6月ハーモニー 未来音符 そのじゅ~ろっく
次の日、私は授業が終わり、その次のHRも終わると同時に立ち上がった。
うちの学校の生徒が近いからよく学校帰りにメゾールに行く。
だから下手したら私と先輩が2人でメゾールを回る姿を誰かに見られて
しまうかもしれない。
それは恥ずかしい。とっっても恥ずかしい!!
だから見られないようにするにはどうしたらいいか…それを昨日、喫茶店から
出てからずっと考えていた
その答えがこれだ。
つまり生徒達がメゾールに来ない時間帯に行く。
学校をサボって行くわけにはいかない…でも学校が終わってから速攻で行けば、
誰も生徒達はメゾールに来ていないから、誰にも見られない。
学校が終わってからメゾールに行くまでの時間をかければかけるほど、
メゾールに生徒達が増えてくる。
だからHRが終わってすぐに私は立ち上がって後ろのドアから出ようとした。だが
「ミ~ク…今日も部活を休むってのはさっき聞いたからいいんだけど~
その理由を教えてくれてないかしら~?別に先週の水曜の海斗先輩とのことが
気になってるとかじゃないよ?
ただね?部長としてはやっぱり部員が部活を休む理由を聞いとかないとね~」
サトミがドアの前に立ち塞がって、ニヤニヤしながら聞いてきた。
だから私はサトミの顔を手で
「邪魔だぁ!どけぇ!!」
横にずらして排除し、ドアを開けて廊下を早歩きで歩いた。するとサトミが
「どかすにしたってもうちょい優しくやれよ!!おかげで首痛めちまったよ!!」
私の後ろを首を押えながら、私と同じように早歩きで付いてきた。
チッ!付いてくるんじゃないよ!
私は後ろを振り返らず
「それは悪かったね!ゴメンよ!でも私はいま急いでるの!!
サトミにかまってる暇は無いの!!だから聞きたいことがあったら後でメールで
聞いてくれる?そうしたら無視するから!!」
「無視するんだったら聞く意味ねぇーじゃねーか!!なに言ってんだ!?
今からどこ行くの!?もしかして海斗先輩とどっか行くの!?」
私もサトミも廊下をズンズン歩きながら
「サトミには関係無いっしょ!?アレよアレ!!さっき授業中にお母さんから
お婆ちゃんが死んじゃったってメールが来たの!!だからその葬式よ!葬式!!」
お婆ちゃん…勝手に殺しちゃってゴメンなさい…
「絶対それ嘘だろ!?勝手に婆ちゃん殺してんじゃねぇー!!この婆不孝が!!
ねぇねぇ!水曜に海斗先輩とどんな話ししたの!?教えてよ!!」
私が階段を早歩きで降りだすと、サトミも同じように降りてくる。
「え!?え~っとね……そう!サトミのこと紹介してって頼まれたのよ!!
実は海斗先輩はサトミのことが好きだから、私に紹介してって頼んできたの!!」
「お前嘘つくんならもうちょいマシな嘘言えよ!!馬鹿か!?
言わないんならこのままお前に付いて行くぞ!?いいのか!?」
「サトミは部長だから部活に出ないとマズイっしょ!?なに言ってんの!?
ほら、早く部室に行きなさいよ!!みんな待ってるよ!!」
「今日は休みにします!!部長の権限でお休みです!!」
「職権濫用するんじゃありません!!顧問の先生に言っちゃうよ!?」
「残念ながら私は顧問の弱味を握ってるから言っても無駄ですー!!」
「チッ!!役に立たない顧問だ!!ちなみに弱味ってなんなの!?」
「聞きたいか?だったら今からどこ行くのか教えなさい!!」
「しつこいなぁ~メゾールよ!!メゾールの1階の本屋さん!!」
「ほうほう!!それは誰と行くの!?1人!?それとも誰かと行くの!?」
「死んじゃったお婆ちゃんと行くのよ!!」
「だから婆ちゃん死んでねぇーだろ!!海斗先輩と行くんでしょ!?」
「違うよ!!流香先輩と待ち合わせしてるの!!」
「それも嘘だね!!本当だったら最初っからそう言ってるはずだもんアンタ!!」
「くっ!!最初っからそう言っとけば良かった!!」
私達が話し合っていると1階に着いてしまった
しまった…このままじゃ海斗先輩と行くってバレてしまう!!
先輩には授業が終わったらすぐに下駄箱にってメールしてたから、あの人は
すぐに来てしまう!!ヤバい!!
