LODiO

足音　奏で　揺らぐ　夜
あやめた心の重みに沈む
静寂　降り出す冷たい雨は
きっと悲しみのかたち
失くしたパーツの在処
進めないよう　時間を止めて
色褪せた「今」は躊躇いのままに
歯車はもう動かない
望み　願い　祈り　翳して
硝子の破片を手に　壊して...

瞑目
とじられたまぶたは光さえ感じず
きみは暗闇でただひとり
手をのばしても空を切る
ゆくえしれず　さまよう
暗闇がすきと呟いた
まるで母親みたいだと
白い肌　感じたことのない
母の影を視ているの
光なんていらない...

気付かない　まだ気付けない
自分勝手に喚く心は　その一瞬に姿を見せて
くちを開けば放つ　言葉(やいば)
君をずたずたに切り裂くの
君が僕を見ている　君が僕に近づく
君と手をつなぐ　君が僕に笑う
いつからだろう　
伸ばされた手を　弾くようになったのは
君が僕を見ている？　君が手を離す
君が離れてく　君...

したたるこの水の重みは
流れ逝く水の流れは
空ろな心を重たく揺らす
広がる波紋　
永遠の沈黙　
合わせた手と手に永遠の想いを
白い耳元で小さなララバイを
眠るあなたに最後のくちづけを
染み入るように燃ゆる炎は
想い出を白く灰にしてゆくの...

ゆるく流れる時間の中で
水面を揺らす青い羽根
ひとりきりの世界にぽつり
空から降った小さな声
『なぜ私はここにいるの？』
覗く水面に映った影は
待ちこがれた「他人」の姿
ずっとずっとそこにいる
水面に映る君のかげ
呼び声さえも水に溶け...

緑ゆたかなこの場所
なぜ私はここにいる？
目の前の澄んだ水面(みなも)
問いかけても返事はない
ずっとずっとここにいる
ずっとずっとひとりきり
ただ悲しくて
ただ寂しくて
ただ会いたくて
ただ手を伸ばす...

咲いた噛痕
　首筋のキスマーク
手首の傷にそっとくちづけて
　囁くのは甘い毒
消えたいなら消えればと
　死にたいなら死ねばいいと
流れ込む冷たい熱に
　魘されて理性が逃げ出した
世界に失望して？
　死にたいと吐き捨てて？...

誘い　地に墜ちた浮浪の魂
紅蓮の彼岸花　妖艶に微笑んで
笑えや
醜い此の呼び声を
嗤えや
滲み出した此の姿
参ろうか　参ろうや
共に行こうぞ　輪廻の果てへ
イザ進め　いざ進め
行きずりの終点の　逝き着く先は荼毘...

言葉の始まりは胸の中
　しまい込んだ硝子の蝶を
まっしろな部屋の中
　右も左も分からずに
少しの余暇とわずかな狂気
　ぽつり　紡いだ小さな唄
合わせ鏡の歪な造り
　秘密に溺れ　快楽に囚われ
銀のナイフを突き立てる
蝶の羽を引き裂いて...

生きてゆくそのカクゴ
悲しみの横で
落ちてゆくそのナミダ
蝴蝶の夢
誰もいない湖　身に纏う黒アゲハ
蛍の光、あなたの声
目が眩んで　溺れる
傷だらけ　嘆いてる　
鈴の音鳴らし
歩いてく　果てるまで...