゃい。私が作るパンは子どもたちに人気だよ〜っ」

 パン屋さんのおじさんは、顔は愛着ある丸顔で頭に白いコック帽を被った典型的なパン屋さんのような容姿をしていた。おじさんの姿をみると、懐かしさと童心に戻らせてくれる。

「すみません。どんなパンがあるか見せてください」

「私がパンを作るときはね、おいしくな〜れ…おいしくな〜れ……と真心を込めているんだよ」


[パン]
アンパン  2G
食パン   4G
カレーパン 2G
メロンパン 2G
コッペパン 1G


 パン屋さんのおじさんが用意するアイテムを見て、ミクは仲間に質問した。

「リンちゃんとレン君は、なにが食べたいかな?」

「あたしはもち、カレーパンよ」

「僕はアンパンが良いな」

「カレーパンとアンパンね……」

 ミクはサイフの中身を確認した。残金が5Gしかないため、アンパンとカレーパンを購入すると自分が食べたいメロンパンが買えなくなってしまう。

「※&♯☆」

 仲間のためにメロンパンを諦めようと考えてみた結果、空腹状態なのでミクは思考回路がショートしてしまいメニューコマンドから【サイフ】を選び【たべる】を選択してしまう。

◆やめてください。

「はっ!? 私はいったいナニをしようとしてたの?」

 ふと我に返ると、がま口サイフなんか食べられる筈ないと正気に戻る。ただ…サイフの中身はどう足掻いても5Gしかない。ひっくり返し手のひらにGを乗せても5Gしかないのだ。

「ねえ…レン君……。レン君がさ…本当に好きなモノ、私は知っているんだよ……」

「えっ!? 急にどうしたのミクちゃん……」

 突然の意味深な呼びかけにレンは驚きを隠せないでいた。またも先の展開に嫌〜な予感しかしない。

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G clef Link イバーノの町でクエスト10

君は今まで食べたパンの枚数を覚えているかい?

次話
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投稿日:2020/01/02 21:03:05

文字数:1,077文字

カテゴリ:小説

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