私はサトミのほうに振り向き
「そうよ!!海斗先輩と行くの!!もういいでしょ!?いくらサトミと言えど
このまま付いてきたら許さないよ!!」
サトミを睨んで言うと、サトミはニヤァ~と笑って
「ほっほ~なるほど~そんで?水曜は先輩となんの話しをしたの?」
「し、つ、こ、い!!いい加減にしなさい!!ホントに怒るよ!?」
するとサトミはようやく諦めたようで
「チッ…分かったよ、じゃあね…また明日」
そう言って振り返った。
すると偶然にも演劇部の顧問の先生の山田先生がサトミの向こうから来て
「あら~サトミちゃ~ん。それにミクちゃんじゃない…今日は部活は?」
山田先生は額縁眼鏡をかけてる、大人しめな女の先生だ。
「ん~?私は出るけど、ミクは部活休みなんだよ~」
サトミが先生と話し始めたので、私が下駄箱に行こうとしたらサトミが私に
「そーだ、ミク~さっき言った先生の弱味っての教えてあげよっか~?」
なに?
私は先生の弱味が気になったので立ち止まって
「なに?教えてくれるの?」
「へ?弱味ってなんのこと?」
先生は突然のことなので何のことか分かってない顔をしてる。
「先生はね~実は腐女子なんだよ~」
サトミが笑いながらそう言うと、先生は慌てて
「ななな何を言ってるのサトミちゃん!?ち、違うからねミクちゃん!!
私は腐女子じゃないからね!!ちょっとサトミちゃん!?」
「へ~そうだったんですか~ところでサトミはなんで知ってるの?」
慌てている先生を見て、本当なんだな…と思いサトミに聞くと
「コミケに行った時に先生がBL本を買い漁ってる姿を見かけちゃったのよ…」
「きゃー!!サトミちゃん何言ってるのよ!?止めてよ!!」
「ふぐっ!」
先生がサトミの口を慌てて塞ぎ、真っ赤な顔をして私に
「嘘だから嘘!!サトミちゃんが言ったことは嘘だから信じちゃ駄目だよミクちゃん!!
いーね!?信じないでね!?」
「そうだったんだ…先生はBLに手を出してる人だったんですね…」
「ミ、ミクちゃんもなに言ってるのかな!?私はBLなんて知りませんよ!?
BLって何のことかよく分かんないよ!!まったく知らないよ!?」
先生…そんなに顔を真っ赤にして言ってるから説得力がありませんよ?
「そうですか…それは勘違いをしてすいません…」
「わ、分かってくれればいいのよ…?だいたい私はそんな…男の子同士が
仲良くしてる姿を見ても、そんなキャーキャー言いませんよ?」
はい確定しました。完璧に腐だ…
BLの内容を知ってるし、それを見た時の腐女子の反応まで分かってるじゃん…
「そうですか…まぁとにかく私は急いでるんで、これで…」
先生にペコッと頭を下げて下駄箱に行くと、サトミと先生の話声が聞こえてきた
「良かった~ミクちゃんに腐女子ってばれずにすんだ~」
先生は、ほっと安心してる声でそう言うが
「いや…ミクは先生のことを完璧に腐ってる人って認識してると思うよ?」
サトミが先生に残酷な真実を告げた
「えっ!?で、でもミクちゃんはそうですかって言ってたじゃん!!」
「あれでミクが先生を腐女子だと思ってないって思ったの?んな訳ないじゃん。
つーか、先生の反応を見て腐だと思わない人がいるわけないっしょ?」
「えぇ!?そ、そんな…わ、私のイメージが……腐だと思われたら…あぁぁ~!」
先生はどうやら泣き出してしまったようだ
そんな泣き崩れた先生の肩に、サトミが優しく手を乗せて
「先生…ド~ンマイ!」
いい笑顔で励ますが
「サトミちゃんが言っちゃったんでしょ!!この馬鹿ぁ!!うわぁ~~!!」
「まぁまぁ…今度コミケに2人で行こっか?ねっ?2人で回れば多くのブースに
行けて、お目当ての物を買いそびれることが無いよ?」
「うぅぅ…で、でも…私は今年の夏は行けない…補修やら色々あって…」
「じゃあ私が先生の分まで買ってきてあげるよ?ねっ?」
サトミ…あんた酷いんだか優しいんだか……いや、私にばらしたから酷いのか…
まぁいいや…腐達の会話を聞いてる場合じゃないか…
とっとと行こう…
私は靴を履き替えて校門を出て、その校門から少し離れた所に立って
海斗先輩が来るのを待った
するとすぐに先輩がやって来て
「お待たせ~なんかさっき泣いてる山田先生と、サトミちゃん…って言ってたっけ?
2人が一緒に歩いてるのを見かけたよ?なんかあったの?
