「みゅぅぅ~らめ~~!!」
種KAITOの叫びに僕たち3人は固まってしまった。
カラン
マスターの手からスプーンが落ちる。その顔は真っ青になっていた。
星疾は目を見開いていた。僕も動けなかった。
その場の空気が凍りつくとはこの事だろうか。
種KAITOが消え入りそうな声で言った。
「ぼきゅはまりゃはちゅがちゅうらんれす。ふきゃんじぇんじゃきゃらじしゃれちゃらちょけちゃうろれしゅ・・・(僕はまだ発芽中なんです。不完全だから出されたら溶けちゃうのです・・・)」
発芽中・・・溶けるって・・・
「らきゃららしゃらいれくらしゃい(だから出さないでください)」
そう言うと種KAITOはすっぽりと潜ってしまった。双葉のような癖毛だけが出ている。
「おい、冷凍庫に戻すぞ。いいな」
星疾が声をかけるとカップの中の癖毛がうなずくように揺れた。
そのまま冷凍庫に運ばれる。ん~何か引っかかるような?
そうだ、星疾は率先して行動を起こさないんだった。自分から動く時は大抵誰かのフォローをするときだ。
「ねぇ、星疾」
僕の声掛けに星疾はだまったまま振り返る。その目が「何も言うな」と語りかけていた。
これ以上は追求できないな。多分後で教えてくれるだろう。僕らは互いに隠し事はしないやくそくだから。
それにしてもさっきからマスターが静かだ。
マスターを見やる。マスターは・・・固まっていた。
さっきと全く同じ格好のまま。まさに石と化しているかのようだw
「マスター?」
全く反応は無い。肩をつかんでガクガクと揺さぶる・・・反応なし。
息はしているから生きているはず。どうやら頭の中が飛んでいるようだ。
ぱたむ
冷凍庫に種KAITOをしまった星疾もマスターを見るなり呆れ顔になった。
「海疾・・・」
「わかってるよ」
僕と星疾はマスターの左右に立った。この手に関しては慣れている。
ミキサー音量とベロシティを最大に、これだけでは足りない。
ハーモニクス、ブライトネス、シャープネスのパラメーターを最高まで上げる。
これらのパラメーターの効果は別にあるんだけど上げると声が大きくなるんだよね。
そして、
『マースーターアー帰ってこーい!!』
「うびやぁぁああはららあう」
必殺、呼び戻し(耳元最大音量ステレオVer)でマスターは奇声をあげながら飛び上がり一回転して倒れ付した。
「いつつつ、ちょっと!何するのよー!」
「あはは、帰ってきましたね。おかえりなさい」
「おかえりじゃなーい!3パラあげて叫ぶんじゃないわよ。もう」
「今度はジェンダーを下げてみるか」
「やめて、最大音量超音波なんてされたらほんとに死んじゃうわ」
『あははははは』
よかった、ようやくいつもの雰囲気に戻ったみたいだ。
マスターは何も分かってないみたいだからとりあえず種KAITOが叫んだ理由を説明しよう。出来るだけ簡潔に。
「あの子、出すのが早すぎちゃったのね。悪いことしちゃった」
「気にするな。しまっておいた」
「星疾が戻してくれたのね。ありがと」
「あ、ああ。それより時間は大丈夫か?」
時計をみる。すでに7時を過ぎていた。
「ええええ~もうこんな時間!?支度しなきゃ。海疾、コーヒーおねがい」
「はいはい」
マスターが自室に戻っていったのを確認して僕はさっきのことを訊いてみた。
「星疾、さっきのはいったい何があったの?」
「マスターが出かけてから話す」
「マスターには知られたくない事?」
「たぶん、な」
たぶん、って・・・星疾も詳細は知らないのか。まぁいいか、先にマスターを送り出してしまおう。
とりあえずコーヒーを作る。ついでにトーストも焼いておいた。
「マスター、コーヒーできましたよ」
「ありがとー」
早起きしたおかげでマスターは幾分か余裕を持って朝食を食べ終えた。
「じゃあ行ってくるね。アイスは帰りに買ってくるから」
「いってらっしゃーい。アイスはバニラだよ」
「間違えるなよ」
「分かってるって、いってきまーす♪」
マスターは車通勤。いつも車が出て行くまで見送っている。
「さて、マスターもいなくなったし何があったか教えてくれるよね」
