紅娘

風を感じるわ　頭が軽い
シャンプーもきっと楽になる
ところがどっこい、っていうの？
誰も気付く人なんていないのね
さすが現代人
多分他人なんてどうでもいいのね
別にいいんだけど　なんか、その
ちょっとさみしいな、とか、なんとか
こうして髪を切ってみたけど
何か変わる気がしたけど...

昼下がり　おやつどき
突然のあなたからのメール
半分寝ぼけた目で眺める文面は　とてもショッキング
『ごめん』
『別れて欲しいんだ』
喧嘩したわけでもないし
ねえ、あなた
エイプリルフールはもう終わったのよ？
悪い冗談はよして　笑えないわ
理由を聞けば、それは私のわがままのせい？...

伝えたかったんだ
昼下がり　窓を打つ雨
気だるい雰囲気
何もかも　だらり、と
君の痕をそっとなぞって
…伏し目がち　ため息ひとつ
君がくれた甘い　痛みの雨の中
立ち尽くす僕は　ひどく幸せで
雨上がり　窓の外には
黄昏　橙の斜陽...

少し気の早い桜舞う日
優しい陽の光
暖かい春風
みんな 祝福してくれてるみたい
キラキラ耀いてる
ここを巣立つ日が来るなんて
分かってたけど
理解できない
そんなにも年月は 過ぎてしまったんだね
毎朝の『おはよう』...

一年で最後の月　
静かな住宅街に響く足音がふたつ
それから、車輪のたてる不規則な音　ひとつ
がらがら　ごとごと
空から舞い落ちる白がうずめてなお　耳障りなのは
あなたとの別れが辛いから？
吐く息が白くて　あなたが遠く霞んでしまいそう
いかないで　いかないで
ねえ、きっと　戻ってきてね
一年で最後の日...

散らかった部屋のすみ　独りで膝を抱えて
寒さに震えながら　思いつく音譜をそのまま吐き出した
膝と胴と腕　さんかくの空間
吐き出した音と息で奇妙に熱くなって
どうしてこんなに悲しいんだろうって
自問→答えは出ないまま
「甘えていいんだよ」
その言葉に甘えたところで　突き放されるだけ
分かってる　解って...

遅くなった帰り道　わざわざ各停電車に乗って
効きすぎた暖房は　私の思考をとかしてく
座席にゆっくり体を沈め　溜息と共に目を閉じた
ゆらり揺られて　ユメウツツ
頭の片隅がじわり　疼いてきた
ねえ　もう　頑張れないよ
私は機械仕掛けの人形じゃないの
そんなに色々言われたって
どうにか出来るもんじゃないわ...

あの日　ヤケになってた僕を
何も言わず抱きしめてくれた君
電話越し　囁かれるコトバに驚いた
まさか、ねえ
そんな風に考えてくれてたなんて
全然　考えもしなかった
あの日　君がくれた熱を思い出した
君の方が小さいのに　どうしてかな
包まれているような気がしたんだ
何でそこまでしてくれるの...

長く伸ばした髪
初めはただ伸ばしていただけだったけれど
７月の頭
急にキミからメールが来なくなった
電波・電子でしか繋がってなかった私たち
簡単に、お互いの存在感なんてなくなって
『新着メールハアリマセン』
春先はあんなに幸せだったのに
今はこんなにも貴方との繋がりが希薄
ねえ、どうしてかしら？...