・・・・・・・・・・

気がつくとすでに朝だった
そして、なぜか布団に寝かされていることに気づく。
まだ眠くて、眠いからあたまがボーッする。
あまり周りの状況が理解できない。寝起き直後のVOCALOIDは大体そうだ。

「・・もう朝か」

壁にかかっている時計が指す時刻は6時。少し早いかな・・・

昨日、あの後どうなったのだろうか。
リンと一緒にこの部屋で過ごしているうちにトランプをすることになって、
で、自分が負けて罰ゲームを受けることになって、
最後にリンが「ありがと」とひとことつぶやいて・・・

・・・・そこからの記憶は飛んでいた。

レンはいまだにリンが望んだことの真意がわからない。
「隣にいさせて」なんて、いつもいるじゃないか。
それなのになおも望むってことは、よほどの欲張りか?
いや、ずっととなりでリンを見てきた自分にはリンがそんなんじゃないことなんて良く知ってる。

じゃあなぜ?

気がつけば、いろいろと思索できる程度には頭が回っていた。
いままでスリープしていた体もようやく体中に熱を伝え始めて、
その熱が周りの状況を伝える。

「あれ?」
ようやく目覚めてきたレンは体の右側が妙に重いことに気づいた。
最初は布団のせいかと思っていたが、よく見れば・・・

「・・・・リ・・ン?」
「・・・zzzzz」

となりには自分の右側にうれしそうにくっついて寝ているリンの姿があった。
まぁパソコンのなかでもこうやって隣で寝ることがあるから珍しくはないけど、
なぜか、こんなにもうれしそうなリンの寝顔をレンはまだ見たことがない。
なぜだろうか・・・
レンはまた考える、不思議なことなのだから疑問を浮かべるのはあたりまえ。
でも、考えても考えても答えは見つかりそうにない。

・・・・・・
しばらく何も考えずに上を見る。
右にはリン、まっすぐ上を見る自分。この時間はなんだか落ち着く。
それを言い訳にしてレンは一つの答えを出した。

「ま、いっか」

考えることがイヤになってレンはそれをやめた。
自分はリンが笑顔でいてくれればそれでいい。
今、自分の隣には自分に寄り添って笑顔でいるリンがいる。それで満足できる。

「そんなにオレが大事か?リン」

大事そうにレンをつかんでいるリンに問うようにしてささやく。
答えが帰ってこないのはわかっていたけど、
それでも聞かずにはいられなかった。
考えることをやめる前にずっと考えていたことだから。

そのときリンの口がわずかに動いて言葉をつむぐ。

「大好きだよ、レン・・・」

「!!」
帰ってこないと思っていた答えが返ってきた。
会話ならば成立しない答えだったけれど、それでもその一言はレンの心を十分満たした。

「そうか・・・」
こっちもつぶやくように返事をする。
きっとリンもいま言葉を聞かれたとは思っていないだろう。
もしリンが起きていたら顔を赤くして否定するだろうが、
寝言は心の中で考えている言葉に近い。今の言葉はリンの純粋なレンを思う心からの言葉。
その心に返すように、リンに聞こえないようにしてレンも返した。

「オレもだよ、リン・・・」

つぶやき終えると、右側にいるリンをそっと抱きしめた。
どうせまだ6時ごろ、寝ていても大丈夫、それに誰も来ないだろう。

勇気を出したかどうかはわからないけど、心からの言葉を聞けた。
レンはそれがうれしくてリンになにかしてあげたくなった。ただそれだけ。

(オレはオマエだけのもの、どこにも行かないよ)


しばらくすると、またレンは眠りの世界に落ちていった。
満足そうな笑顔をその顔に浮かべながら。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Together-think

もう何話めかなこのシリーズは・・・
まぁそろそろ終わりそう。

閲覧数:102

投稿日:2011/07/28 23:17:15

文字数:1,511文字

カテゴリ:小説

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