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16件
熟れた空 影落とす二人
擬かしい距離感で
まだ素気ない態度の割に
頼んでた氷菓が二つ
再評価したのは束の間
匙はないらしくて
「手で食べれば」
また綽々で 不敵な笑み
あんたはどうすんだよ
溶ける扶桑に似た微熱...バニラージュ
磨瀬
君が見た風景は 中心の無重力は
春夏秋冬の中で憶えた
確かな澱みと識ったの
ふと 気付けば谷を抜けて
今心の内側は溶けてしまった
聴こえの良い正解を求めてたの?
知る由もないけど
ねえ 光途切れた街は冷えて
悠く形も見ない程に埋もれていく
誰が為の詩を謳っていたの...沈澱
磨瀬
肩で風を切って 雲を追い駆けて
思い出したんだ 口を噤んだのは
扉の閉まった地下鉄の中 水飛沫
忘れられないのは夏の所為かもね
なんてね。
甘い曹達 飲み干してさあお終い
届きはしないんだと まだ後ろを
向いていたままの散った淡い想だ
夜空に咲いた花はもう見えないな
ほら過去なんて遠く瀬の向こうへ...Bubbles
磨瀬
森閑と部屋に差すシャドー
アーティチョークとレモンの匂い
窓の外に視える街灯も
綺麗だね 瀟洒だねって
どうか 忘れないで水をあげてね
待ってる。気が向いたら連絡して。
丸いテラリウム 照らす斜陽
イーハトーヴォ 透き通る風
屋根の下で君と そうずっと
居られたら良かったな。...ソークアティア
磨瀬
忘れるまで忘れないから
嫌いになるまで嫌いにならないよ
それを幸せと呼んでいた
横を通り過ぎた風は
僕など気にしちゃいなかった
嗚呼言えばこう言う
それは不仕合わせでしょうか
好きの反対は嫌いと縛って
無気力 倦怠感 期待は仕舞って
大丈夫じゃない でも...Selfied
磨瀬
大切な想いは何時だって
あの日が始まりで
終わりなんて無くて
液晶の正面に映る
あなたは何を考えてるの
今も
昔は
何をしていたって嫌われ者
晴れの日は最悪で
でも世界は眩しくて...スターライトツリー
磨瀬
砂に雨の降る街で 些か渇いた
咽喉を潤した 拾肆の夏
もう明日には忘れてる?
全て融けて月は黒くなっていく
鞄の中詰めた僕の直向きな声が
ハロー、と木霊した余韻が未だ
ずっとゆらゆらりと搖れている
永久の果てにさえ 気付かずに
何千回 繰り返したって
正解なんて何処にもない...エヴェリ
磨瀬
俯き観た映画を付けては
あなたがただ蟠るだけだ
溜まり始めた 空の缶を
捨てて終わりにしようか
退屈な不幸せよ 日々よ
あなたと過ごした時間は
白昼夢で 昨驟雨の様で
淡く霞んで見えるネオン
脆く儚く堕ていくメロウ
グラス一杯を呑み干して...ブルームーン
磨瀬
歩き疲れた 何処に居たんだろう
意味は枯れた花の中
明日を見捨てた 底に翳る火花
賽を投げた 頬は赤
まだ足りない 咲かなかった
もういいよ
緑と青を待ち続けて ただ
乾いてもっと渇いた喉裏
麗 それだけでもう右往
泣いた昨日に蒔いた眼は...Thirsty
磨瀬
何時かのように近づいている
増えるほどの情緒が
何時かの前世とか 来世とか
何方でもないと言い切ろう
まだいいよと言って想願って
次に降りるのは交差点
目を逸らす 溶ける時計
袂を分かつとは
喰うを切る 千年に一つ
交々知らずとも 莫迦が...569と和韻
磨瀬
灰色の空に零して失くした
あの日の面影にそっと
消えないよう手を伸ばした
片道二時間半 記憶の中へ
緑色の風に靡いていつしか
鼻先を掠めた朝顔の表情と
シンクロした君の笑顔には
敵わないな
変わらないね 山際の風景
二度とないこの季節をふと...splashes
磨瀬
この街には、あなたと見た雪が今日も降っている。
12月15日、私は大切な人を失った。亡くなる前日に彼と喧嘩をし、折角の記念日に渡すつもりだった手紙は、部屋の隅にある窓際に置かれたまま。死を受け入れられないまま、時間だけが過ぎて往く。私の心に雪は積もり、大事なはずの気持ちを紛らせている。
12月17日...小説「icicles」
磨瀬
またねって言って 窓越しの別れ
反芻は追い付かず夢の後
あっという間のバイバイ 記憶は
取り憑かれたよう 寂しさがまた
私語ね 眠い目擦って (ささめごと)
単純が頬を濡らす終夜 (よもすがら)
何回目の感傷に僕らは
脚を竦ませて
回想 毎夜毎晩の懐古
巻き戻したいの でも...Pale in Vain
磨瀬
毎回だって思うんだ 「今に見てろ」
そこに行くよこれから
そう言いながら朽ち果てて逝くの
藍 吐いたって憂いだ 変わる日々の
中にいっつも 'これから'を呻いたから
結局置いてかれんだ
廻って 下がって 嗤っておくれよ
延々と永遠と篠突く雨 もういいか
なんて茹って 罪人面しよう
明けるまで僕ら踊...デイズ
磨瀬
派手な服 上辺を着飾る肌寒さと
見え透いている 頭の中の空っぽさに
薄ら笑う僕 優れも劣りもせずに思う
温かい部屋で 忽々の音量で
右耳に流れ込む 負の映画は
「きっと死ぬ」
そんな展開で感動していた
誰かを映している
風が吹く 路地が揺れる
消える火を何かで誤魔化して...リビングコア
磨瀬
呼んでる 街の灯りがほら
一つ二つ降り積もる雪の中
眺めながら秘めた心一つ
ぼんやり紛れていく
すぐ定まらないピントには
冷たく凍てつくような愛を
霙だって威張ってた今日も
募りずっと抱いてた想いも
明日は部屋の隅っこへと
乾いた息と色たちは...icicles
磨瀬