しつこいかもしれないけど気になるもんは気になる。
「詳しいことはあいつに訊いてみないとわからないぞ」
「いつも思うけど星疾は勘が鋭いね」
「別にそんなことないと思うぞ。あいつやたら挙動不審だっただろ」
「え、そうだっけ?」
特別変なことがあったとは思えないけど・・・マスター以外w
星疾は一つ溜め息をつくと言った。
「おまえ・・・マスターとかわらんな」
「な、一緒にするなよ」
そうこう言い合ってるうちに冷凍庫にたどり着く。
コンコンとノックをした。
「?!・・・みゅ~ひゃれれしゅきゃ?(誰ですか?)」
「俺たちだ。マスターはもう出かけたぞ」
「しょうれしゅか。あけれいいれしゅ(そうですか。開けていいです)」
冷凍庫を開ける。種KAITOは顔だけアイスからでた格好でいた。少し滑稽だw
開けっ放しではいけないので了解を得て取り出す。
「おしぇわににゃりましゅちゃ(お世話になりました)」
種KAITOはペコリと頭を下げた。
「で、なんであんな嘘をついた?マスターはともかく俺たちを誤魔化せると思ったのか」
僕も誤魔化されたんですけど・・・どうでもいいか。
「しょれは・・・(それは)」
「それは?」
「ぼきゅ、ふきゅきれなきゃちゃのわしゅれちぇちゃんれしゅ~(僕、服着てなかったの忘れてたんです~)」
・・・つまり裸だったと。それだけ?
「はじゅかしゅいじゃにゃいれしゅきゃ。ましゅちゃーおんにゃのひちょれしゅよ///(恥ずかしいじゃないですか。マスター女の人ですよ)」
そう言って顔を赤らめる種KAITO。いや、まぁ、気持ちは分からないでもないけど・・・これは
「だったらその場で言えばいいのに。嘘付くほどのことじゃないと思うよ」
「じゃってぼきゅはしんしをめじゃしちぇりゅんれしゅ!いえにゃいれしゅよ・・・(だって僕は紳士を目指してるんです!言えないですよ・・・)」
「確かに紳士は紳士でも【変態という名の紳士】にはなりたくないよな」
星疾はうんうんと頷いてる。っていうか【変態という名の紳士】ってなんなんだ?!
変態と紳士は違うと思うけど・・・というかなんで星疾はそんな言葉知ってるんだろ。
そもそもちゃんとした説明になってない気がする。
気にしたら負けなのか?む~ん
「海疾、なに難しい顔してるんだ?」
「え、あ、いや、なんで服着てなかったのかなーと思って」
とっさに話を変えてしまった。訊いてみればよかったかな・・・
「あにょにぇ、あいしゅにょこちぇるれしょ。きょれをきゅうしゅうしゅるちょふきゅににゃりゅんりゃよ(あのね、アイス残ってるでしょ。これを吸収すると服になるんだよ)」
「ということは不完全だったのは嘘ではないのか?」
「しょうれしゅ。ちょけりゅにょはうしょれしゅけりょ・・・(そうです。溶けるのは嘘ですけど・・・)」
まぁ何であれ大したことなくてよかったのかな。
「これからよろしくね」
「ひゃい、よりょしゅきゅおにぇぎゃいしみゃしゅ!(はい、よろしくおねがいします)」
この後、マスターが帰ってくる前には種KAITOの服もすっかり出来上がっていたので何事もなくすんだ。
マスターは種KAITOに「ショコイト」と名前を付けた。ショコという愛称で呼んでいる。
ショコの世話は僕が全部みることになった。星疾はマスターと新曲のレッスンを始めたからだ。
僕は気になっていたことをマスターに訊いてみた。
「【変態という名の紳士】ってなんですか?」
「裸マフラーのKAITO」
KAITOの種、観察記録テキスト版3
長くあいてしまってすみませんでした。
しかも書き方を忘れてしまって・・・おかしな文章になってますがごめんなさい
キャラ崩壊も起きていたり・・・
星疾の練習していた曲は
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6559267
です。
次回はこの話から2ヶ月ほど飛びます。
今回の話は3月頭にあったことという設定なもので^^;
次回からは現在進行形でいこうかと
種をくださった本家さま
