曖昧なバラアド 君は風化した
甘い金木犀の薫りで
投げ出した指を包まれたなら
やがて静かに眠るんだ
雨上がりの土の下で
多分 待っていた
春先の日に似た温かな
君の爪先を
誰かに捧げてしまえるような
柔らかな心なら
いっそ幸せだったろうねと
絡めあった鎖
残酷なバラアド 君に送ろうか
褪めたダイヤモンド一粒を
紅色に塗った目蓋にのせて
口づけで染め直すんだ
独り言の落ちる先に
いつも 待っていた
通りすがる黒猫のような
君の横顔を
何処かに忘れてしまえるような
下らない出逢いなど
君とは交わせなかったのだと
契りあった番
盲目のバラアド 君を愛してた
組んだ五本の指の爪さえ
不似合いな白に染められたなら
何を飾りにすればいい
その鼓膜へと声を差し出そう
擦り切れてこの雨が聴こえなくなるまで
最愛を
空白にバラアド 君を送ろうか
蒼いダイヤモンド一粒を
紅色に塗った目蓋にのせて
口づけで温めるんだ
曖昧なバラアド 君は風化した
脆い金木犀の薫りで
投げ出した指を包まれたなら
やがて静かに眠るんだ
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