パチンッ!!

俺が左手を鳴らすと本部の扉が開く。

「無事任務完了しました。」
俺が上官に向かって言う。

「ご苦労。レン次はその書類の整理を頼む、それから…」
この男は人遣いが荒い。俺はさっき任務から帰って来たばかりだというのに…
こんな生活をしてもう一年になる。五年前に最愛の彼女とデートをしていたとき、酔っ払いの車が突っ込んできた。俺は軽い擦り傷で済んだが、彼女は瀕死の重傷だった。そこへ現れたあの女…後で知った話だが、彼女はDr.レイコといい巨大な犯罪組織の研究員だったのだ。彼女は俺の最愛の彼女、リンを救うと言って連れ去った。それ以来、俺は彼女に会っていない。くそ、俺がもっと強ければ…
弱さゆえの必然…俺は書類を整理しながら考える。それから四年。リンをさらった犯罪組織への憎しみのみで必死に勉強し特殊警察に入った。今では十年に一度の逸材といわれている。ただ、俺は未だにあの組織を潰せずにいるのだ。手に持つ書類に力が入る。

ウー!ウー!ウー!

その時部屋にサイレンの音が響く。

「レン!例の組織だ!言ってくれるな。」
上官が俺に言う。

「はい。」
俺は短く返事をすると、再び左手を鳴らした。扉が開く。さあ、粛正の時間だ!
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ッバン!!
私がベットに横たわっていると、勢いよく扉が開いた。

「リン!仕事よ!」
入ってきたのはDr.レイコだった。

「特殊警察のコンピューターをハッキングして偽の情報を流したの。何人か出てくるはずよ!そいつらを始末して頂戴!」
私の中で既に流れていないはずの血が騒ぐ。マタコロセル!人造人間になったときに植えつけられたこの殺人衝動…もう、ここにいるのは私じゃない。

「ハイ。」
私は短く返事をすると、さっきの血潮がまだ光っている銃を構えアジトを出た。
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俺は無表情で駆け出す。上官から渡された地図に目印として書かれていた大鳥居。その下に見える人影。一人か?まあいい。悪は滅びなくてはならない。俺はその人影に声をかける。

「あら?一人なの?」
それは、俺の台詞だ。

「まあいいわ、任務遂行!」
見たところ人造人間か?口調からして、女性をモデルにしているのか?俺の頭に一瞬リンの顔が浮かぶ、こいつらがリンを…
相手が銃を構える、俺が刃を抜く、月は満ちた!
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ック!なかなか手ごわいじゃない。私は銃を乱射しながら思う。私が打つ弾丸は特殊警察の彼が全てはじき落としてしまい、血を見ることが出来ない。脆い人の癖して!私はカートリッジを取り替え、また打ち続ける。しかし、一瞬の隙が出来てしまった。彼が間合いを詰めて私の肩に一撃。私は機械だから血は出ない。でも、痛みは感じる。

「ッイ…」
思わず声が漏れてしまう。しかし刀を振り切った彼は隙だらけだ、背中に一発。

パンッ!

乾いた音の後に聞こえるうめき声。ふふ、ザマーミロ。でも、こっちも玉切れ。私は三つ目のカートリッジを取り出し銃に入れようとするが、それに気づいた彼が刀でカートリッジを叩き落した。私は、しかたなくその刀をそのまま銃で受け止める。その時私たちの顔の高さまで月が落ちてきた。そしてお互いが、お互いの顔を見る。眼を見開く。

「レン!?」
「リン!?」

私が銃を落としたのと、彼が刀を落としたのと同時だった。私たちはそのまま固まっている。その時、私の頭に声が響いてきた。

「あら、彼と逢っちゃったの?残念だわ、貴方は割りと扱いやすかったのに…でも、もういらないわ。貴方の中の自爆装置を起動したわ。彼との最後の時間を楽しみなさい。30秒だけどね(笑)」
そこで、Dr.レイコの声は途切れた。そしてレンが近づいて来る。

「リン…本当にリンなのか!?」

「レン!来ちゃ駄目!!」
私は必死に叫ぶ。このままだとレンも巻き込んでしまう。それだけは避けなくては…

「何でだよ?リン、リンなんだろ?」

「来ないで!!」
私が叫んでもレンは近づいて来る。そして、私を抱きしめた。

「やっと、逢えた。」

ドッカーーーン………

fin…

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

月下の二人―からくり卍ばーすと②―

ひとしずくPさんのからくり卍ばーすと(http://www.nicovideo.jp/watch/sm13313111)を勝手に小説にさせて頂きました。
なんかいろいろすみません。視点ころころ変わるし、最後バットEND過ぎるし、何より短いし…
すみません。すみません。すみません。

閲覧数:458

投稿日:2011/04/09 04:44:14

文字数:1,794文字

カテゴリ:小説

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