http://piapro.jp/content/aa6z5yee9omge6m2
霜降り五葉さまのかわいいモカイトと氷カイト
http://piapro.jp/content/0mfsdg3gfb2xdrzi
コメント2
関連動画0
オススメ作品
勘違いばかりしていたそんなのまぁなんでもいいや
今時の曲は好きじゃない今どきのことはわからない
若者ってひとくくりは好きじゃない
自分はみんなみたいにならないそんな意地だけ張って辿り着いた先は1人ただここにいた。
後ろにはなにもない。前ならえの先に
僕らなにができるんだい
教えてくれよ
誰も助けてく...境地
鈴宮ももこ
陰謀論者の脅しに屈するな
自称神の戯れ言に耳を貸すな
ヤツらの甘い言葉に惑わされるな
自分の正しさを武器にして
あらゆる愚行に異議を唱えても
結局自分も同じ穴のムジナだから
考え過ぎて馬鹿になってはいけない
所詮僕らは人間だ
硝子の破片を丁寧に拾っていては
誰だって生きづらいだろう...publicdomain
Kurosawa Satsuki
Hello there!! ^-^
I am new to piapro and I would gladly appreciate if you hit the subscribe button on my YouTube channel!
Thank you for supporting me...Introduction
ファントムP
(Aメロ)
また今日も 気持ちウラハラ
帰りに 反省
その顔 前にしたなら
気持ちの逆 くちにしてる
なぜだろう? きみといるとね
素直に なれない
ホントは こんなんじゃない
ありのまんま 見せたいのに
(Bメロ)...「ありのまんまで恋したいッ」
裏方くろ子
彼女たちは物語を作る。その【エンドロール】が褪せるまで、永遠に。
暗闇に響くカーテンコール。
やむことのない、観客達の喝采。
それらの音を、もっともっと響かせてほしいと願う。それこそ、永遠に。
しかし、それは永久に続くことはなく、開演ブザーが鳴り響く。
幕が上がると同時に、観客達の【目】は彼女たちに...Crazy ∞ nighT【自己解釈】
ゆるりー
A 聞き飽きたテンプレの言葉 ボクは今日も人波に呑まれる
『ほどほど』を覚えた体は対になるように『全力』を拒んだ
B 潮風を背に歌う 波の音とボクの声だけか響いていた
S 潜った海中 静寂に包まれていた
空っぽのココロは水を求めてる 息もできない程に…水中歌
衣泉
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
エメル
その他
霜降り五葉さま
たしかにずれてるかも^^;本人はイギリス紳士のつもりらしいけど、周りからは完全に子ども扱いされています。
でも一応レディーファーストの精神はもっているのでKAITO`sよりはマスターに優しいですw
海疾と星疾は名前が出なくても会話文だけで違いが分かるようにしたいです~まだまだですが(汗
しかも星疾が油断するとキャラ崩壊しそうですしw今のところ海疾がやっぱり一番書きやすいかな。
次回は新しく初音ミクの美句が出てきます~でもまだキャラが安定してない・・・
ショコもちゃんと成長してると思います。多分w
ラスト、笑えましたか。よかったです~オチをどうするか悩んだんですよね。
結局思いついたのをそのまま。受けてもらえてとてもうれしいですよ~♪
2009/05/03 00:02:24
霜降り五葉
ご意見・ご感想
紳士ですか。
素晴らしいモットーですがどこかズレてるような気がしないでもないですww
え、気のせい?かもしれませんwww
海疾君と星疾君の差がかなり出ましたね。
キャラがはっきりしてるから読んでて面白いです。見習いたいな…。
次の話しは大分成長してそうですねー。楽しみです。
因みに今回一番笑ったのは最後のマスターの台詞ですww
的確過ぎるwwww
2009/04/30 02:48:44