灰をかき分けて辿り着いた 理想郷で
約束のともしびをこの空に点すよ
天気輪の柱の 一番てっぺんで
遠い地平からでも君によく見えるように

冬よりも冷たい世界に溺れて
引き裂かれる愛なき宿世呪った
どうせ燃え尽きる命ならば今捨てて僕ら
死んでゆく世界の星になろうと

ファンタスマゴリア あの結末を
揺れる灯に重ねて今も思い出す
これきりだと、予感してた君は
いつもの顔で「それでは、また明日」

渡り鳥渡れ、この寒空を
マジエルは今も動かないままだよ
「いつまで」なんて問うたら終わりだ
赤い目で言う、「僕が終わるまで」


飢凍の地の果て辿り着いた 理想郷で
君のための灯をこの空に点すよ
幾千の魂の 星にも負けぬよう
暗がりを彷徨う君の標(しるべ)となるように

甲斐のない春を待つような気持ち
擦り切れた夢が僕を苦しめる
救いの絹糸はまだ繋がってるか知れない
それは闇を解く糸口(クルー)になるのか?

だから、僕は夜に灯を点す
日の出無き冬が戻らないように
已まない雨、遠く遠く続く
胸の内と外で激しく叩く

「消えないで」ただ それだけ願った
極夜に向けて灯す信号を
夜鷹が行く、黙って微笑んで
笑われてもいい「希望捨てないで」


残酷な“刻(とき)”という灰に埋もれて
自分すらも救えない僕らだから
終わらない長い冷たい夜を怖いと思い
降り続く雨に已(や)めと願った

「誰かのために身を捧げたんじゃない
僕は僕の夜が怖かっただけだ」
灯台(ここ)を守りたいのも君の笑顔が見たいのも
結局は僕自身が 生きていたいから


だから、僕は今日も灯を点す
君の足元が赤く照らされるよう
僕のように眠れぬ人々の
凍えた夜が暖められるよう

葬りきれない思い燃やして
無言のままで空へ遠く叫ぶよ
僕のエゴで、君が笑うのなら
それはそれでいいかなと思ってる

永遠のような夜に祈りを
君の眠る夢の野辺には花を
この惑星(ほし)が回る限り、きっと朝は来るから
君がそう教えてくれたよ


「それでは、また明日」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

夜が怖いから、今宵も僕は灯台に灯を点すのです

――――それでは、また明日。

新「革命」シリーズの新たな一作。革命で荒れ果てた世界の再興を目指す中で、未だ帰らない人を思い続ける誰かの歌。

元ネタは宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」。が、火を点けるという点以外ではそんなに共通点もない気がする。

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投稿日:2014/05/29 12:22:57

文字数:855文字

カテゴリ:歌詞

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