もちとんの投稿作品一覧

寒空に誤魔化された
輪郭のない衝動と歩く
緩やかに壊れ出した
いくつもの時計の針
絡め取られ溶かされる前に
一度だけでも逃げない熱を
狂い焦がれむせ返るように
あつい苦味をどうか教えて
溢れた水に 注がれる愛に
息も出来ない程深く溺れて...

知られる事が恐ろしいと
本当で固めた言葉を吐き
誰にも心を見せないのが
自分を守るすべだと思っていたんだ
25kHzの叫びは
海底ケーブルから弾き出され
また回り続けるんだ
頭の中をぐるぐると
声が聞こえませんか
確かに口を動かしたのに...

『嫌い』と言葉を吐き出すのは
もう何度目だろう
期待を心に貼り付けては
例外を探す
痛みを飲み込めない貴方は
また縋るだろう
弱さに耐えられない私も
また同じように
離れては交わる細い線
静かに絡まり...

夏の匂いを辿り駆け出せば
淡い明かりが灯り
遠く聴こえるは祭り囃子か
古き想い馳せる
波を眺めた夕暮
港歩く少女の憂う目
ピント合わないレンズの様に
輪郭が見えなくって
箸を掴んだ薄い手
笑う顔に映えるその黒い毛...

雨の音で目を覚ます午前二時
指でなぞる熱の逃げたベットには
少し甘いポール・モールの香り
安ホテルの狭い部屋の中で
最初からわかっていたのに
その目には私が映らないこと
最後まで変わりはしないのに
口づけを忘れること出来ずに
独りよがりな情事の後の
甘い甘いピロートークでは...

身を切る風に晒されて
さざめく想いが木霊する
散り往く楓に包まれて
うつむく空に雨が降る
煙る景色の向こう
遠い、遠い旅路の果てで
染まる紅葉の中
貴方は何処にいるのですか
浅き夢見し
長い、長い季節の始まりに...

君がいるなら何もいらない
別にそんな事ないんだけど
ありふれた声かけたくない
何にも言わずに ほら
何もなく君の横で
笑い合っていたいだけでも
いるだけで足りなくなって
0になってしまうものなら
「好き」という一言を音楽に乗せて
君のため僕からの歌を作ろう...