2人とも攻めがどうとか言ってたけど…サッカーの話でもしてたのかな?」
学校の中でそんな話するなよ…腐共が…
説明できないから適当に言っとくか…
「あぁ…そうじゃないですか?きっと2人ともサッカーが好きなんですよ…
さっ、それよりさっさと本屋に行って帰りますよ?」
そう言うなり私はメゾールに向かって歩き出した
こんな所で時間を食うわけにはいかないからね…
先輩は私の後を付いて来て
「そっか山田先生はサッカー好きだったのか…どのチームが好きなのか知ってる?」
私に先生の好みを聞いてきたが
んなもん知るわけ無いじゃん…チームって何よ?カップリングのこと?
「さぁ?私はまったくサッカー知らないんで、チームとか分かりませんよ…」
「そっか…今度聞いといてくれる?」
好きなカップリングを?ヤダなぁ~
「まぁ…気が向いたら聞いときます…」
「よろしく」
私達が本屋、とゆーかメゾールに着くと、まだ生徒は誰も来ていなかった
よし!思った通りだ!誰も生徒がいない!
これなら先輩と一緒にいる姿を誰かに見られることはない!!
「じゃあ本屋に行きましょうか?」
後ろの先輩に言って、私達は本屋に向かった。
本屋に入るとすぐに、私は小説が並べられている棚に行き
「え~っと…これがいいですね。はい…」
1冊の本を抜き取って先輩に渡した
「そっか~これが初音さんのお勧めなんだね~じゃあ買ってくるね?」
先輩がそう言ってレジに行ったので、私は本屋を出て入口で先輩を待った。
私は周りをキョロキョロ見ながら
誰もいないよね?うちの生徒は誰もいないよね?平気だよね?
歩いてる人達の中から生徒の姿を探すが、まだ誰も見つけることはなかった
よし…これで先輩がさっさと会計をすませれば…
そう思ってレジのほうを振り向くと、先輩がちょうどいいタイミングでやって来た
「お待たせ~」
「いいタイミングです…じゃあ出ましょうか?」
そう言ってメゾールの出口に向かうと、後にいる先輩が
「えぇ~?せっかくなんだから、マックにでも行かない?」
「行きません…行きたければ1人でどうぞ。それではさようなら…」
だって本屋に一緒に行くってゆう約束だけしかしてないもん…
先輩をそのまま置いていこうとしたら
「わぁ~待って待って!帰ります!一緒に帰ります!!」
慌てて付いてきた
待てよ?よく考えたらここで別れちゃえばいいんじゃない?
てゆーか、駅でも一緒にいるとこを見られる可能性は十分にあるんだから…
そうだよ…それがいいんじゃん…よし。
私は立ち止まって、先輩の方を向いた
「ん?どしたの初音さん?」
急に立ち止まった私にそう尋ねる先輩を見上げ
「先輩…ここで…」
別れましょっか?そう言おうとしたら、先輩が私の頭のさらに向こうを見て
「あ、うちのマネージャーだ…」
なにぃ!?マネージャー!?
私も先輩が見てる方を向くと、携帯をいじってる女子生徒を発見した
どうやら携帯をいじるのに夢中で、私達にまだ気付いていないみたいだ。
まだ気付いている感じはしない…あっぶね~
そう思った時に、なにを考えたのか先輩が
「そうだ、3人でマックに行こうよ?」
私にアホ過ぎる提案をしてきたので
「却下に決まってるでしょ!?もういいから帰りますよ!!」
先輩にそう言い、そのマネージャーが入ってきた入り口とは違う入口に向かった
「え?さっき何て言おうとしてたの?」
「なんでもありません!ほら行きますよ!」
私達はそのまま駅に行って、電車に乗った
その電車の車内で、吊革に掴まってる先輩が
「じゃあ読んだら感想をメールするね?」
隣にいる私に聞いてきたので
「あ、はい…」
律儀とゆうか何てゆうか…
まぁメールをする理由にはなるもんな…
それから2週間後の夜、私が自分の部屋でラノベを読んでると先輩からメールが来た
『さっき本を読み終わったよ~いや~感動しちゃったね!!』
ふ~ん、感動する物だったのか…今度買ってみるかな?
私が2週間前に先輩に勧めた本は今まで私が読んだことのないものだ。
つまり、割と適当に先輩に勧めたのだ。
『そうですか…勧めた甲斐がありました』
我ながら淡々とした内容だなぁ…
そう思いながらも先輩に返信した
少し肌寒い梅雨の日、
それは先輩から私が読んだことの無い本の感想をメールされた日だった。
でもそのメールでその本を買ってみようかな?と思った日でもあった。
そんな梅雨の日のことだった。
6月ハーモニー 未来音符 その16
6月ハーモニー 未来音符 その16です
いったいどこまでがヲタクで、どこからが婦女子なんだろう…
いちおうミクとサトミはヲタクで山田は完全に腐ってるつもりだけど、いまいち線引きが分からない
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BPM=156
作詞作編曲:まふまふ
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